トム・ブレイディ、 ウェイン・グレツキー、そしてスポーツの歴史上でもっとも驚くべき7つの記録

2020-04-23
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かつて例のない奇妙な日々が続いている。そのことは間違いない。新型コロナウイルスの感染拡大がスポーツ界全体、そしてすべての現実世界に影響を及ぼし、我々は先の見えない不安に満ちた生活を先月から送ってきた。

世界中の人々は何週間もお気に入りのスポーツを観戦することができず、スポーツの素晴らしさと、それがいかに我々にとって大きな意味を持つかをあらためて認識することになった。

そのような奇妙な時期だからこそ、スポーツの歴史に埋もれていた7つのもっとも奇妙な記録と数字を過去の記事から掘り出してみた。日常が戻ってくるまでの間、これらのストーリーを楽しんでもらえることを願っている。なお、下に挙げる記録には順番はつけられず、したがって順不同である。

トム・ブレイディがスーパーボウルに進出する統計上の確率はステフィン・カリーの3点シュート成功率より高い

もしあなたが100万円を与えられて、トム・ブレイディがスーパーボウルに進出するか、あるいはステフィン・カリーが3点シュートを成功させるかのどちらかに賭けろと言われたらどうするだろう。一見、迷うべくもない選択のように見える。ブレイディはNFL史上最高のクォーターバック(QB)であるかもしれないが、NFLシーズン全体を制することに比べたら、3点シュートを1回成功させる方がはるかに容易であるに違いない。ところが、19年のNFL現役キャリアのうち、ブレイディはスーパーボウルに9回進出している。つまり47%の確率ということになる。カリーはここまで3点シュートを5739回試み、そのうち2495回成功させている。およそ43%の成功率ということになる。つまり、現在のところ、ブレイディがスーパーボウルに進出する確率はカリーが3点シュートを成功させる確率より高いのだ。来シーズンから新しいチームに移るブレイディがこの記録を保ち続けることができるかは注目に値する。

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1919年、雷に打たれながらも完投勝利を挙げたMLB投手がいた

レイ・コールドウェルは20世紀前半にニューヨーク・ヤンキース、ボストン・レッドソックス、クリーブランド・インディアンズに在籍したMLB投手だ。11年の現役生活で133勝120敗という立派な成績を残している。だが、コールドウェルの名は1919年8月の試合で見せたパフォーマンスでもっとも名高い。当時インディアンズのコールドウェルはフィラデルフィア・アスレチックス戦で完投を目前とした9回表のマウンドに立っていた。試合は2-1でインディアンズがリードしていた。そのときに突然、落雷が球場を襲ったのだ。

「あちこちで閃光があがり、ダイヤモンドに火がついたように見えました。コールドウェルはその衝撃で地面に倒れてしまいました」とハリー・P・エドワーズが1世紀以上前のスポーティング・ニュースに記している。

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エドワーズによれば、コールドウェルは地面に長々と伏せ、チームメイトは彼が死んだのではないかと思ったそうだ。だがコールドウェルはしばらくすると立ち上がり、観客とチームメイトを驚かせた。そしてまるで何でもなかったように泥を払ったあと、コールドウェルは最後のアウトを奪い、勝利を確定した。

マイケル・フェルプスはカメラに捉えられたゴルフパット最長記録を保持している

マイケル・フェルプスといえば数々の驚異的な記録で有名な伝説的スイマーだが、この記録はあまり知られてはいないのではないか。フェルプスはゴルフ好きでもあり、過去数年はフェニックス・オープンのプロ・アマ部門に出場している。ゴルファーとしてのフェルプスのハイライトは2012年のアルフレッド・ダンヒル・リンクス選手権(スコットランド)に遡る。そこでフェルプスはホールまで53ヤードのパットを沈めたのだ。この信じがたいパットはかつてカメラに捉えられたもののなかでは最長記録である。

ラリー・フィッツジェラルドはボールをドロップするより多くのタックルを記録した

ラリー・フィッツジェラルドは16年のNFLキャリアを通じて、常に安定した成績を残す理想的な選手だった。だが、この記録は超人レベルだと呼んでもいい。フィッツジェラルドがパスを落としたキャリア通算の回数はわずかに29回で、それは彼が挙げた40回のタックルより11回も少ない。ワイドレシーバーとしてキャッチ能力の高さが素晴らしいだけではなく、レシーバーが40回のタックルを成功させるというのは驚くべき数字だ。ターンオーバーが起きた時、ワイドレシーバーはゲームから外れていることが多く、このことはフィッツジェラルドがけっして諦めない精神の持ち主であったことを示している。

元NBA選手のエリック・マネーが同1試合で2つのチームから出場し、そして得点を挙げた

1978年の11月、NBAシーズンが開幕して間もない時期にニュージャージー・ネッツ(当時。現ブルックリン・ネッツ)とフィラデルフィア・76ersが対戦した。奇妙な出来事はネッツの2度目のテクニカル・ファールを取られ、退場処分を受けたことから始まった。この選手はコートを立ち去る際にイスを蹴飛ばし、それが審判を務めていたリッチー・パワー氏の逆鱗に触れ、さらに追加のテクニカル・ファールが宣告された。ネッツのコーチだったケビン・ローアリー氏もそのとき既に1回のテクニカル・ファールを受けていたが、この判定に激しく抗議したところ、パワー審判は彼に2つのテクニカル・ファールを追加した。

ルール上は1試合のうちにテクニカル・ファールを3回受けることはあり得ない。そのため、ネッツはNBAのコミッショナーだったラリー・オブライエン氏に抗議し、この試合の後半を後日に再試合とすることを認めさせた。ところが、最初の試合があった11月と再試合が行われた翌年3月の間にエリック・マネー選手がネッツから76ersへトレード移籍したのだ。結果として、マネーはこの試合の前半をネッツの選手として、そして試合後半を76ersの選手として出場することになり、同1試合で2チームから出場したNBA史上唯一の選手となった。

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ウェイン・グレツキーの生涯ゴール数をゼロにしても、それでもまだ生涯ポイント数はNHL史上最多である

これは奇妙と呼ぶよりは偉大と呼ぶべきだろう。グレツキーの生涯ポイント数(2,857)と生涯ゴール数(894)はともにそれだけでも素晴らしい記録だ。だがグレツキーのゴール数をすべてなかったことにしても、それでも生涯ポイント数は史上最多なのだ。”The Great One” (唯一の存在)のニックネームで知られるグレツキーがNHLで1回もゴールを決めなかったとしても、彼の生涯アシスト数(1,963)だけで、2位のヤロミール・ヤーガーが挙げた生涯ポイント数(1,921)を42ポイント上回るからだ。

マリアノ・リベラがプレイオフで献上した全得点数より多くの人数が月面を歩いている

マリアノ・リベラがニューヨーク・ヤンキースで過ごしたキャリアは数々の素晴らしい記録で彩られている。だがこれは他に例を見ないだろう。リベラはプレイオフだけで通算140イニングを投げたが、わずかに11点しか失点していない。この数字は今までに月面を歩いた人類の数(12人)より少ないのだ。プレイオフでリベラから得点を奪うことは、人類が月に足跡を残すことより難しいのだ。リベラは2013年にMLBから引退し、この記録は永遠に残ることになった。

(翻訳:角谷剛)