町田瑠唯 シーズン終了会見一問一答「本当にWNBAに来て良かった」

2022-08-24
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NBA Entertainment

WNBAワシントン・ミスティックスでの2022年シーズンを終えたばかりの町田瑠唯が8月23日(日本時間24日)、チームが開いたシーズン終了記者会見に登場し、メディアからの質疑に応じた。

レギュラーシーズン22勝14敗の成績を残し、リーグ5位でプレイオフに進出したミスティックスは、21日(同22日)に行われたWNBAプレイオフ1回戦の対シアトル・ストーム第2戦に敗れてシリーズ0勝2敗で敗退となり、2022年シーズンを終えた。

町田はレギュラーシーズン36試合、プレイオフ2試合にすべて出場。日本選手として史上4人目のWNBA公式戦出場、そして同じく日本選手として史上3人目のプレイオフ出場を果たした。また、WNBAプレイオフで3ポイントショットを決めた史上初の日本選手にもなっている。

以下、約4か月のWNBA生活を終えた町田の記者会見における一問一答をお届けする(前半は英語での質問に対する日本語での回答、後半は日本語での質疑応答。質問は要約)。

壁にぶつかったことも、いい経験に

――1年目に学んだ中で一番大きなことは?

学んだことがありすぎて、一番っていうのは決められないんですけど、本当にもう、いいことも、自分が悩んだことだったり、壁にぶつかったことも、いい経験になったなと思います。

――個人的にプレイはどうだった?

すごく納得のいくプレイができたかとか、いい結果が残せたかっていうのは、あまりないです。でも本当に、自分がチームとして求められていることだったり、そういうのを徹底して、どのタイミングで出ても、どの時間帯、何分何秒出ても、それを徹底してやろうっていうことはできたのかなと思います。

――6か月のオフシーズンはどう過ごす?

10月からは日本のWリーグ、日本のリーグでプレイします。10月中旬くらいから4月までは日本でプレイする予定です。

――36試合に出場した中で、身体のケアは?

そのケアをするところは結構難しかったです。日本と違って休みが定期的にあるわけではないので、そこの調整っていうのはちょっと難しさはありました。その練習前後に自分でセルフケアをしたりとか、あとはチームでもちろんトレーニングやるんですけど、自分は結構しっかりやらないと筋肉が落ちてしまう体質なので、みんなと同じようにというよりは、ちょっと多めのトレーニングをしたりだとかって調整しながらやってました。

サポートしてくださった人に感謝

――日本からのサポートが大きかったことをどう感じていた?

私がアメリカに来るって言うことで、ほんとにサポートしてくださった人がたくさんいましたし、そういう人に感謝したいなって思ってます。アメリカでプレイするってなって、日本では時差のあるなかで毎試合見てくれるファンの方だったりとか、WNBAを(WNBAリーグパスやNBA Rakutenで)登録して見てくれるファンの方もたくさんいました。私に直接DMでメッセージを送ってくださるファンの方がたくさんいたので、本当にそういう人たちにも支えられながら、しっかりWNBAのシーズンを頑張れたんじゃないかなって思います。

――素晴らしいパスが多かったが、なかでも気に入っているパスは?

お気に入りのパスはあまりないんですけど、(言葉で)言わなくてもあうんの呼吸っていうか、目で味方と合った時のアシスト。パスの種類っていうよりも、その瞬間、味方と息が合ったときだったり、自分のパスをこうしっかり受けてくれてシュート決めてくれるって瞬間が好きだなって思います。

――WNBA1年目の経験で何が一番記憶に残っている?

たくさんありますけど、やっぱり自分がシュートを決めたりしたときにチームメイトがすごく喜んでくれたりとか、ホームの試合でファンの方々がすごく沸いてくれたりっていうその瞬間は嬉しいです。ナターシャ(クラウド)を筆頭に『ルイ・コール』をしてくれたんですけど、その瞬間、ちょっと恥ずかしさもあったけど、やっぱすごく嬉しかったですし、日本では味わえないような瞬間をたくさん味わわせてもらったなと思ってます。

――またWNBAに挑戦したい?

はい、もちろんです。

※以下、日本語での質疑応答。

コミュニケーションが本当に大事

――言葉はどれだけ重要だと思った?

言葉はWNBAだけに限らず、本当に大事だなっていうか、コミュニケーションが大事になってくるスポーツだと思うので、そこは改めて感じた部分でもあります。大事な試合になるにつれて、そのコミュニケーションが本当に大事になってくると思うので、そこはすごい感じました。

――バスケットボール女子日本代表の恩塚享ヘッドコーチは町田選手がW杯の代表候補に入っていると話していたが、シーズン中にアドバイスのようなやりとりは?

そういうやりとりはしてないです。

――シーズン中、一番つらかった時期をどう乗り越えた?

正直あまりないです。すごくつらいとは感じてなかったので。そういう壁も別につらいと感じずに、プラスで捉えていたので、そんなにマイナスなことは考えてなかったですね。自分のプレイをどうやってチームに生かすかとか、このチームにとってどういうプレイをしなければいけないのかっていうのを考えたりはしていたんですけど、それがすごくつらい思い出だったかって言ったら、そうじゃないかなと思います。

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――今季を経験し、日本に持ち帰りたいことは?

本当にいろんなことが勉強で、毎日が本当に学びだったので、いろんなことをやっていきたいですし、自分にとってもプラスにしていきたいです。やっぱり日本とアメリカで感じたのはコミュニケーションのところ。日本でももっと積極的にコミュニケーションを取っていきたいなと思っていますし、個人的にも課題がたくさん残ったWNBAのシーズンでもあるので、それを次はWリーグでしっかり自分の課題を克服できるようにやっていきたいなと思っています。

――コミュニケーションのところ、もう少し具体的にどうやっていきたい?

チームのPG(ポイントガード)でもありますし、今年は(富士通レッドウェーブで)最年長にもなります。チームへの声かけだったりとか、コミュニケーション、プレイのこともそうですし、それ以外のところでもしっかりコミュニケーションをとっていきたいと思います。自分だけじゃなくて若い選手も、みんながしっかり自分の意見を話せるような雰囲気づくりだったりとか、試合に出ている、出ていない関係なく、コミュニケーションが取れるようなチームづくりをしていきたいなと思っています。

WNBAを経験して視野が広がった

――WNBAでプレイし、バスケット観、自分にとってのバスケットボールの存在は変わった?

視野は広がったかなと思います。日本だけでなく、WNBAを経験して、いろんな考え方だったりとか、いろんなバスケットボールの仕方、プレイスタイルっていうのも知れましたし、本当にWNBAに来て良かったなと感じています。

――それはバスケットをもっと好きになった、深く感じるようになったとかそういう理解でいい?

はい、大丈夫です(笑)

――コーチはシーズン最終戦のあとにオフェンスをアグレッシブにできるかが今後の鍵と話していた。自身のその課題への向き合いや進歩は?

アグレッシブに得点を取りにいくことはシーズン初めからコーチに言われていたんですけど、それにこだわりすぎてしまって、あまり自分やチームのリズムを作れなかったことが何試合かありました。それでは自分の良さもチームの良さも出ないと感じていたので、そこで一回、気持ち的に考え方も変えて、まずは自分のプレイ、チームを生かすようなプレイを第一に考えて、その後に(スペースが)空いたら自分がシュートを打つ、時間のないときは攻めるとかっていう考え方にシフトして後半戦ではやっていました。

それがよかったかはわからないですし、シュートに関しての課題は全然克服できていないと思うので、Wリーグに戻ったらそこのところも意識的にやっていかないといけないと思っています。(ただ)今シーズンのWNBAに関してはそこを第一には考えずに、チームから自分が求められているボールプッシュとか早いテンポに持っていくことを意識してやっていたという感じです。

試合に出れなくてつらかったということはない

――プレイオフで出場時間が減ったが、試合に出れないことのつらさをどう感じた?

正直、試合に出れなくてつらかったってことはなかったですね。プレイオフってそういう大事な試合でもありますし、そのプレイオフに行くまでに、自分がチームに貢献できるかだったり、信頼を持ってもらえるかによってプレイオフに出る、出ないが変わってくると思うんで、そのプレイオフに出れなかったからっていうつらさはあまりないです。常にどのタイミングで出ても、何分出ても、しっかり自分がやるべきことをやろうという気持ちで入っていたので、そういう気持ちで常に準備はしていました。

――プレイオフも含めすべてのゲームに出場した。

全試合、出させていただいて、いろんな経験、もちろんセカンド(控え)もそうですけども、ポイントガードのターシャ(ナターシャ・クラウド)がいなかったときのスタートにも使っていただいて、ほんといい経験ができたなって思っています。

――日本とは違う日程のなか、遠征にも全試合出場してうまくアジャストしたのでは?

後半になるにつれてアウェイの大変さはあったんですけど、だいぶアジャストもできてきたと思いますし、大きい怪我もせずに、怪我も病気もしないでシーズン通して元気な状態でいれたっていうのは、ほんとにトレーニングもそうですけど、やっぱり食事の面が大きいのかなっていうのがあります。サポートしてくれた人たち、サポートしてくれた子には本当に感謝したいなって思っています。

エレナ・デレ・ダンのプロ意識、WNBAと世界大会の違い

――改めて1年やってみて感じたWNBAの魅力、凄さは?

一人一人、チームによって全然カラーやプレイスタイルの違うバスケットをしますし、一人一人の能力も高い。もちろん身体能力だけじゃなくて技術もすごいので、本当に世界最高峰のリーグだなって肌で感じますし、もちろん気迫とか気持ちだったりバスケにかける気持ちだったりバスケットに対する姿勢だったりを感じられたことはすごいよかったかなって思います。

日本のファンの方々もすごく応援して盛り上がるんですけど、ホーム・アンド・アウェイってあんまり日本では感じることができないんです。それを感じて、ファンの方々の熱量とか一体感とかも感じれることもできました。

あとはミスティックスのチームメイトに出会えて本当に良かったと思います。特にエレナ(デレ・ダン)のプロフェッショナルさがもうほんとすごくて…。自分が今まで見てきた選手で一番すごいなって感じたので、自分にとってすごくいい影響でもあったし、刺激になったと思うので、これからまだまだ自分も頑張らなきゃいけないなっていう気持ちにすごくなりました。

――国際大会とWNBAは違うと話していたが、具体的にはどう違うのか。そしてそこにどうアジャストしたのか。

世界大会で日本は特別なのかなって思うんですけど、早い段階で合宿があって、チームとしてしっかり動いていくっていうか、形にしていくっていうのが日本のやり方だと思います。アメリカ代表だと1週間とか2週間前に集められて、そこで練習をして、すぐ大会っていうので、やっぱり一人一人の能力もすごいですし、IQも高いと思うので、その短期間でもチームになるとは思うんですけど。WNBAだとほんとに5か月間チームとして徹底されていくと思うので、ディフェンスのところだったりオフェンスもそうですけど、アジャスト能力だったりとかディフェンスの面でも穴があまりないっていうのが、WNBAと世界大会とかの違いなのかなと思います。


町田瑠唯 WNBA 2022年シーズンまとめ

町田は、Wリーグ(WJBL)の富士通レッドウェーブでの2021-22シーズン終了後に渡米し、4月下旬にミスティックスに合流。5月上旬のWNBA開幕から約4か月間ミスティックスでプレイし、レギュラーシーズン(36試合)とプレイオフ(2試合)の全38試合に出場した。WNBA公式戦出場は日本選手として萩原美樹子(1997~1998年)、大神雄子(2008年)、渡嘉敷来夢(2015~2017年)に次いで史上4人目。WNBAプレイオフ出場は萩原(1997年)、渡嘉敷(2016~2017年)に次いで史上3人目となった。

町田のミスティックスでの今季レギュラーシーズンの成績は、全36試合出場(先発2試合)、1試合平均12.9分、1.8得点、2.6アシスト、1.1リバウンド、0.4スティール、0.1ブロック、1.1ターンオーバー、0.7パーソナルファウル、フィールドゴール成功率31.0%、3ポイントショット成功率20.6%、フリースロー成功率66.7%だった。

プレイオフには全2試合出場(いずれも控え)し、合計11分、5得点、1アシスト、1リバウンド、1パーソナルファウル、FG2/3、3P1/2の成績を残した。

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