【独占コラム】神戸から見えた『強いチームの証』(ジェイ・ボスロイド)

2023-05-19
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(Getty Images)

サッカー元イングランド代表のフォワード(FW)で、Jリーグのジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌でもプレーしたジェイ・ボスロイド氏が、最近のJリーグについて『スポーティングニュース』に独占コラムを寄稿した。5月19~20日の週末に行われるJ1第14節を前に、気になるチームの現状を分析する。


頂点に立つチームは調子が良くないときに結果を出す

得点は勝利をもたらし、無失点は優勝をもたらす。常に好調を維持することは困難で、ときには耐え忍ぶことも必要になる。先週末のJリーグでは、最も好調のチームから、その忍耐力が見られた。

ヴィッセル神戸は横浜F・マリノスに敗れてから、4試合負けなしで、昨季王者との勝ち点差を5に広げた。

サンフレッチェ広島戦では、いいプレーができなかった。ボール保持率はそれほど高くなかったし、枠内シュート数も少なかったが、プレーは堅実だった。オウンゴールという幸運な形での得点だったが、ディフェンダーとキーパーの間に出した、武藤嘉紀の素晴らしいパスが得点を生んだ。もし、(広島の)荒木隼人が足を出さなかったら、山口蛍が押し込んでいただろう。

まだタイトルの話をするには早すぎるが、どのリーグでも、頂点に立つチームは調子が良くないときに結果を出すものだ。今回の神戸からも、それを感じた。広島はとても強いチームだからだ。神戸は上位に留まるだろう。

神戸のスタジアムは素晴らしい。私がプレーしたときは、いつも接戦で難しい試合だった。すべてがうまくいくか、相手が結果を出すか、どちらかだった。この試合も、その通りになった。広島にとっては思い通りの試合ができず、神戸は観客の声援を背に、毅然とした態度でコンパクトに戦った。

吉田孝行監督率いる神戸は、とてもいいチームだ。アンドレス・イニエスタは、まだほとんどプレーしていないが、チームはよく鍛えられていて、組織もしっかりしているので、倒すのが難しい。前節のように本調子ではない試合にも勝つことができるのは、強いチームである証拠だ。

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新潟はエネルギーがあり、質の高い選手がいるチーム

翌日、アルビレックス新潟が横浜FMを破ったことで、神戸の勝利の意味も大きくなった。

新潟はエネルギーがあり、質の高い選手がいるチームのひとつだ。両サイドにスピードのある選手がいて、プレスをかけることができて、いいコンビネーションプレーも持っている。試合に負けるのは、若手選手が多いことによる経験不足が出るときだ。しかし、マリノス戦では、一つ一つのタックルで負けていなかったし、いいサッカーを展開した。

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藤田譲瑠チマに先制された後、新潟はチームスピリットを見せた。他の多くのチームなら、心が折れていたかもしれない。三戸舜介の2点目は信じられないゴールだった。ボールはネットに突き刺さり、ゴールキーパーの一森純は、振り返ってそれを見ることしかできなかった。それくらい強烈な一撃だった。

あのようなシュートは、キーパーは絶対に防げない。すさまじい一発であり、素晴らしいパフォーマンスを締めくくるに相応しいゴールだった。

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素晴らしいスタジアムと、素晴らしい歴史を持つ鹿島

鹿島アントラーズは開幕から不調だったが、現在は5連勝で5位に浮上した。前節は、名古屋グランパスが支配していたので、これも不思議な試合だった。名古屋から勝ち点3を取れたのは大きな成果だ。

神戸と同様、鹿島とのアウェイ戦もタフだ。もしチャンスを逃したら、彼らはホームの観客の前で必ず得点を挙げる。素晴らしいスタジアムと、素晴らしい歴史を持つクラブだ。

樋口雄太は、セットプレーとオープンプレーの両方で見事だった。彼は勤勉に動く、とてもいい選手だ。日本には、ボールの扱いやインターセプトがうまい選手がたくさんいる。だが、樋口はアグレッシブで、果敢にタックルも繰り出す。知念慶の試合を決めた得点は、樋口がいなければ生まれていなかっただろう。

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札幌の「トップ5のフットボール」が見たい

私の古巣、北海道コンサドーレ札幌は、いい数週間を過ごしている。勝利が期待された試合ではあったが、実際に勝つのは簡単ではない。

小柏剛のスピードは、試合を通して湘南ベルマーレを悩ませたし、金子拓郎を一対一で守るのは簡単ではない。素早くて強く、左右どちらにでも抜けるからだ。

あとは、鹿島、広島、横浜FMといったチームとの対戦で、このようなパフォーマンスを見せてほしい。彼らのようなチームを倒すことが、トップ5に入る方法なのだ。もう10〜13位に興味はない。トップ5のフットボールを見たい。それが進歩であり、ここ数年、札幌ではそれが見られていない。

翻訳:早坂卓真