創立90周年の優勝狙う巨人、カギを握る猫の眼打線|プロ野球2024

2024-04-30
読了時間 約3分
時事

巨人は球団創立90周年の優勝を目指している。阿部新監督の使命は大変なのだが、肝心の戦いも大変な状況で、序盤戦は“投髙打低”で苦戦続き。その実態は…。

芳しくない周年シーズンの成績

巨人球団の創立は1935年(昭和10年)。大日本東京野球倶楽部としてスタートし、米国遠征中にニックネームをジャイアンツ(巨人)とした。プロ野球は翌36年にペナントレースが始まったのだが、巨人は2度目の米国遠征を行っていたため不参加だった。37年から公式戦に参加している。

今年は球団創立90周年という節目のシーズンとあって、球団は当然「優勝」が目標である。実績豊富な原辰徳を、不振を理由に契約途中で監督を退かせ、阿部慎之助を新たに監督に据えたのも心機一転の表れだった。新監督で周年優勝、は阿部に対する“至上命令“といっていいだろう。

過去の周年成績を振り返ると、意外にも芳しくない。下記の通りである。

周年 年度 監督 順位 勝敗 勝率 優勝
10周年 1944年 藤本英雄 2位 19勝14敗2分 .576 阪神
20周年 1954年 水原茂 2位 82勝47敗1分 .636 中日
30周年 1964年 川上哲治 3位 71勝69敗0分 .507 阪神
40周年 1974年 川上哲治 2位 71勝50敗9分 .587 中日
50周年 1984年 王貞治 2位 67勝54敗9分 .554 広島
60周年 1994年 長嶋茂雄 1位 70勝60敗0分 .538 巨人
70周年 2004年 堀内恒夫 3位 71勝64敗3分 .526 中日
80周年 2014年 原辰徳 1位 82勝61敗1分 .573 巨人

優勝は2度しかない。あとの6シーズンの優勝は中日3度、阪神2度、広島1度。セ・リーグ優勝のうち、長嶋だけが日本一(対西武、4勝2敗)に上り詰めた。原はクライマックスステージで阪神に負け、日本シリーズに進出していない。9連覇監督の川上が2度周年に対しながら優勝していない。過去のデータは優勝確率2割5分である。

猫の眼打線の象徴は“入れ替わり1番打者”

巨人は昨年まで3シーズン優勝から見放されている。阿部巨人は新生巨人を期待されてペナントレースに入った。3月29日の阪神との開幕戦でそれを示したのが1番の佐々木俊輔。ドラフト3位で日立製作所から入団した新人だった。開幕3連戦はいずれも先発出場を果たした。

ところがこのトップバッターに次々と新手が登場した。4戦目になると萩尾匡也が先発となった。慶大から入団した昨年のドラフト2位である。これも5試合目になると代わった。

Scroll to Continue with Content

4月6日のDeNA戦ではなんと浅野祥吾。高松商から昨年のドラフト1位入団で、阪神との指名くじ引き合戦の末に獲得したことで話題になった。翌日は吉川尚輝(中京大、8年目)となり、その次のヤクルト戦には重信慎之介(早大、9年目)といった中堅どころを起用する状態となった。このときまで5勝5敗。

11日から17日までの6試合は萩尾が戻って安定したかに見えたが、18日オコエ瑠偉(関東一-楽天、9年目)19日佐々木と日替わり。20日から3番を打っていた門脇誠(創価大、2年目)が配置転換、5試合に座った。27日のDeNA戦はさらに驚かせてくれた。15年目の長野久義が先頭打者として登場したのである。長野はHONDAから10年にドラフト1位で巨人入りし、広島を経て戻って来たベテランだ。その翌日、今度は17年目の丸佳浩(千葉経大付高-広島)が座った。

丸まで26試合で1番打者となったのは計9人。核弾頭が3試合に1人というのだから人材に苦労しているのが分かる。1番だけでなく打線そのもそに落ち着きがない。巨人OBから「打線は固定した方がいい」と“猫の眼打線”を危ぶむ声が出るほどだが、投手陣に比べ打力が弱すぎるのが序盤の巨人である。阿部の“必死の策戦”が見てとれる。

ちなみに昨年優勝の阪神は1番近本光司、2番中野拓夢のコンビを開幕戦から崩していない。

 

 


[AD] プロ野球グッズをAmazonでチェック!