マンチェスター・ユナイテッドのプレミアリーグ時代の覇権にマンチェスター・シティが挑戦するようになり、この20年でマンチェスターダービーは新たな次元に突入した。2023年6月3日(日本時間4日)には、FAカップの決勝で彼らの対戦が実現し、2-1でシティが勝利している。
ユナイテッドが1992年から2013年までにプレミアリーグで13回の優勝を果たしたのに対し、シティは各ディビジョンを渡り歩いていたが、ようやくその後トップリーグの強力な一角として台頭した。
2008年のアブダビ資本による買収以降、マンチェスターにおけるライバル関係という意味でも、ヨーロッパの強豪としての地位においても、シティはクラブとして変貌を遂げ、ワールドクラスの選手たちをそろえたチームになっている。
2008年以降、シティは信じられないほどに持続的な成功の時期にあり、マンチェスターダービーの様相は完全に変わった。以下、彼らの対戦の歴史を見ていこう。
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マンチェスター・ユナイテッド対マンチェスター・シティの歴史
マンチェスターダービーはイングランドサッカー界で最も歴史あるバトルのひとつであり、最初の対戦は1881年まで遡る。ユナイテッド創設から3年、シティ創設からわずか12か月後のことだ。
その運命は大きく分かれることがたびたびだったが、両者はそのライバル関係からダービーで激しく競い続けてきた。だが、シティが通算勝利数でユナイテッドに並ぶのは、少なくともあと10年はない。
1881年以降の公式戦で両チームは通算190回対戦し、ユナイテッドが78勝、シティが59勝している。引き分けが53回だ。
※データは現地2023年6月3日時点。
大会別通算勝利数
大会 | 試合数 | ユナイテッド 勝利 |
シティ 勝利 |
ドロー | ユナイテッド 得点 |
シティ 得点 |
---|---|---|---|---|---|---|
リーグ戦 (旧1st/2nd Div.) |
116 | 41 | 32 | 43 | 162 | 160 |
プレミアリーグ | 52 | 25 | 18 | 9 | 76 | 74 |
FAカップ | 10 | 6 | 4 | 0 | 19 | 14 |
ELカップ | 10 | 4 | 5 | 1 | 11 | 16 |
コミュニティシールド | 2 | 2 | 0 | 0 | 4 | 2 |
合計 | 190 | 78 | 59 | 53 | 272 | 266 |
FAカップにおけるマンチェスターダービー
マンチェスターの2チームによるFAカップでの対戦は数少なく、最初の対戦は1891年。まだアードウィックAFCとして知られていたシティにユナイテッドが5-1で勝利した。
シティがリベンジを果たしたのは、1925-1926シーズンの準決勝。3-0とユナイテッドに勝利したが、決勝ではボルトン・ワンダラーズに敗れている。
シティは1955年にもユナイテッドを下し、FAカップでのマンチェスターダービーで見事な結果を残し続けたが、1970年大会では黒星を喫した。
その後3回の対戦はユナイテッドが制している。1990年代から2000年代初頭にかけ、両クラブの道は分かれたからだ。2008年以降の2回の対戦は、両チームがそれぞれ1勝ずつあげている。
だが最も直近の2023年決勝の対戦では、イルカイ・ギュンドアンの2ゴールでシティが2-1と勝利を収めた。
FAカップにおけるマンチェスターダービー
日付 | ラウンド | 結果 | 得点者 |
1891年10月3日 | 予選1回戦 | アードウィックAFC 1-5 ユナイテッド | AFC: 記録なし U: Doughty, Farman x2, Edge, Sneddon |
1926年3月27日 | 準決勝 | シティ 3-0 ユナイテッド | 記録なし |
1955年1月29日 | 4回戦 | シティ 2-0 ユナイテッド | 記録なし |
1970年1月24日 | 4回戦 | ユナイテッド 3-0 シティ | U: モーガン、キッドx2 |
1987年1月10日 | 3回戦 | ユナイテッド 1-0 シティ | U: ホワイトサイド |
1996年2月18日 | 5回戦 | ユナイテッド 2-1 シティ | U: シャープ、カントナ(P) C: レスラー |
2004年2月14日 | 5回戦 | ユナイテッド 4-2 シティ | U: スコールズ、ファン・ニステルローイx2、ロナウド C: タルナト、ファウラー |
2011年4月16日 | 準決勝 | シティ 1-0 ユナイテッド | C: トゥーレ |
2012年1月8日 | 3回戦 | シティ 2-3 ユナイテッド | C: コラロフ、アグエロ U: ルーニーx2、ウェルベック |
2023年6月3日 | 決勝 | シティ 2-1 ユナイテッド | C: ギュンドアンx2 U: B・フェルナンデス |
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プレミアリーグにおけるマンチェスターダービー
プレミアリーグ時代のマンチェスターダービーは、2008年を境にほぼ真逆だ。当初はユナイテッドが支配した。
2002年まではユナイテッドの8連勝や2回のドローという結果だったが、その2002年にショーン・ゴーターが2得点をあげ、プレミアリーグ時代になって初めてシティがユナイテッドに勝利。ゴーターはシティの歴史に名を刻んだ。
それまでは圧倒していたユナイテッドだが、その直前の2001年4月にオールド・トラフォードで行われ、1-1のドローに終わった試合は、好ましくない理由で人々の記憶に残っている。現在のシティのスーパースター、アーリング・ハーランドの父アルフ・インゲ・ハーランドに対する悪質なタックルで、ロイ・キーンが退場となった一戦だ。
ゴーターが活躍した試合以降、シティは断続的に堅実さを手にする。以降のプレミアリーグでの7試合で、シティが負けたのは2試合だけだ。2008年の買収を前に最後に行われたダービーで、シティはオールド・トラフォードで勝利している。
しかし、新たな資本注入で即座に立場が入れ替わったわけではない。その後もユナイテッドがダービーでは笑い続けたのだ。特に記憶に残る試合のひとつが、終盤にマイケル・オーウェンが決勝点をあげ、4-3でユナイテッドが勝利したスリリングな2009年の対戦だろう。
ユナイテッドは2009-2010シーズンのダービーも終盤のポール・スコールズのヘディング弾で制し、プレミアリーグでのシーズンダブルを果たした。以降、ユナイテッドがシーズンダブルを成し遂げたのは、オーレ・グンナー・スールシャール監督時代の2019-2020シーズンになってからだ。
ユナイテッドにとって現時点で最後のダービーにおける最高の瞬間は、2011年にウェイン・ルーニーがバイシクルシュートで決勝点をあげた場面だろう。2016年にジョゼップ・グアルディオラ監督がマンチェスターにやって来てから、ダービーはずっとシティに傾いているからだ。
グアルディオラは2016年から2019年まで、就任から6回のマンチェスターダービーで4勝をあげた。それから多少の行き来を経て、ハーランドの獲得がシティに新たな一面を加えた。
この点取り屋のノルウェー人ストライカーは、エティハド・スタジアムでシティが6-3と勝利した2022年10月の試合で、自身初のマンチェスターダービーでハットトリックを達成したのだ。ダービーでの3得点は、1994年のアンドレイ・カンチェルスキス以来のことだった。
ユナイテッド対シティのトロフィー比較
通算獲得タイトル数ではユナイテッドが大きくリードしている。だが、イングランドサッカーの歴史における支配的な強豪2チーム、ユナイテッドとリバプールに追いつかんとしているシティの急速な成長にスローダウンの兆しはない。
ユナイテッドとシティの大会別獲得トロフィー数
大会 | ユナイテッド | シティ |
ファーストディビジョン | 7 | 2 |
プレミアリーグ | 13 | 6 |
FAカップ | 12 | 7 |
EFLカップ | 6 | 8 |
チャリティー/ コミュニティーシールド |
21 | 6 |
ヨーロピアンカップ/ UEFAチャンピオンズリーグ |
3 | 0 |
UEFAカップ/ ヨーロッパリーグ |
1 | 0 |
UEFAスーパーカップ | 1 | 0 |
UEFAカップウィナーズカップ | 1 | 1 |
FIFAクラブワールドカップ | 1 | 0 |
インターコンティネンタルカップ | 1 | 0 |
原文:Man United vs Man City history head to head: All-time records, matchups, FA Cup showdowns(抄訳)
翻訳:スポーティングニュース日本版編集部
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