【独占コラム】ライス、ハバーツ、ティンバー…大型補強を進める冨安健洋所属のアーセナルの来季はどうなる?(ジェイ・ボスロイド)

2023-07-06
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Getty Images

サッカー元イングランド代表のフォワード(FW)で、Jリーグのジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌でもプレーしたジェイ・ボスロイド氏が、この夏に大型補強を施している自身のユース時代の古巣であり、日本代表の冨安健洋も所属しているアーセナル(プレミアリーグ)について『スポーティングニュース』に独占コラムを寄稿した。


ライスはそのポジションで最高の選手の一人

昨季、プレミアリーグのタイトルを逃したアーセナルは、この移籍市場で大きな発表が必要だった。この1週間で、彼らは実際に動いた。

デクラン・ライスは、誰もが欲している男だ。彼は史上最高額のイングランド人サッカー選手になり、アーセナルは最高の選手を獲得することになる。同じポジションでは、最高の選手のうちの一人だ。

ウェストハムでの彼は素晴らしかった。キャプテンとしてチームを率いて、ヨーロッパ・カンファレンス・リーグ優勝に導いた。彼がビッグクラブの選手として大舞台で活躍する姿はまだ見たことがないが、そのチャンスが巡ってきたのだ。

個人的には、ライスを獲得するだけで今回の移籍市場が終わるとは思わなかった。得点を挙げるわけではない守備的なミッドフィルダーに1億ポンド(約183億円/1ポンド=183円換算)は大金だ。グラニト・ジャカと、トーマス・パーティが退団することになれば、トップクオリティのミッドフィルダーを2人獲得する必要がある。チャンピオンズリーグでは、昨季のヨーロッパリーグでそうしたように、ローテーションを回せる状況にはない。

興味深いハバーツの加入

だからこそ、カイ・ハバーツの加入は興味深い。チェルシーでは厳しい時間を過ごしたが、それは彼と同じポジションの選手がほかにいたからだ。バイヤー・レバークーゼン時代、彼はヨーロッパで最も注目される選手の一人で、中盤や10番としてプレーしていた。ストライカーやワイドの選手としてはプレーしていなかったのだ。

チェルシーでハバーツは苦難を味わった。サッカー選手として、本来とは違うポジションでプレーしていると、ベストを尽くすことはできない。そのポジションでの感覚を持っていないからだ。

チェルシーでの彼は批判されていたが、正直に言えば、チェルシーはチームとして悪かった。本来のポジションでプレーできていなかったハバーツには、公平な機会が与えられていたとは思えない。

アーセナルが彼を8番や10番の位置で起用するのであれば、私はこの契約を嬉しく思う。ライスが底にいて、2列目の両側にハバーツとマルティン・ウーデゴールがいれば、素晴らしい中盤になる。

ティンバーの移籍が実現すれば…

昨季、ミケル・アルテタ監督のアーセナルに欠けていたのは、攻撃の質ではなかった。ウィリアム・サリバと冨安健洋の負傷により、大事な時期に守備が手薄になった。アヤックスからユリエン・ティンバーの移籍が決まれば、非常に重要な補強になるだろう。

彼は強靭で素早く、オランダ人らしくボールの扱いにも長けている。オランダでは美しいサッカーをするよう教えられるので、ディフェンスからボールを運び出し、パスを出すのがうまくなるのだ。

4000万ポンド(約73億円)前後というのは妥当な値段だが、以前、素晴らしいチームだったアヤックスが崩壊したときのことを考えると、少し考えてしまう。2019年のアヤックスは、信じられないほどの活躍で、チャンピオンズリーグ決勝まであと一歩に迫る結果を残した。しかし、ハキム・ツィエク、ドニー・ファンデベーク、マタイス・デリフトが相次いで移籍し、チームは衰退した。フレンキー・デヨングもバルセロナに移籍したが、まだ世界を魅了することはできていない。

これらの例を見ると、ティンバーにとって移籍は簡単ではないかもしれないが、アーセナルはディフェンダーを必要としているし、金銭面から見ても彼の獲得は最適な選択だと思う。

翻訳:早坂卓真