WOWOW NBAアンバサダーの渡邊雄太がプレイオフの展望や日本代表について語る

2024-04-27
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(画像提供:WOWOW)

NBAでの6年のキャリアを終え、来季からBリーグでプレイすることを発表した渡邊雄太が、4月22日に行われたダラス・マーベリックス対ロサンゼルス・クリッパーズのプレイオフ1回戦の『WOWOW』のNBA中継に生出演後、独占インタビューに応じた。

八村塁への期待を含めたプレイオフの見どころ、6年間のNBAキャリア、富永啓生や河村勇輝といっ た日本代表メンバーとの交流などについて語った。

西も東も、どこが勝っても不思議じゃないぐらい今シーズンは混戦だった

──NBA は21日からプレイオフに突入しました。注目のチームを教えてください。

渡邊:自分が所属していた(フェニックス・)サンズはやっぱり気になります。それから(ロサンゼルス・)レイカーズや(デンバー・)ナゲッツも注目しています。特に、(レイカーズの八村)塁とは仲が良いので、彼がナゲッツ相手にどうプレイするのか気になります。

東では、実際に戦い、プレイしているのを見ていると、(インディアナ・)ペイサーズは良いチームで面白いと感じました。そのペイサーズが(ミルウォーキー・)バックス相手にどういうプレイするかすごい楽しみです。西も東も、どこが勝っても不思議じゃないというか、それぐらい今シーズンは混戦だったと思っているので、下位シードが上位シードを倒す可能性は十分あり得ると思っています。どのチームが勝ち上がってもおかしくないです。

──注目する選手はいますか?

渡邊:ペイサーズのタイリース・ハリバートンは当然注目です。彼中心のオフェンスがペイサーズの強みです。ハリバートンの縦パスや、彼の展開からペイサーズのリズムが生まれていると思うので、そういうのもすごい楽しみです。あとは、やはり塁ですね。彼は日本代表でも一緒にプレイしていますし、彼がどのようにプレイするのか楽しみにしています。

──八村選手が所属するレイカーズとは10月と11月に対戦。実際に対戦してみていかがでしたか?

渡邊:去年のプレイオフから3ポイント(ショット)が格段に上手くなったと思います。元々シュートが上手な選手ではありまし たが、どちらかというとドライブからのレイアップやミドルレンジを得意としていた中で、今シーズンから3ポイントもかなりの高確率で決めていて、ディフェンスする側としてすごくやりにくい感じでした。

距離を詰めたら抜かれてしまいますし、元々フィジカルがすごいので体を当てながらドライブでフィニッシュまで持っていきますし、スペースを空けたら3ポイントを決められるし、対戦相手にしたらすごく嫌な選手でしたね。

──プレイオフでは八村選手にどんなプレイを期待しますか?

渡邊:彼らしいプレイをしてほしいと思っています。去年のレイカーズのプレイオフでの快進撃は塁がいたからというのは間違いないと思います。今シーズンはいきなり優勝候補のナゲッツと対戦ですが、レイカーズはナゲッツ相手に勝てるチームだと思うので、塁が二コラ・ヨキッチなどをしっかりおさえて、レイカーズが勝っていく姿を見たいです。塁がレイカーズのキープレイヤーと言っても過言ではないと思います。

──ご自身もプレイオフを経験していますが、プレイオフを勝ち抜くために必要なことは何でしょうか?

渡邊:フィジカル的にもメンタル的にもタフさが間違いなく必要になってくると思います。レギュラーシーズンと強度の違う中で、スケジュール的にはほとんど同じような感じで試合をこなしていくわけです。2か月くらいの間、心身ともにタフになっていかなければいけないと思います。

──プレイオフが始まったばかりですが、ファイナルの予想をお願いします。

東はセルティックスが強いです。西は希望を込めてサンズを推したいと思います。サンズは第6シードではありますが、実力的にはもっと上でも良かったと思っています。

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現役の間は仕事であるバスケットボールに全力投球することが自分らしい

──ご自身のNBA生活6シーズンの振り返りをお願いします。

渡邊:6シーズン本当に毎日バスケのことだけ考えて、自分がこの世界に残るために考えてやってこられたので、 本当に充実した6年間だったと思っています。今改めて終わってみるとあっという間の6年間でした。もちろん辛い思いもしましたが、その分楽しい思いもさせてもらいました。色々いい経験をさせてもらえたので、 自分にとっては一生忘れることのできない6年間です。
        
──2月にサンズから古巣のグリズリーズに移籍した際は、どのように受け止められましたか?

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渡邊:今回は自分がトレードをされる立場でしたが、今まで僕も過去5年間でチームメイトがトレードされるのを見てきました。そういう意味で、ビジネスの世界は割り切ってやるしかないと思っていました。ただ、やっぱりいざ自分が当事者になってみると、すごくショックな部分はありました。優勝を目指してやっていた分、本当かという気持ちがありましたが、(トレード先が)グリズリーズだったので本当に良かったです。最後は僕がNBAを始めた地でNBAのキャリアを終えるというところも、なるべくしてなったのかなと思います。

──NBA 6シーズンの中で、試合以外で印象に残っている出来事はありますか?

渡邊:プライベートはほとんど犠牲にした6年間だったので、プライベートで記憶に残っていることは全くありません。僕より能力や技術ある選手が1、2年でNBAを去っていくのをずっと見てきたので、その犠牲があったからこそ自分の能力で6年間やってこられたと思っています。

もっとアメリカのことを知ることができたらと思いますが、それは自分が現役を引退した後でもできることなので、現役の間は仕事であるバスケットボールに全力投球することが自分らしいと思っています。本当にバスケのことだけを考えた6年間でした。

──NBA 6シーズンにおける収穫と課題を教えてください。

渡邊:高校時代を振り返ってみても、元々シューターではありませんでした。アメリカに行って、シュート力を身につけないとこの世界で生き残っていけないというところから、3ポイントの練習を一生懸命始めました。大学でもプロでも毎年ちょっとずつ結果が見えてきて、それが昨シーズンに本当に開花した感じでした。時間的にはかかりましたが、地道に努力すれば、世界最高峰のレベルでもちゃんと力を発揮できるということを知れたのは良かったです。

ただ、技術的にもっと色々なことができないとNBAの世界でこれからさらに6年以上となってくると生き残っていけません。そういう意味では自分はまだまだ実力不足な部分があったのかなというふうに思っているので、これから日本に帰るにあたってさらに技術を身に着けて、日本では3&D以外のプレイも見せていけたらと思っています。

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完全アウェイ状態の中で五輪を戦えるのはすごい楽しみ

──今夏にはパリ五輪が控えています。フランス、ドイツといった強豪と同組ですが、個人的な目標は?

渡邊:チームの目標はこの間、トム(・ホーバス・ヘッドコーチ)がベスト8を目指すと発表したので、今の僕たちにとっては良い目標だと思っています。ドイツもフランスも強豪ではあるのですが、正直言って、五輪でどの国と対戦してもどの組に入っても変わらないです。ただ、開催国のフランスと対戦できるのは嬉しいです。お客さんも満員になると思うので、完全アウェイ状態の中で五輪を戦えるのはすごい楽しみにしています。

──日本代表が五輪で勝ち進むために一番大切なことは何だと思いますか?

渡邊:対戦相手を考えるより、まず自分たちが練習でやっていることをいかに試合で出せるかが大事です。相手の方が強いのは分かっているので、玉砕覚悟で自分たちが得意とする速い展開から3ポイントを打っていって、それを高確率でしっかり決めることができれば、どの国相手でもしっかり戦えるのではないかと思っているので、めちゃくちゃ楽しみです。

──日本代表でチームメイトの富永啓生選手は、渡邊選手から見てどのような選手でしょうか?

渡邊:シュート力に関しては、すでにNBAの中でも上位クラスにいると思います。それぐらい彼のシュートはよく入ります。今シーズン、ネブラスカ大で彼の持っているものがより開花したと思っています。バスケットって結局いろいろ言われますけど、シュートが入る人はかなりチームから欲しがられます。そういった意味では、NBAでやっていけるものは持っていると思います。

僕の時もそうでしたが、周囲から色々な意見が出てきます。僕は自分自身を信じてやってきた結果の6年なので、彼もあまり周りの声を気にせず頑張ってほしいです。日本に帰国するのを発表した後に彼とは連絡をとって、「お疲れ様でした」と言われましたけど、僕からは、まずNBAのベンチに入って僕の6年間なんて軽く超えてくれ、と伝えました。

チームメイトとしても、友人としても、そしてNBAで多少なりともやってきた先輩としても彼のことをすごく応援しているので、僕はあまり色々言わずに彼がやっていることを信じて黙って応援していこうと思います。

──20日にSNSで来季は日本でプレイすることを発表されました。その後に日本代表のメンバーから連絡がありましたか?

渡邊:何人かから連絡をもらいました。(富樫)勇樹とはそのずっと前に言っていたので、改めて連絡をもらいました。あと、河村(勇輝)からも連絡をもらいました。彼はすごく真面目と言うか、すごく良い性格をしていて、本当に良い子です。

「自分なんかが雄太さんのことをすべて知っているかのように連絡するのはおこがましいかと思ったのですが」みたいな感じで始まったので、そんなこと気にせず去年あれだけ一緒に頑張った仲なんだからという感じで返しました。それで、「NBAでの6年間すごかったです、お疲れ様でした」と言ってもらえて嬉しかったですね。昨年に日本代表でプレーして、本当にすごく楽しかったので、またこの夏にあのメンバーたちと一緒にプレイできると考えたら、それだけで今からワクワクします。