【独占コラム】古巣コンサドーレ札幌の相変わらずの問題点(ジェイ・ボスロイド)

2023-04-28
読了時間 約2分
(Getty Images)

サッカー元イングランド代表のフォワード(FW)で、Jリーグのジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌でもプレーしたジェイ・ボスロイド氏が、最近のJリーグについて『スポーティングニュース』に独占コラムを寄稿した。4月29~30日の週末に行われるJ1第10節を前に、前年王者横浜F・マリノス、古巣北海道コンサドーレ札幌といったチームの現状を分析する。


今季の得点王はロペスになると予想

前節で首位の神戸を下した、Jリーグ現王者の横浜F・マリノスは今週末、今度はアウェイで絶好調の名古屋グランパスと対戦する。

ヴィッセル神戸はまだ首位に立っていて、私は彼らがこのまま首位を維持すると予想している。彼らは2022年シーズンから大きな成長を見せており、エネルギーに満ちたプレーをしている。それに加え、アンドレス・イニエスタの完全復帰も待っている。

しかしマリノスは、ノエビアスタジアム神戸で0-2の劣勢から3-2での逆転勝利を収め、日本の強豪クラブであることを示した。ケビン・マスカット監督のチームは、最後まで諦めずに戦い続け、昨年のチャンピオンになった実力を残さず発揮した。

私の元チームメイトのアンデルソン・ロペスは、今季の得点王になると予想する。ここ3試合で5得点を挙げるなど、今季は9試合で7得点と絶好調だ。

多くのチャンスを作れるチームにそういう選手がいれば、必ずゴールは生まれる。マリノスのいいところは、起点がクロスでもスルーパスでも、チャンスはすべてペナルティーエリア内で生まれているところだ。先週末のロペスの2ゴールも、そうだった。

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アンデルソン・ロペスが特別な選手である理由

ロペスが典型的なストライカーでないことを考えると、彼の得点力は驚異的だ。札幌で一緒にプレーしていた時は、ドリブルもフィニッシュも上手いし、フィジカルも強いので、低い位置から持ち上がるタイプの選手だった。

マリノスには、ロペスを追い越していくウィングの選手がいて、ロペスは後から入っていく。私と一緒にプレーしたときもそうだった。私は9番で、彼はいい位置から得点を取れるポジションに入っていく。また、チーム全体への貢献度も高い。直接のアシストこそ少ないものの、多くのプレーに絡んでくる。自己犠牲の精神を持つ彼の、典型的なプレーだ。

マリノスと対戦したとき、相手がマリノスを恐れるのは、ロペスの存在があるからだ。

いろいろなタイプの監督を知るのは日本サッカー界にとって重要

また、マスカット監督はナンセンスなことに耐えられない男だ。オーストラリア代表だった現役時代もアグレッシブで、いまもその姿勢やスタイルは変わらず、チームにいい影響を与えている。彼らは自分たちを信じる結束力の強い集団なのだ。

サイドラインで声を張り上げる姿に、最初はカルチャーショックを受ける選手たちもいただろうが、いろいろなタイプの監督を知るのは、日本サッカー界にとって重要なことだ。

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ジュビロ磐田に入団した当初の私は、まさにそのような感じだった。チームメートに多くを要求し、大声を出し、毎週いいパフォーマンスを発揮するようプレッシャーをかけた。札幌に行ったときも状況は同じだった。彼らは下位に沈み、苦しんでいた。

大声を出して多くを要求しすぎたために、選手を泣かせてしまったこともあった。だが、最後には結果とパフォーマンスがついてきて、選手たちにも信念が生まれたので、もう声を張り上げる必要はなくなった。

マスカット監督が毎日トレーニングで大声を出しているとは思わない。しかし、神戸戦で0-2の劣勢に立たされたときなど、十分なパフォーマンスを発揮できていないと、彼の怒りを感じることになるだろう。彼は、このような状況で選手たちを活気づける方法を知っているはずだ。優秀な監督なら、誰もがそうであるように。

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札幌の相変わらずの問題点

残念ながら、私の古巣である北海道コンサドーレ札幌には、そのようなリーダーシップが欠けているということが、日増しに明らかになってきている。アビスパ福岡戦の2-2での引き分けは、運が悪かった部分もあるかもしれないが、毎節2、3失点して、試合に勝とうなんて無理な話だ。

私はそこに苛立っている。ディフェンダーはコミュニケーション不足で、誰も舵を取ろうとしない。今季、札幌より多く失点しているのは、最下位の横浜FCだけだ。

福岡戦では札幌がポゼッションで圧倒していたが、それは数字上での話だ。ボールを保持していたのは、キーパーとディフェンダーのあたりがほとんどだった。そこでは得点は生まれない。

ハーフウェイライン付近でボールをキープしていれば、相手のディフェンスの裏にボールを入れたり、ワイドに展開したり、スルーパスを出したりすることができる。自陣クォーターでボールを回しているだけだと、敵陣に攻め込むのに、70メートル以上のパスを出さなければならない。だから相手チームは気にしない。札幌がどんなチームか知っているから、ボールを持たせてくれるのだ。

もう4年も同じことを繰り返している。札幌はルヴァンカップのサガン鳥栖戦に4-1で勝利したことで盛り上がっているが、あのカップ戦は全く意味のない大会だ。準々決勝、準決勝までは、出場機会に恵まれない選手や若手選手のためのものだ。グループステージまでは何の意味もない。私もそこに興味はない。

私が加入したときの札幌は下位にいたが、得点を挙げ、毎試合1失点以内に抑えることができたので、10位まで順位を上げることができた。チームを築き上げるための基盤があった。ディフェンスの選手たちは、守備が好きだったし、ギリギリのところで身体を投げ出してくれた。それからテクニックのある選手にパスをして、攻撃を任せる。成功するには、得点だけではなく守備もできなくてはいけないのだ。

石川直樹、河合竜二、そして、キム・ミンテがいた。守備の仕事が好きなディフェンダーたちだ。いまのミハイロ・ペトロヴィッチ監督の札幌には、その姿勢が見られない。

翻訳:早坂卓真