パワーのないプロ野球なんて…と不満を口にするファンが今年は多い。確かに。村上のホームランで湧いた昨年に比べ今年は静か。大きな理由の一つに外国人選手の非力がある。
3、4番はたった3人
セ・パ交流戦が終わった6月23日、通常のペナントレースに戻った最初の試合だった。両リーグ12球団の先発メンバーを見て気づいたことがあった。外国人選手が少なかったことである。
- DeNA(一塁ソト)― 阪神(左翼ノイジー、投手ビーズリー)
- 広島(三塁デビッドソン)- 巨人(なし)
- 中日(一塁ビシエド)- ヤクルト(右翼サンタナ、一塁オスナ)
- ロッテ(DHポランコ)- 日本ハム(捕手マルティネス)
- ソフトバンク(なし)- オリックス(二塁ゴンザレス)
- 楽天(なし)― 西武(三塁マキノン)
計11人。主軸の3番を打ったのがノイジーとビシエド、4番がポランコ。打力を買われているのにたった3人で、起用なしが3チームもあった。迫力のないことおびただしい、と言わざるをえない。
開幕第1戦はDeNAを除く11チームが先発に使い、計15人もいた。巨人などは開幕投手に戸郷ではなくビーディを起用した。ほとんどは出たり出なかったりを含めベンチにいる。ただソフトバンクの7番・指名打者として開幕戦に名を連ねたアストゥディーヨはどこに行ったのだろう。
パートタイマーか、さびしき令和の外国人
令和時代(2019年-)の特徴は、外国人選手のほとんどが脇役になっていることである。最新のタイトルホルダーを見るとよく分かる。
- 首位打者 セ18年=ビシエド(中日) パ08年=リック(楽天)
- 本塁打王 セ19年=ソト(DeNA) パ・17年=デスパイネ(ソフトバンク)
- 打点王 セ19年=ソト(DeNA) パ・17年=デスパイネ(ソフトバンク)
- 防御率 セ15年=ジョンソン(広島) パ01年=ミンチー(ロッテ)
- 勝利 セ14年=メッセンジャー(阪神) パ11年=ホールトン(ソフトバンク)
- 奪三振 セ17年=マイコラス(巨人) パ02年=パウエル(近鉄)
- セーブ セ21年=スアレス(阪神) パ17年=サファテ(ソフトバンク)
令和のタイトルホルダー外国人はソトとスアレスのみだ。
「大物外国人いるところに優勝あり」と言われたものだが、現在は明らかに違う。打者でいえば主軸の座に座ることは少なく、パートタイマーのような使われ方が目立つ。長打力、強打の期待はことごとく裏切られている。打率も3割は夢の数字になっており、監督から「ボールばかり振りよって。立っていれば四球だろうが」と厳しく指摘されたバッターもいるのが現状である。
バース、ブーマーはすごかった
- 1984年 阪急ブーマー(3割5分5厘、37本塁打、130打点)
- 1985年 阪神バース(3割5分、54本塁打、134打点)
- 1986年 阪神バース(3割8分9厘、47本塁打、109打点)
三冠王の記録である。3シーズン連続して外国人が打撃3部門を独占した。外国人パワーの頂点だった。その記憶を多くの野球ファンは持っているから、なおさら今シーズンのだらしなさが目につく。
その後もクロマティ(巨人)パウエル(中日)ラミレス(ヤクルト、巨人)ペタジーニ(ヤクルト)バレンティン(ヤクルト)デストラーデ(西武)ブライアント(近鉄)カブレラ(西武)ローズ(近鉄)といった選手が猛打で相手投手を震え上がらせ、チームに好成績をもたらしたうえ、ファンの絶大な信頼を得た。
たとえば本塁打。王の55本塁打に何人も調整し、バレンティンはとうとう60本をかっ飛ばした。ブライアントは天王山で4打数連続アーチをかけ逆転優勝を飾った。これぞ助っ人、という働きだった。
7月の声と同時に日本ハムが2人の外国人選手を解雇した。低調な外国人を示す今季を主張する人事といっていいだろう。