11月21日(日本時間20日)にバークレイズ・センターで行われた古巣のメンフィス・グリズリーズ戦に出場し、16得点と活躍したブルックリン・ネッツの渡邊雄太が試合後に日本メディアの取材に応じた。
127-115でネッツが勝利したこの試合に途中出場で24分41秒間プレイした渡邊は、第4クォーターだけで4本の3ポイントショットをきめ、16得点、3リバウンド、3アシストをマークし、ネッツが終盤に試合の主導権を握ることに大きく貢献した。
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以下、試合後の会見室で行われた質疑応答の抜粋(掲載分はすべて日本語でのやり取り。質問は要約)。
チームメイトのパスが自分を信頼してくれて、シュートを打たせるためのパス
――素晴らしい活躍で、最後は「ワタナベ!」というコールまで起こった。
渡邊:突き放せそうでなかなか突き放せない展開の場面で、僕の3Pで突き放せたっていうのはすごく自信になりました。チームメイトのパスが自分を信頼してくれて、シュートを打たせるためのパスだなっていうのがボールを通じて伝わってくる。シュートがすごい打ちやすい状態でパスをくれているので、皆に感謝しなきゃいけない部分です。
――ケビン・デュラントは渡邊選手がシュートを決めるたびにすごく喜んでいた。
渡邊:そういう部分が彼のリーダーシップ。彼は僕だけに限らず、他の人がいいプレイをしたら、自分がいいプレイをしたかのようにいつも一緒に盛り上がってくれます。彼みたいなスーパースターがそうやってくれると、チームの士気は上がりますよね。僕自身、彼のああいう姿を見て、次ももっとやろうという気持ちになるので、彼のリーダーシップっていうのは素晴らしいなといつも感じています。
――ジャック・ボーン・ヘッドコーチは渡邊選手の活躍は今まで積み重ねてきたものがあったからだと話していた。
渡邊:本当にいいチーム、いいチームメイト、いい監督に巡り合えたのがすごく大きな理由だと思います。今までメンフィス(・グリズリーズ)でやってきたこと、トロント(・ラプターズ)でやってきたことっていうのが、ちょっとずつ、ちょっとずつ、結果となって出てきています。こんなところで満足せずに、自分はもっともっと上に行けると思っているんで、もっと高いところを目指して頑張っていきたいと思います。
(グリズリーズの)みんなが「今日はすごくよかった」「これからも頑張ってね」って声をかけてくれたんで、本当に嬉しかった
――試合後、すぐに古巣グリズリーズの選手たちとも握手していた。
渡邊:試合中、すごく仲のいいジャレン ・ジャクソン Jr.が僕のことをチクチク言ってきていたんですよ。そこから流れに乗れました。試合後、彼は「後悔したよと言っていましたけど(笑)。(グリズリーズの)みんなが「今日はすごくよかった」「これからも頑張ってね」って声をかけてくれたんで、本当に嬉しかったです」
――3Pを高確率で決め、自信は増しているか。
渡邊:自信があって打てているのと同時に、さっき言ったように、チームメイトのパスが僕を打たすためのパスになっているというのが大きいと思います。一切迷いがなく打てているのは彼らのおかげ。シュートはここ最近入っていますが、絶対に入らないときは出てきます。そういうときでもブレずに自信を持って打ち続けようと思っています。
――いい流れだが、課題を挙げるなら。
渡邊:ここ2試合、前半の入り方が個人的にすごく悪かったですね。あと、今日は第4クォーターの最後、正直、もう僕は出ないだろうと思って気を抜いてしまっていたんです。今まであの時間帯で頑張ってきたから今があるのに、ああいう終わらせ方は良くなかった。今日は自分を褒めてあげたい反面、あんなことをしてはだめだなっていう、気持ち的には半々です。
――第4Qで一度交代したときに拍手で送られた。ブルックリンの雰囲気はプラスになっているか。
渡邊:ファンの方からも少しずつ認められているというか、知名度も上がってきたんじゃないかと思います。今日、試合に入ったときにも拍手してくれていましたし、終わったあともみんな拍手をいっぱいくれました。ああいう応援は選手にとって力になるんで、ファンの皆さんに感謝したいです。
――4本の3Pを決めた第4Qはゾーンに入ったような状態だったのか。
渡邊:ポートランドでのトレイルブレイザーズ戦と同じで、前半に打った1本目は変な外れ方をしたんです。後半に立て直さなきゃいけないなっていうところで、まずレイアップでしっかり点を取れてリズムに乗れた部分がありました。1本目の3Pを決めたあと、タッチは引き続きいいなと思いました。あとはさっきも言ったように、本当に打ち易いパスをもらっているのが大きいですね。僕だけの力ではなく、今、確率がいいのは間違いなくチームメイトのおかげです。もっと成長しつつ、そういうところにも感謝し続けていきたいです。
――パスがいいだけでなく、自身のショットセレクションがいいのも大きいのでは。
渡邊:僕が無理して打つ必要なんて一切ないですからね。いつも思っているんですけど、オフェンス面での僕はコート上で5番目のオプションでいいんです。KD(デュラント)だったり、カイリー(・アービング)だったり、ベン(・シモンズ)もここ2試合、アグレッシブにリング下で得点を決めたりしてくれていますけど、彼らがああやって攻めると、相手チームはどうしても僕をオープンにしなきゃいけなくなるんです。そこで僕が決めることによって、僕も彼らを助けることができます。今は本当にチームとしてお互いを助け合えている状態かなと思います。
――チームにとってとても重要な選手のシモンズは過去数戦、アグレッシブなプレイで違いを生み出している。
渡邊:彼がアグレッシブにいくとほほかの選手がどんどん生きてきます。もともと力はある選手。僕らは最初から彼を疑ってないですし、あれくらいはできると思っていました。ようやく彼の本来の姿が戻ってきて、みんな喜んでいます。
チームとしてすごくまとまってきている状態だと思うので、自分もしっかりその一員としてやるべきことをやっていきたい
――今日からアービングが復帰したが、試合前に話があったのか。
渡邊:彼が出場停止になったときに、すぐみんなに「こんな状態に巻き込んでしまって本当に申し訳ない」というのを伝えてくれました。その後も試合を重ねるごとに、遠征中でもグループテキストに“今日はここがよかったよ”とか書き込んだり、毎回、“自分のことでコメントしなきゃいけないような状態を作ってしまって申し訳ない”というのを言ってくれていました。会ったのは久しぶりだったんですけど、今日も改めてそう言ってくれて、すごく良い雰囲気でした。僕たちも、カイリーも、復帰を待ち望んでいました。彼がようやく戻ってきてくれて、チームとしてすごくまとまってきている状態だと思うので、自分もしっかりその一員としてやるべきことをやっていきたいです。
――昨日、慶応ニューヨーク校の生徒たちを訪れた。どのような経緯で実現し、どんな雰囲気だったのか。
渡邊:どうせニューヨークにいるのなら、ニューヨークにいる日本人と交流したいと思っていたので、いろいろと聞いていたんです。ああいう高校があって、そろそろシーズンが始まると聞いたので、ちょうどいいなと思いました。次の試合まで2日空いていましたし、朝の(ネッツの)練習が終わったあとに移動しました。彼らが心からバスケットを楽しんでいる姿を見たら、僕も初心に帰れたというか、自分も高校生、中学生のときはこういうふうに楽しんでいたなというのを改めて感じられたんです。僕も彼、彼女たちからすごく力をもらいました。
――激しくプレイして厳しさを教えるつもりだったのか。
渡邊:もちろんケガしてもいけないですし、本気ではやってないです。ただ、せっかくNBA選手が来て、間近でプレーする体験というのはなかなかできないこと。自分ももちろん高校生のときはそんな経験は1回もしたことはありませんでした。せっかく一緒にやるからにはNBA選手らしいところも見せたいなと思ったので、ブロックだったりダンクだったりはそれなりに激しくやりました(笑)。
取材・一問一答構成:杉浦大介
ネッツは11月23日午前9時30分(現地22日)にペンシルバニア州フィラデルフィアのウェルズ・ファーゴ・センターでフィラデルフィア・76ersと対戦する。