NFLファンはトム・ブレイディの最後を本当に見届けたのだろうか?
ニューイングランド・ペイトリオッツ、タンパベイ・バッカニアーズでプレーしたNFLの伝説的クォーターバックは、今シーズンからFOXスポーツの解説者となる予定だ。だが、彼が再びフィールドに立つ可能性は本当になくなったと言えるのだろうか?
約1年前、2度目の引退宣言をした時、ブレイディは「これで最後」と言っていた。だが、誰もその言葉を信じていないようだ。2023年シーズンの間、ブレイディはひとまず、家でおとなしくしていた。8度目のスーパーボウル制覇に向け、ロッカールームに駆け込むこともなかった。今のところ、「これで最後」という言葉は守られている。
だが、47歳の誕生日が近づいた今、ブレイディの頭の中からはフィールドに戻る可能性が完全には捨て去られたわけではないことが判明した。『ディープカット with ヴィック・ブレンズ』と言うポッドキャストに登場したブレイディは、NFLのチームから連絡があれば話は聞くとコメントした。ヴィック・ブレンズが49ersの可能性を示唆すると、ブレイディ自らも「ペイトリオッツ…、レイダース…どこかは分からないよ」とその話を広げていった。
そしてブレンズに「もしどこからか電話が来たら答えるかい?」と聞かれると、ブレイディは「拒否はしないよ」と答えた。
「カラダは常にいい状態をキープしているからね。ボールも投げられる。だから、(マイケル・ジョーダンのような)少しだけの復帰なら拒否はしないね」
ブレイディの意図するところはおそらく、優勝を争うようなチームでクォーターバックが故障した場合、その穴埋めをすべく、復帰する可能性もありうると言うことだろう。
ただ、2023年シーズンはNYジェッツのアーロン・ロジャースはじめ、クォーターバックの故障が相次いだ。それでも、実際にはどのチームからも補強候補としてブレイディの名前が上がることはなかった。それが、NFLのチームがもはやブレイディに興味を持っていなかったからなのか、ブレイディ自身に復帰の意思がなかったからなのかは分からない。
2024年シーズンもクォーターバックの故障は避けられないだろう。しかし、去年の例を見れば、完璧なシチュエーションでない限り、ブレイディが復帰を検討することはないだろう。
ブレイディ自身が口にしたペイトリオッツ、レイダースの両チームは、スタートQBが万全であろうが故障しようが、2024年のタイトル争いに絡んでくるチームとは言えなさそうだ。攻守にタレントが揃った49ersであればブレイディの興味を引くかもしれない。ただ、よほどのことがない限り、49ersでのブロック・パーディのスタートQBとしての座は揺るがないだろう。
また、ブレイディが今進めているレイダースのパートオーナーとなった場合、「(プレーすることが)許可されるのかわからない」とブレイディ。仮に希望したとしても現役復帰が許可されない可能性もありうる。
ブレイディがラスベガス・レイダーズのオーナーシップの7%を取得するという合意は1年が経過した今もまだリーグから承認されていないが、手続きは進められている。
ブレイディはこれまでにも自分の引退を冗談めかして語ってきた。だから、このポッドキャストでの発言も半ば冗談半分の言葉だと思われるし、この発言の後にも自らのXのアカウントで引退撤回の冗談を投稿している。
「いいねが50000付いたら、(引退撤回)また髪を伸ばすよ😂😂😂」
とは言え、二度あることは三度ある、のかもしれない。
45歳の時点でブレイディはNFL史上最年長のスタートQBだったが、2024年にスターターとしてフィールドに立てば、その記録を自身の手で塗り替えることになる。
※この記事はスポーティングニュース国際版の記事を翻訳し、日本向けに一部編集を加えたものとなります。翻訳・編集:石山修二