サッカー元イングランド代表のフォワード(FW)で、Jリーグのジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌でもプレーしたジェイ・ボスロイド氏が、先日のサッカー日本代表の国際親善試合(3/24 ウルグアイ戦、3/28 コロンビア戦)について『スポーティングニュース』に独占コラムを寄稿し、三笘薫、鎌田大地、町野修斗、古橋亨梧らについて持論を展開した。
日本のゴールデンボーイの称号は三笘薫に
サッカー日本代表は先月、FIFAワールドカップ・カタール2022での悔しい敗退後、初めてとなる試合で、ウルグアイ代表、コロンビア代表と対戦した。
1-1の引き分けと1-2の敗戦は最高の結果ではなかったが、パフォーマンスは十分に評価できるものだった。また、ひとつだけはっきりしたことがある。
久保建英は、日本サッカー界のゴールデンボーイだと言われ続けてきたが、いまはそれが三笘薫に変わったということだ。
三笘のコロンビア戦の得点は素晴らしかった。ペナルティエリア内に、あのような形で彼が走り込んでくるなど、誰も予想しなかっただろう。
得点が決まったのは、ヘディングのタイミングが最高だったからだ。好機を逃さず走り込んで、ピークの位置でボールを捉えてゴールに叩き込んだ。方向も完璧だった。
正直、三笘について話すことに、私はもう飽きてきている! 彼は頭を使ってプレーするので、対人に強くなくても問題ない。フィジカルを使わなくてはいけない状況を避けられるからだ。
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私も必要なとき以外はフィジカルを使わなかった。頭を使って動くことが重要だからだ。逆をつく動きで、ディフェンダーを困惑させたものだ。ボールを裏で欲しいときは一度下がり、足元で欲しいときは一度距離をとってから戻るようにしていた。
三笘に注目すると、彼が何度もこういったプレーをしていることがわかるだろう。ゆっくり落ちてきて、素早く裏にスプリントする。スピードがあるので、ボールに追いつけるのだ。足元でボールをもらえば、シューズにボールが吸い付いているかのようにドリブルし、正確な判断で正しいパスを選択する。
日本のゴールデンボーイはたいていアディダスが大型契約を結ぶから、きっと彼らは三笘にもアプローチしているはずだ(編集部注:三笘は現在プーマと契約している)。
鎌田大地の良さを引き出す方法
一方、鎌田大地には問題があると思う。どちらの試合でも、彼のプレーは良くなかった。彼のいないエリアでアクションが起き、影響も与えられなかった。森保一監督は、彼の良さを引き出す方法を見つけなければならない。
アイントラハト・フランクフルトでプレーするときの鎌田は素晴らしく、100万ドル級の選手に見える。だが、日本代表では平凡な選手になる。彼の周辺で起こっているプレーに、うまく関与できていない。
比肩するほどではないが、鎌田を見ていると少しだけメスト・エジルを思い出す。スピードはないが足元の技術があるので、ボールが集まるタイプの選手だ。
日本はポゼッションベースのサッカーに移行しようとしているが、サイドではまだスピードを使っている。それに加え、いまは三笘というスター選手がいる。チームがいつも彼にボールを預けようとしているのは明らかだ。フランクフルトでは、鎌田がそういう選手だ。だからこそ、彼は多くのアシストと得点を記録できている。
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この問題を解決するには時間が必要だ。来年初めにはアジアカップがあるが、日本がワールドカップ出場権を逃す心配はないので、その時間はあるはずだ。
カタールW杯で、三笘が3-5-2のウイングバックとして起用されていたことは信じられなかった。だから、4-2-3-1を採用することには賛成したい。彼には、できるだけ多く1対1の状況を与えるべきだ。そうすれば、中に切れ込んで鎌田との連係も増えるはずだ。
ブライトンでは、アレクシス・マック・アリスターといい関係が築けている。日本代表でも、似たような化学反応を起こすことができれば、鎌田のベストを引き出せるだろう。
コロンビア戦でいいパフォーマンスを見せた町野修斗
しかし、2人がいくらチャンスを生み出しても、安定感があって信頼の置けるゴールスコアラーがいなくては、強豪チームには苦戦する。
センターフォワードは、日本が以前から課題を抱えているポジションだが、コロンビア戦に出場した湘南ベルマーレの町野修斗は、いいパフォーマンスを見せた。
23歳の彼は、体が大きく、ポストプレーもうまい。湘南のような、Jリーグでも強豪とは言えないチームでプレーしていると、実力を見せるのが難しいが、彼はとてもよくやっている。
古橋亨梧の代表招集はマスト
ワールドカップ前にも議論されたことだが、選出されなかった古橋亨梧についても言及しなければならない。このセルティックのストライカーこそ、日本が必要としている9番だ。彼はチャンスを無駄にしない。ヴィッセル神戸のときもそうだったし、セルティックでも活躍を続けている。
その場しのぎで、浅野拓磨にセンターフォワードをやらせるべきではない。2トップで起用するのであれば、浅野と古橋が適任だろう。だが、得点を挙げる選手が必要なのであれば、古橋をメンバーに選出するのは、マストだ。
スコットランドリーグのレベルに満足できないという森保監督の発言には、賛成できない。彼は前田大然を選出している。セルティックは、オランダやベルギーのチームと対戦すれば、相手を苦しめるだろうし、きっと勝つこともできるだろう。
憶測に過ぎないが、もっと根深い問題があるのかもしれない。こればかりは私にはわからない。ただ、はっきりしているのは、古橋が今季28得点(注:4月8日のレンジャーズ戦終了時点のクラブ公式戦における今季合計得点)を挙げているということと、日本が成功したいのならば、彼のようなフォワードが必要だということだ。
翻訳:早坂卓真