【現地レポ】悲願のベスト8へ。日本代表はクロアチアとどう戦う? ドイツ・スペイン戦との違いは|カタールW杯

2022-12-05
読了時間 約2分

FIFAワールドカップ・カタール2022。日本代表は”死の組”といわれたグループを突破した。コスタリカに敗れたものの、ドイツ、スペインという列強国を撃破する快挙を成し遂げてのラウンド16(ノックアウトステージ/決勝トーナメント)入りだった。

しかし「まだ何も成し遂げていない」(森保一監督)。

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目標に掲げるベスト8進出に向け、まだ大きな仕事が残っている。12月5日(日本時間6日)に行われる運命のクロアチア戦に、日本代表はどのように臨むのだろうか?

現地からレポートする。(以下、取材・文=林遼平)

■「このチャンスは4年に一度しかこない」

4度目の挑戦だ。

開催国として参加しながらトルコに敗れた2002年大会、PK戦の末にパラグアイに敗戦を喫した2010年大会、そして『ロストフの悲劇』と呼ばれ、ベルギーを相手に後半アディショナルタイムの失点により夢が潰えた前回大会。これまで日本は3度、決勝トーナメントにたどり着いた。

だが、ベスト8の壁は非常に高く、さらなる高みを目指す挑戦はいつも跳ね除けられてきた。“いつこの壁を打ち破るのか”。これは日本サッカーに関わる人々にとって大きなテーマの一つと言っていいだろう。

それが今回、成し遂げられるのか。前回大会の悔しさを知る吉田麻也は、決勝トーナメント1回戦を前に自身の思いを口にした。

「このベスト16の壁を破るために、この4年間、毎日いろいろなものを犠牲にしてやってきた。それは僕だけでなく、すべての選手がいろいろな思いを持ってここに来ています。やはり日本のサッカーがもう一個上のレベルになるためにはコンスタントに予選を突破していくチームにならないといけない。今回初めて2大会連続でベスト16に行きましたけど、ここで満足せずに、(長友)佑都もいつも言っていますけど、新しい歴史の1ページを刻みたいです。このチャンスは4年後にしか来ないので逃すわけにはいかない。本当にいま日本がサッカーで盛り上がっていて世界中に注目される中、この予選を突破してからどう戦うかがすごく重要になってくるんじゃないかなと思います」

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■クロアチア相手にどう戦うか?

ベスト8をかけた重要な大一番。日本は難敵との戦いが待っている。相手は過去のW杯の舞台で2度、日本の前に立ちはだかったクロアチアだ。「ドイツやスペインみたいに圧倒的につないでくるチームではない。柔軟性、対応力に優れているところは少し日本に似ている」とは田中碧の言葉だが、組織的なサッカーを志向し、チーム全員がハードワークする姿は日本と酷似するところがある。中盤の選手たちが流動的に動きつつ、ダイナミックな展開からサイド攻撃を狙う一連のプレーは、日本の脅威となることだろう。

ただ、これまで相対していたドイツ、スペインのように長い時間、自陣に追いやられる展開になるとは考えづらい。自分たちがボールを持つ時間が増えることが予想されるだけに、守備にだけ目を向けるのではなく、いかに主体的に攻撃を仕掛けていけるかはポイントになる。

「システム上、どうしてもブロックを作って後ろに重たくなると、前に出ていく選手がいなくなってしまうところがある中で、受けて、散らすということを、ボールを失っても続ける勇気や自信をもっと全体として持たないといけないと思っています。やはり攻撃機会を相手に与えれば与えるほどチャンスを作られてしまいますし、延長とPKまであるので90分だけで終われるわけでもない。そこを考えてもボールを持つべきところは持たないといけないと思っています」(守田英正)

守備面ではバロンドーラーのルカ・モドリッチをどう封じていくかが鍵を握る。中盤の深い位置に降りたり、前線の高い位置を取ったりと、動きながらチーム全体の攻守の圧力を変えていく選手なだけに、自由にさせないことが重要。ダブルボランチに入ることが予想される遠藤航と守田で、90分を通して抑えることができれば勝利に近づくはずだ。

気をつけたいのはセットプレーだ。「硬い試合をするべきだと思いますし、そういう意味で僕はDFなので無失点に抑えることができればいい」とは冨安健洋の言葉。こういった一発勝負のトーナメントでは、これまで以上に1点の重みが大きくなる。高精度のキックを持つモドリッチのFKやCKは警戒する必要があるため、できるだけセットプレーの機会を与えたくない。そういったことを考えても、ボールを保持しながら巧みに隙をついていきたいところだ。

過去を振り返れば、ベスト16の壁は確かに高く見える。だが、ドイツやスペインを破った力が本物であることは間違いない。26人全員の力を合わせ、勇敢に、勇気を持って目の前の試合に挑む。自分を信じ、仲間を信じることで、高い壁を破り新しい景色を見に行く。

取材・文=林遼平


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