NFLのプレーオフは今週末、いよいよスーパーボウル進出をかけたカンファレンスチャンピオンシップを迎える。シーズンを通してハイレベルな強さを見せてきた4チームが勝ち上がり、AFCは2年連続同一カードとなるカンザスシティ・チーフス(第1シード)対シンシナティ・ベンガルズ(第3シード)、NFCはトップ2シードのフィラデルフィア・イーグルス(第1シード)対サンフランシスコ・49ers(第2シード)のマッチアップとなった。
攻守両面における戦術面はもちろんのこと、生き残った4チームの先発クォーターバック(QB)は全員1994年以降生まれの20代で平均年齢は25歳だけに、自然と花形ポジションの若きスターたちにも大きな注目が集まるだろう。
ここではスーパーボウル進出をかけた2試合の見どころ、試合日程(試合開始時間・対戦カード)、放送予定(テレビ中継、ネット配信)についてまとめる。
AFCチャンピオンシップ展望:総合力はチーフス、直接対決ではベンガルズが優位?
AFCチャンピオンシップは、チーフスにとっては1年前のリベンジ、ベンガルズにとってはチーム史上初のスーパーボウル制覇へ向けて弾みをつけるべきゲームとなる。
舞台は1年前と同じチーフスの本拠地アローヘッドスタジアムGEHAフィールド。昨年は両チームが接戦を繰り広げたが、最後はベンガルズが延長戦の末27-24で勝利を収め、33年ぶり3回目のAFC王座に就いている。
チーフスは、現在27歳のQBパトリック・マホームズ(2017年ドラフト1巡目全体10位)がプロ2年目で先発QBとなって以来、今回で5年連続、しかもすべて本拠地で迎えるAFCチャンピオンシップとなる。過去4シーズンのうち2シーズンはスーパーボウルまでコマを進め、ひとつの優勝リングを手にしている(2019-20シーズン)。
もっとも、最近のマホームズとチーフスは、26歳のQBジョー・バロウ(2020年ドラフト1巡目全体1位)率いるベンガルズには分が悪い。昨年のAFCチャンピオンシップを含め3連敗中で、今季、唯一の直接対決となったシンシナティでの一戦(第13週)では、24-27で敗れている。
また、前週のディビジョナルプレーオフ、対ジャクソンビル・ジャガーズ戦でマホームズが右足首を強く痛めたことも不安材料に。今週水曜日から練習に復帰したものの、機動力も武器であるマホームズの足の状態がどこまで回復しているかは未知数だ。
とはいえ、攻撃陣を高いレベルに維持してきた実力は折り紙付きだ。今シーズンはワイドレシーバー(WR)のタイリーク・ヒルがマイアミ・ドルフィンズへ移籍したものの、ラン攻撃の比重を増やしつつタイトエンド(TE)のトラビス・ケルシーを軸に、ワイドレシーバー陣へのパス攻撃もきっちり確立。リーグトップの獲得ヤードを誇り、リーグ最高勝率の14勝3敗をマークした。総合力ではチーフスのほうが上だけに、マホームズが大きな鍵を握ることは間違いない。
一方、昨季のAFC王者ベンガルズは、勢いをつけて大一番を迎える。レギュラーシーズンから10連勝中で、プレーオフ1回戦の対ボルティモア・レイブンズ戦では接戦の展開となるなか、攻撃陣に代わり守備陣が奮闘を見せ、決勝点はディフェンシブエンド(DE)のサム・ハバードが98ヤードファンブルリカバータッチダウン(TD)を決めるビッグプレーに(24-17)。
続くディビジョナルプレーオフでは、AFC三強の一角であるバッファロー・ビルズを吹雪の敵地で攻守共に圧倒し27-10で完勝した。バロウは持ち前のビッグプレーより、確実で相手に的を絞らせないプレーコール(戦術)の中で着実にオフェンスを牽引し、マホームズに肩を並べるべく「勝てるQB」のオーラを増している印象だ。
ベンガルズは攻守共に多彩な戦術を誇る印象が強く、今の流れを維持してチームの悲願であるスーパーボウル制覇に向け、再び「チーフス超え」を果たしたいところだ。
NFCチャンピオンシップ展望:対照的なQB対決となるイーグルスvs.49ers
NFCチャンピオンシップは5年ぶりの進出となるイーグルス、ここ4年で3回目の進出となる49ersという、リーグ屈指の強固なディフェンス陣が自慢のチーム同士の激突となる。それゆえ、オフェンス陣(特にラインメン)がどのように対抗するかが大きなポイントとなる。
イーグルス攻撃陣を指揮する24歳のジェイレン・ハーツ(2020年ドラフト2巡目全体53位)はその機動力も含めてリーグを代表するQBとして成長。レギュラーシーズンではチーム史上最多の14勝(3敗)に導いた。
シーズン終盤に負った足の故障の影響か、プレーオフ初戦となったディビジョナルラウンド、対ニューヨーク・ジャイアンツ戦ではタレント豊富なランニンバック(RB)陣を軸にした攻撃展開でパス攻撃は154ヤードと控えめだったが、パス24回中16回成功で2TD・0インターセプト、ラン9回・34ヤードで1TDと要所で存在感を発揮している。足の状態が良くなれば、スクランブルにしろデザインされたプレーにしろ、ハーツのラン攻撃は相手にとって厄介なものとなる。
一方、49ersのQB、23歳のブロック・パーディーはまさにサクセスストーリーを地で行く活躍を見せ、ここまできた。2022年ドラフト最下位指名(7巡目全体262位)ながら、レギュラーシーズンでは正QB2人がケガで戦線離脱した後、第13週のマイアミ・ドルフィンズ戦の途中から出場。その試合で勝利に貢献すると、以降、先発QBを務めた試合ではプレーオフ2試合を含めて7連勝中である。
プレーオフ1回戦(ワイルドカード)の対シアトル・シーホークス戦ではパス30本中18本成功で332ヤードを獲得し、3TD・0インターセプトでレイティング131.5と驚異的なスタッツを残し、ディビジョナルプレーオフの対ダラス・カウボーイズ戦では相手の守備陣に苦しみながら、ミスのないプレーでチームの勝利に貢献。いずれもルーキーらしからぬ落ち着いたプレーは、高い評価とチーム内での信頼感を勝ち取っている。
ハーツに実績と機動力がある分、イーグルスが優位にも見えるが、49ersにはパーディーがもたらす機運と昨年スーパーボウル行きを逃した悔しさがある。
果たしてどのような展開になるのか。
2022-2023 NFL カンファレンスチャンピオンシップ 試合開始時間・対戦カード・放送局
※日本時間。右がホームチーム。チームのカッコ内はA=AFC、N=NFC、数字はシード。
日本時間1月30日(月)/現地29日(日)
午前5:00 49ers(N2)対イーグルス(N1)|GAME PASS / DAZN / 日テレジータス / NFLGO
午前8:30 ベンガルズ(A3)対チーフス(A1)|GAME PASS / DAZN / 日テレジータス / NFLGO
※試合開催・放送予定は主催者及び放送局の都合で変更になる場合があります。