2023年の野球殿堂は外国人2人…日本人には狭き門に

2023-01-31
読了時間 約2分

2023年の野球殿堂入りの競技者は外国人2人で日本選手はなし。これを機に来年以後も外国人が選ばれる可能性が高くなった。日本選手にとって狭き門になるかもしれない。

実働6年プレーで当選

新たに殿堂メンバーとなったのはアレックス・ラミレスとランディ・バース。外国人の選出は1960年の300勝投手ビクトル・スタルヒン以来63年ぶり。画期的な出来事だったが、外国人選手の殿堂入りに厳しかった門戸を開いたといえよう。

  年数 試合 安打 本塁打 打点 打率 主な記録と表彰
ラミレス 13 1744 2017③ 380② 1272④ .301① MVP2回, ベストナイン4回
バース 6 614 743② 202② 486② .337② MVP, ベストナイン3回

注目されたのはバース。6シーズンと短い期間だったからである。阪神を優勝に導く強打に加え、三冠王というのが大きかった。人気チームでメディアへの露出度が高かったことも得票に結びついた。22年の投票では1位だったのだが、得票72.6%で当選の75%に達しなかった。

ラミレスは超一流の成績である。ここ数年の投票では上位にいながら届かなかった。20年2位、21年3位、22年3位というもので、厳しい時代を過ごした。

ちなみにヤクルト監督の高津臣吾は20-21年と2年連続1位ながら75%に届かず、昨年やっとそれをクリアしている。

控える大物外国人選手

ラミレス、バースに並ぶ外国人選手は何人もいる。たとえば三冠王のブーマー・ウェルズ、55本塁打のタフィ・ローズ、高打率のレロン・リー、さらにジョージ・アルトマン、ウォーレン・クロマティらである。

各選手とも成績は素晴らしい。

  年数 試合 安打 本塁打 打点 打率 主な記録と表彰
ブーマー 10 1148 1413④ 277① 901④ .317② 三冠王, MVP, ベストナイン4回
ローズ 13 1674 1792 464④ 1269③ .296 MVP, ベストナイン7回
リー 11 1315 1579① 283① 912③ .320① 3割10回, 4000打数最高打率
アルトマン 8 935 985① 205 656① .309 ベストナイン3回
クロマティ 7 779 951① 171 568② .321① MVP, ベストナイン3回

一押しはブーマー。身長2メートル、体重100キロという超大型打者だったが、長打力だけでなく、選球眼もいいことから安定した打撃を見せた。三振はシーズン平均30台だった。一塁守備も上手く、ゴールデングラブ2度もあった。巨人や阪神に在籍した外国人よりも人気では劣ったが、実績は外国人打者ではトップクラスといっていいだろう。

ローズは巨人移籍から露出が多くなった。もともと長距離打者としては一流だった。クロマティも巨人で活躍し、人気があった。安定した打撃と勝負強さが印象深い。

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アルトマンとリーはロッテで活躍した。巧打のアルトマン、強打のリーと対照的な打者だったが、確実性と勝負強さは相手投手を圧倒した。

いずれも来年から得票が増えるだろう。

激しい競争にさらされる日本選手

殿堂入りを決める投票には競技者表彰(プロ)と特別表彰(アマチュア)があり、前者には引退後5年が経過した者を選ぶプレーヤーズ投票と引退後21年経過した者を選ぶエキスパート投票がある。ラミレスはプレーヤーズ投票、バースはエキスパート投票で75%を得た。

今年発表の2位以下には有名な日本選手がずらりと並んでいる。

プレーヤーズには2位に最多出場試合の谷繁元信、3位に日米通算200勝の黒田博樹をはじめ、宮本慎也、野村謙二郎、松中信彦、稲葉篤紀、井口資仁、石井琢朗、小笠原道大、前田智徳、小久保裕紀と並ぶ。

エキスパートには掛布雅之、長池徳二、大島康徳、柴田勲、谷沢健一、加藤秀司、新井宏晶、有藤通世らである。

両部門とも打者が圧倒的だが、2000安打をマークした名球会メンバーが多い。常識的に見ればいずれも殿堂入りにふさわしい。これが投票となると、現役時代の知名度や言動などが微妙に影響して得票数に表れてくる。なにしろ75%の得票が必要だから、当選は2名から3名がせいぜいで、票が分散して「該当者なし」も当然ある。

大物選手が目白押しのうえ、外国人選手が加わってきたから競争はますます厳しくなった。日本選手はより狭き門に突き当たった、といっていいだろう。

特別表彰は作曲家の古関裕而がようやく選ばれた。どんなジャンルでもヒット曲を作った天才で、野球関係では夏の高校野球の大会歌「栄冠は君に輝く」をはじめ、阪神の「六甲おろし」や巨人の「闘魂こめて」などが知られている。

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