一流の証…2000年以降で2年連続個人タイトルを獲得した選手たち|プロ野球2024

2024-04-15
読了時間 約4分
時事通信

球史に名を残す絶対条件はタイトルを獲得することである。開幕したばかりだが、個人記録への関心は強い。2000年代の2年連続獲得選手を振り返ってみる。


■投手ビッグ5の中で傑出した山本

投手3冠王といわれる部門が防御率、最多勝、三振奪取。勝利と三振は積み重ねる記録だから減ることはない。打者の本塁打、打点と同じである。防御率は自責点だから短いイニングで点を与えるともろに響く。打者にとっての打率と同じだ。

投手3部門の2年連続以上受賞者は次の通り。(*はメジャーリーガー)

<防御率>

セ・リーグ

*前田健太(広島12-13年)
菅野智之(巨人16-18年)
大野雄大(中日19-20年)

パリーグ

*松坂大輔(西武03-04年)
*ダルビッシュ有(日本ハム09-10年)
*山本由伸(オリックス21-23年)

<最多勝>

セ・リーグ

グライシンガー(ヤクルト-巨人07-08年)
内海哲也(巨人11-12年)
菅野智之(巨人17-18年)
青柳晃洋(阪神21-22年)

パ・リーグ

*松坂大輔(西武1999、00-01)
*山本由伸(オリックス21-23年)

<奪三振>

セ・リーグ

ルイス(広島08-09年)
*前田健太(広島10-11年)
メッセンジャー(阪神13-14年)

パ・リーグ

*松坂大輔(西武00-01年)
杉内俊哉(ソフトバンク08-09)
*ダルビッシュ有(日本ハム10-11年)
則本昂大(楽天14-18年)
*千賀滉大(ソフトバンク19-20年)
*山本由伸(オリックス20-23年)

投手数は12人。この中で3部門獲得は山本、2部門は前田、松坂、菅野、ダルビッシュの4人。菅野を除く4人はメジャーリーグでも実績を挙げている。彼らは2000年代の“投手ビッグ5”である。

今年、ドジャース入りした山本は21-23年と3年連続三冠王となっている。日本球界の当代一の投手である。その3シーズンは次の通り。

シーズン 防御率 勝利数 奪三振
2021 1.39 18勝 206
2022 1.68 15勝 206
2023 1.21 16勝 169

昨年までの7年間で登板172試合、投球回897、70勝29敗、勝率.707、奪三振922、防御率1.81。隠れた数字として本塁打は36本しか打たれていない。5試合に1本、25イニングに1本、対戦打者3488人だから97人に1本である。負けない、打たれない理想の投手なのだからメジャーリーグが惚れ込んだのは当たり前だろう。


■3年連続ホームラン王に3度挑戦した中村おかわり君

打撃三冠王(打率、本塁打、打点)の3部門(*はメジャーリーガー)はどうか。

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<打率>

セ・リーグ

なし 

パ・リーグ

小笠原道大(日本ハム02-02年)
*吉田正尚(オリックス20-21年)

<本塁打>

セ・リーグ

ウッズ(横浜03-04年)
村田修一(横浜07-08年)
バレンティン(ヤクルト11-13年)
ソト(DeNA18-19年)
岡本和真(巨人20-21年)
村上宗隆(ヤクルト21-22年)

パ・リーグ

松中信彦(ソフトバンク04-05年)
中村剛也(西武08-09年、11-12年、14-15年)※3度
山川穂高(西武18-19年)

<打点>

セ・リーグ

ラミレス(ヤクルト-巨人07-08年)
岡本和真(巨人20-21年)

パ・リーグ

中村紀洋(近鉄00-01年)
松中信彦(ダイエー-ソフトバンク03-05年)

特筆は中村剛也。08年から2年連続ホームラン王を3度(46-48本、48-27本、34-37本)も獲得している。

ところが10年25本、13年4本、16年21本でいずれも3年目にタイトルを逃した。1度でも取っていれば5年連続になり、2度取っていれば8年連続、3度なら9年連続となった。

それを達成していれば、ニックネームの“おかわり君”は7年連続の野村克也(南海)をしのぎ、13年連続の王貞治(巨人)に継ぐ大砲として球史に残っただろう。


■挑戦権を持つ昨年のタイトルホルダー

2023年のタイトルホルダーは2年連続の挑戦権を持っている。
セは打率:宮崎敏郎(DeNA)本塁打:岡本和真(巨人)打点:牧秀悟(DeNA) 防御率:村上頌樹(阪神)勝利:東克樹(DeNA)奪三振:今永昇太(DeNA)。

パは打率:頓宮裕真(オリックス)本塁打:ポランコ(ロッテ)近藤健介(ソフトバンク)浅村栄斗(楽天)打点:近藤健介(ソフトバンク)。投手では3部門に山本由伸(オリックス)。

注目は2部門に名を連ねている近藤。昨年は打率.303で首位に4厘差の2位。三冠王にあと一歩だった。けれども今季は競争が激しい。

本塁打と打点は同僚に山川穂高と柳田悠岐がいる。打率は可能性があるもののこの2部門は厳しくなるだろう。岡本と東は期待できる。山本と今永はメジャーリーグと併せて2年連続して獲得できるか。

忘れてならないのは西武時代の秋山翔吾が3年連続の最多安打。2人の外国人選手が2球団で連続獲得している。ラミレスの打点王、グライシンガーの最多勝である。