【ジェイ・ボスロイド独占コラム】古巣・札幌の現状を憂う「とても心配している」

2023-03-03
読了時間 約3分
(Getty Images)

サッカー元イングランド代表のフォワード(FW)で、Jリーグのジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌でもプレーしたジェイ・ボスロイド氏が、2023年シーズン第3節を控えるJリーグについて『スポーティングニュース』に独占コラムを寄稿した。

試合終盤のPKの蹴り直しで物議を醸した第2節の川崎フロンターレ対鹿島アントラーズの一戦や、古巣・札幌の現状について、歯に衣着せぬ持論を展開している。


【動画】ジェイ・ボスロイド氏が語る古巣・札幌の問題点

 

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「王者の横浜F・マリノスを倒すのは難しそう」

Jリーグの新シーズンが始まって2週間しか経っていないが、すでに、王者の横浜F・マリノスを倒すのは難しそうに見える

ケヴィン・マスカット監督は、とてもうまくチームをまとめ上げた。彼はハイプレスを好む監督だ。イングランドで選手としてプレーしていたときの彼がそうであったように、選手たちにもアグレッシブなプレーを求める。

マリノスはエネルギッシュにプレーする。ポゼッションを失わないだけでなく、素早く突破できる能力は、他のチームには真似できないものだ。いいプレーができていないときでも、スピードのあるアタッカーと、得点を決められるフィニッシャーがいる。アンデルソン・ロペスは、得点王を争える選手だ。

ヤン・マテウスは、2-0で勝利した浦和レッズ戦で得点を挙げた。マリノスのスカウト陣が優秀なことを証明する好例だ。チームの中に、ブラジル人5選手の小さなコミュニティーがある。話し相手がいて、居心地もいいはずだ。

ジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌では、イングランド人が私一人だったので苦労した。(チームメートよりも)イングランド人の通訳との方が親しくなったくらいだ。一人でチームに加入すると、適応するのは難しいものだ。マテウスがマリノスに加入したときに、他のブラジル人選手がいたことは救いになっただろう。

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「失敗したPKは、今まで見た中でも最低のものだった」

第2節のビッグニュースは、川崎フロンターレが鹿島アントラーズを2-1で下した試合の終盤に起こった出来事だ。終了間際に川崎が同点に追いつき、退場者が出て、PK失敗があり、PKのやり直しがあった。短い間にたくさんのことが起こったのだ!

失敗したPKは、今まで見た中でも最低のものだった。キーパーはボールが来る前に、すでに地面に倒れていた。私は家長昭博を高く評価しているが、あのPKは彼のような高い技術を持つ選手が蹴るようなものではない。ひどいPKだったが、やり直しのPKを自らもう一度蹴った勇気は認めたい。

私はPKを蹴るときに特別なテクニックを使ったりしなかった。蹴る方向がキーパーにバレないように、助走は短めにとった。キーパーが触れてもゴールが決まるように、シュートに力を込めて角を狙った。

方向はキーパーから見て左に蹴るのが好きだった。サイドネットか上の角に突き刺すように蹴るのだ。家長がとったようなリスクはとらなかった。PKを蹴ってキーパーがファインセーブをしたら諦めがつくが、家永のようなキックで失敗したら、周りから間抜けだと言われてしまう。蹴り直しのチャンスをもらえた彼はラッキーだった。

川崎は世代交代の時期にあるように見える。ベテラン選手が多くなってきた。彼らは堅実で、とても優秀な若手選手もいるが、今はそれをまとめることができていない。

レジェンドの中村憲剛は、とても重要な役割を担っていたが、彼はもうチームにいない。試合のテンポをコントロールしていた選手だ。小林悠はまだ現役で、素晴らしいゴールスコアラーだが、キャリア終盤に差し掛かっている。レアンドロ・ダミアンがいなければ、中心になる選手を欠いてしまうだろう。

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私の元同僚、チャナティップ・ソングラシンは負傷中だが、先日連絡したときは、復帰に向けて頑張っていると言っていた。大きなクラブで、能力の高い選手たちとプレーすることは、札幌にいたときとは違う挑戦だ。

「私がいた頃、彼は1対1の練習を一切しなかった」

私の古巣である札幌については、とても心配している。2試合で勝ち点1しか獲得できていない。それに、サンフレッチェ広島との開幕戦での引き分けは幸運だった。

これまでと、ほとんど同じチームだ。同じフォーメーションで、プランは一つしかなく、新しいことは何もしていない。札幌には馴染みがあるし、選手たちを知っているだけに期待している。だが、実力を発揮できていないと思わずにいられない。

アウェイで広島に勝つのは難しいことは分かっている。それでも、札幌はもっと決定的なチャンスを作り出すべきだった。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督はシュートを打つことを重視するが、ペナルティエリア外からのシュートは重要ではない。決定的なチャンスか、少なくとも、「決められたかもしれない」というくらいの、ペナルティエリア内からのシュートチャンスを作り出す必要がある。

札幌は、多くの選手たちが本来のポジションでプレーしていない。田中駿汰はディフェンダーを務めているが、本来はミッドフィルダーだ。荒野拓馬は本来ミッドフィルダーなのに、ストライカーをすることがある。ヨーロッパのクラブからも注目されている金子拓郎は、チームのスター選手だ。彼はウイングバックでプレーしているが、1対1の局面を増やすために、もっと前の右ウイングで出場すべきだ。

福森晃斗は、まったく変わっていない。彼は守備がうまくない。ポジショニングが悪くて、スピードもない。セットプレーはうまく、パスも素晴らしいが、彼は守備をするのが仕事だ。私がいた頃、彼は1対1の練習を一切しなかった。ミシャ(訳注:ペトロヴィッチ監督の愛称)が個人的に指摘しても、ディフェンダーとして自分のパフォーマンスを見ることはなかった。

彼にはサッカーへの情熱が薄いように感じられた。守備に戻るときも、全力ではなくジョギングだった。私が彼を非難しているように聞こえるかもしれないが、そうではない。守備能力さえ磨けば、間違いなくヨーロッパでプレーできるくらいの実力を持つ選手なのだ。

札幌が充実したシーズンを送るには、守備を修正する必要がある。私がいた頃から、札幌の守備力には問題があった。ミシャは守備に興味がないようだが、2点をとっても、4点奪われれば試合には勝てない。彼には少し妄信的なところがある。マルセロ・ビエルサに少し似ているかもしれない。札幌は守備を修正し、違う戦術を用意する必要がある。そうしなければ、残留争いをすることになるだろう。

「彼は誰の意見にも耳を傾けない頑固な男」

犯人探しをしていると思われるかもしれないが、それは違う。ミシャが日本サッカー界にもたらしたものは大きい。彼は最初、広島にやって来て、素晴らしいサッカーを見せた。しかし、大きな大会で優勝できていないのは、彼のプレースタイルが原因だと思う。1-0のリードを守るために、攻撃をやめ、コンパクトに守備を固めることをしたがらない。だからこそ、いつもあと一歩のところで壁を超えられないのだ。

彼は広島と浦和をあと一歩のところまで連れて行ったが、両クラブが成功を収めたのは、ミシャが去った後のことだ。広島は、彼の退任から4年間で3つの国内タイトルを獲得し、浦和は彼が去った直後にACLで優勝した。

彼は、誰の意見にも耳を傾けない頑固な男だ。戦術やフォーメーションを絶対に変えない。だから札幌が成功するのは難しいだろう。とても優秀な選手がいるチームなので、成功できるだけの力はあると、私は思っているのだが…。

翻訳:早坂卓真

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