2009年にトニー・ブルームがオーナーになった時、ブライトン&ホーブ・アルビオンは下り坂にある下部リーグのチームだった。
だが、2年のうちにブライトンは壊れそうなウィズディーン・スタジアムからモダンで素晴らしいアメックス・スタジアムに本拠地を移す。資金の多くは天文学的に裕福なオーナーによるものだった。
そして彼らは優勝を果たし、2部でも地位を確立していき、さらにプレミアリーグ昇格を遂げた。
トニー・ブルームとは何者なのか。『スポーティングニュース』がブライトンのオーナーに迫る。
トニー・ブルームとは何者か?
1970年3月生まれのブルームは、ブライトンファンの家族の生まれだ。親族にはクラブの元ディレクターやバイスチェアマンもいる。
オーナーになる前のブルームは、プロのポーカー選手として知られていた。そのスキルはサッカーの世界でも役立ったと言われている。
ベッティングコンサルタント会社「StarLizard」の経営者であるブルームは、2022-2023シーズン途中に53歳となった。一部のクラブ会長たちのように積極的に物を言うわけではないが、時折ブライトンのメディア部門のインタビューに応じている。試合に訪れた際のファンからの人気も高い。
競馬ファンは、ブライトン同様に馬主としてもブルームを知っているだろう。彼の厩舎からは2022年のチャンピオンチェイスでEnergumeneが優勝している。
トニー・ブルームはどのように稼いでいる?
ポーカーでのニックネーム「The Lizard」(とかげ)にちなんで名づけられた会社「StarLizard」は、アナリスト軍団を使って世界中の各リーグの試合からデータを収集して大成功している。
StarLizardがユーザーに販売するデータは、一貫して生産的なブライトンの移籍方針にも役立っていると考えられている。ブルーム体制でブライトンは比較的無名の選手たちを多く発掘し、プレミアリーグでレギュラーを務めるほどに育ててきた。中には巨額で他クラブに移籍した選手もいる。
そのほか、ブルームは未公開株やその他の金融資産も持つと言われており、『Telegraph』は2009年に不動産投資額が数百万ポンドだと報じている。
トニー・ブルームが保有するブライトンの株式
前チェアマンのディック・ナイトからブライトンを買収した際、ブルームはクラブ株式の75%を取得した。
将来的に外国人投資家がクラブを買収する可能性について問われると、ブルームは2016年に「確かに彼らは第三者や様々な仲介者を通じてブライトンに興味を持っている」と答えている。
「彼らは買収に興味を示したが、私は断った。そのつもりはないからだ。将来どうなるかは誰にも分からない。先は長いんだ。だが、現時点で私にそのつもりはない」
トニー・ブルームの純資産
見積もるのは難しいが、複数の報道によると、個人資産は約13億ポンド(約2210億円/1ポンド=170円換算)と伝えられている。
『Sussex Express』は、2022年にブルームの資産が7億6500万ポンド(約1300億5000万円)でプレミアリーグのオーナーでは15位と報じた。
ブライトンの市場価値
ブライトンはプレミアリーグ昇格で予想された変貌を遂げた。地元紙『The Argus』は2019年にクラブの市場価値が2億2400万ポンド(約380億8000万円)まで上昇したと報じている。
だが、2021-2022シーズンまでの4シーズンで、ブライトンは2億7000万ポンド(約459億円)の損失を計上した。決算では、ブルームへの依存度が変わらず高く、当時で4億9900万ポンド(約848億3000万円)の負債と明らかになっている。
また、ブライトンは2021-22シーズンにコンサルタント料としてStarLizard社に300万ポンド(約5億1000万円)を支払った。ただ、モイセス・カイセドや三笘薫のように、比較的安価で手に入れながら高額の市場価値がついた選手を獲得する上で、同社の分析が役立ったことを考えれば、十分な価値があっただろう。
直近のシーズンでブライトンは随時、選手売却で利益をあげてきた。そこから毎年利益を出しており、経営モデルに不可欠となっている。
彼らはベン・ホワイトをアーセナルに5000万ポンド(約85億円)で売却し、マルク・ククレジャをチェルシーに6200万ポンド(約105億4000万円)で放出した。グレアム・ポッター前監督も2100万ポンド(約35億7000万円)でチェルシーに売却している。これらの取引は、ブライトンが最近発表した決算で記録的な利益を計上するのに役立った。
原文:Who owns Brighton? Explaining how much owner Tony Bloom paid, net worth, and current value of club(抄訳)
翻訳:スポーティングニュース日本版編集部