サウナ付きなどで話題を集めた北海道日本ハムの新しい本拠地エスコンフィールド。気になるのは歴代の新球場で、開場の年は優勝がないどころかBクラスが多い。呪われた歴史を持つのである。
お先真っ暗のビッグボス・ファイターズ
「優勝を狙いますよ」。2023年のシーズンを迎える前、日本ハムの新庄剛志監督はそう意気込んだ。監督に就任した昨年は「優勝は狙いません」と逆宣言して話題を独り占めしたのだが、今季は北広島の新球場に移ったのに伴い心機一転を表明した。
ところが…。昨年同様、どうもよろしくない。新球場開場記念として3月30日、日本ハム-楽天の1試合のみを他チームより一足先に開幕戦を行った。観衆3万1000人余りを集め、華々しくスタートしたのはいいのだが、わずか3安打しか打てず1-3で敗れた。いきなり思惑が外れた格好だった。
翌日4-3のサヨナラ勝ちをしたものの、その後5連敗。4月16日には14試合目にして早くも10敗。18日のロッテ戦では観衆1万6000人台と2万人を割り、本拠地の観客動員は開幕戦の半分ほどとなってスタンドの空席が目立った。
「負ければファンは来ない」
プロ野球の常識に1か月も経たないのに直面した。
「私の責任…」
そう振り返ったビッグボス新庄の人気も通じなくなったようで、若い選手が多いのに元気がない、という印象が強い。理由は勝てないからである。
王巨人、ドーム元年の優勝ならず
開幕前の専門家の予想を見ると、日本ハムはパ・リーグの最下位、というのがほとんどだった。出足の悪さからすると、その見通し当たりそう。つまり新球場のスタートはビリ、という可能性がある。
ほとんど関心が持たれていないのだが、実は新球場をフランチャイズにするチームは優勝できない、というジンクスが存在する。
たとえば巨人のホームグラウンド東京ドーム。国内初の全天候型球場として注目され、歴史的な第1戦は1988年4月8日、巨人-ヤクルトのデーゲームだった。
この日は雪が降る悪天候で、西武球場の試合は中止となった。東京ドームは予定通り行われ、ドームの存在価値を見せつけた。巨人戦の後、ナイターで日本ハム-ロッテがあり、セ・パがドームでの第1戦を終えた。
巨人の監督は王貞治で「ドーム元年を優勝で」というのが巨人の合言葉だった。ずっと優勝争いをしていたのだが、中日に逆転されて2位に終わった。このときの巨人は虚無感に包まれた。同じく東京ドームを本拠地球場にしていた日本ハムは3位だった。
王はこのオフ、契約切れで退団。95年、巨人との縁を切る形でダイエー監督に就き、苦労の末に強力チームを作り、チーム名がソフトバンクに代わってから黄金時代を築いた。現在もフロントの重鎮として活躍中である。
びっくり現象、最下位だらけ
ナゴヤドームができた97年の中日監督はあの闘将として知られた星野仙一。信じられないだろうが、首位ヤクルトに24ゲーム差をつけられての最下位だった。それより5年前の92年に開場した千葉マリンスタジアム。八木沢荘六監督のロッテもどん尻に終わった。新しいところではリニューアル新球場の宮城。楽天の1年目である。戦力不足がもろに出て田尾安志監督は最下位に沈んだ。
奇跡的なのは根本陸夫監督。79年、西武の監督に就任し、新築の西武球場でスタートしたが、あえなく最下位。さらに93年のダイエーの福岡ドーム。このときも首位に28ゲームの大差で断トツの最下位と、2球団新球場で最下位の“怪記録”を作った。このほかの神宮球場、甲子園球場を除く常打ち球場の初年度は次の通り。
球場 |
開場 Scroll to Continue with Content
|
チーム |
順位 |
監督 |
横浜スタジアム |
1978年 |
横浜大洋 |
4位 |
別当薫 |
グリーンスタジアム神戸 |
1989年 |
オリックス |
2位 |
上田利治 |
マツダスタジアム |
2009年 |
広島 |
5位 |
マーティ・ブラウン |
この“呪われた新球場“をBIGBOSS新庄が打ち破るか。