なぜCL決勝でインテルは勝てる? 打倒シティへの5つの鍵|UEFAチャンピオンズリーグ2023

2023-06-07
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6月10日(日本時間11日)にイスタンブールで行われるUEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝は、インテルに対してマンチェスター・シティが大きく有利とされている。

すべてを手にしてきたジョゼップ・グアルディオラ監督率いるシティにとって、欧州最高峰の大会は最後に残されたまだ制覇していないタイトルだ。優勝すれば、彼らは歴史的な3冠を達成する。

しかし、シティのMFケビン・デ・ブルイネは、勝つのが当然だとは考えていない。

デ・ブルイネは「インテルは非常に良いチームだ。決勝は五分五分だよ。常に難しいんだ」と話した。

「こういう瞬間をマネジメントしなければいけない。厳しい時間帯もあるだろう。でも、大事な局面で自分たちの仕事をするようにしたい」

「インテルには素晴らしい選手たちがいる。僕らは彼らをリスペクトしているよ。彼らも楽な相手を倒して決勝までたどり着いたわけじゃないんだ」

デ・ブルイネはシティ有利の見方の脅威を認識しているようだ。シモーネ・インザーギ監督率いるインテルが仕事を遂げ、シティで欧州制覇を目指すグアルディオラの苦悩を続けさせることはできるのか。『スポーティングニュース』では、インテルの優勝が可能な5つの理由を取り上げた。

3-5-2はペップ・グアルディオラの戦術的急所?

インザーギのインテルは、攻撃的な3-5-2で流れるような動きだ。ウィングバックのデンゼル・ドゥンフリースとフェデリコ・ディマルコが前線の2人を支えて前に出る役割を担う。だが、イタリアのチームが3バックだからといって、ステレオタイプなカテナッチョを見せると思ってはいけない。

アレッサンドロ・バストーニとフランチェスコ・アチェルビは、中盤に上がるセンターバックがシティのジョン・ストーンズだけではないことを示そうとするだろう。また、ハカン・チャルハノール、ニコロ・バレッラ、ヘンリク・ムヒタリアンの3人は、相手を破壊するよりも自分たちがつくり上げる中盤だ。

インテルにとって不吉なのは、今季のシティが最も良いパフォーマンスで勝利したのが、攻めようとしてきたチームとの試合だった点だ。決勝トーナメントでRBライプツィヒ、バイエルン・ミュンヘン、レアル・マドリーに快勝したホームでの試合はいずれもその例と言える。

しかし、グアルディオラ体制のシティにとって最悪だった試合のいくつかが、3-5-2を採用するチームとの試合だったのも事実だ。最も手痛い黒星だったのは、2019-2020シーズンのCL準々決勝リヨン戦や、2020-2021シーズン決勝のチェルシー戦だ。どちらも、相手による戦術的問題を前にグアルディオラが「考えすぎ」となった例である。

ポルトでカイ・ハバーツに試合唯一のゴールを許した20-21シーズン決勝以降、グアルディオラが戦術的な手直しをしていったことで、3-5-2はシティにとってさほど問題ではなくなったようだ。だが、インザーギのインテルは、最近ではあまり見なくなったかつての問題を蒸し返すかもしれない。

インテル攻撃陣の破壊力

決勝に向けてインザーギが悩む人選のひとつが、ラウタロ・マルティネスと組ませる前線のパートナーを、ロメル・ルカクにするかエディン・ジェコにするか。確かなのは、2トップを起用することだ。

最終ラインを再編成し、ストーンズにディフェンダー兼ミッドフィルダーのハイブリッドな役割を託して、保持時と非保持時で4バックと3バックを可変できるかたちにしたことは、2月以降のシティ好調の要因となった。だがこの間、彼らが従来型の2トップと対戦する機会はあまりなかった。

インザーギは、前線コンビがシティの隙を突くことを願っているだろう。特にトランジションの場面だ。この状況ではルカクの裏へのスピードが、ベテランのジェコよりも有利となるかもしれない。

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インテルとペップの交代策の違い

ルカクとジェコはどちらがベンチスタートになっても、最後まで出番が訪れないことはないだろう。インザーギはおそらく、他のどのトップクラスの指揮官よりも5人交代制を取り入れ、ほぼ常にフル活用している。

インザーギの交代の仕方は型どおりで、事前に予定されたものに見えることが少なくない。残り30分になると、両ウィングバックと両ストライカーを交代させるのがお決まりだ。つまり、ラウル・ベッラノーバ、ロビン・ゴセンス、ホアキン・コアレ、そしてルカクといった選手たちが、疲労した相手にとって新たな問題をもたらすのである。

ベンチメンバーの起用法は、おそらく両指揮官のアプローチで最も対照的な点だ。グアルディオラはうまくいっている時に試合のリズムを崩すかもしれない交代をしたがらない。アウェーでライプツィヒやマドリーと引き分けた試合では、ひとりも交代させなかった。

グアルディオラはCLでベルナルド・シウバ、イルカイ・ギュンドアンの2人のプレイメーカーを先発に起用してきた。それによって、交代の可能性はさらに減る。フィル・フォデンとフリアン・アルバレスは控えとしては素晴らしいオプションだが、彼らの投入はより混とんを生むことになるだろう。

また、グアルディオラは良質だが数は少ないチーム編成を好む。イスタンブールでの決勝に臨むフィールドプレイヤーは16人だろう。

このアプローチが機能してきたことは確かだ。だが、インザーギがいつものように交代をすることで、シティの疲労を突くことがあるかもしれない。

カップ戦決勝のスペシャリスト

多くの交代を行う以上にインザーギが好きなこと、それがカップ戦ファイナルだ。ラツィオ時代に2018-2019シーズンのコッパ・イタリアで優勝し、2017年と2019年のスーペルコッパ・イタリアーナ(イタリア・スーパカップ)を制している。

2021年にアントニオ・コンテの後を継いでインテルの指揮官に就任してからも、インザーギはコッパ・イタリアとスーペルコッパで2回ずつ優勝してきた。先月のコッパ・イタリア決勝は、ヨーロッパカンファレンスリーグのファイナリストであるフィオレンティーナを相手に、マルティネスの2得点で戴冠を果たしている。

シティとの対戦は、圧倒的により厳しい困難だ。だが、インザーギはカップ戦決勝と機会を得意としている。そして彼の選手たちが、そのノウハウを活用しているのは明らかだ。

12戦11勝の好調インテル

シティという有力候補に周囲の注目が集まるのは無理もない。だがそれは、インテルの現在の調子をやや影に隠すことにつながっている。前述のコッパ・イタリア決勝を含め、インテルはここ12試合で11勝しているのだ。唯一勝てなかったのは、フィオレンティーナとの決勝を前にメンバーを入れ替えて臨んだ、今季のセリエA王者ナポリに1-3と敗れた試合だけである。

インテルが準決勝でライバルのミランも見事に下してCL決勝にたどり着いたことを考えれば、好調のままイスタンブールに向かうのがシティだけでないことは明らかだ。

原文:Why Inter Milan can beat Man City: Lukaku and Guardiola's kryptonite formation among 5 keys to Champions League final(抄訳)
翻訳:スポーティングニュース日本版編集部


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