フェニックス・サンズの渡邊雄太が、2月5日(現地4日)に敵地のキャピタル・ワン・アリーナで行われたワシントン・ウィザーズ戦後に日本メディアの取材に応じた。
ベンチから出場した渡邊は7分54秒間のプレイで3ポイントショット2本中1本成功を含むフィールドゴール4本中3本成功の7得点に加え、2スティールをマーク。試合はサンズが140-112で勝利している。
以下、渡邊の試合後の一問一答(すべて日本語での質疑応答。質問は要約)。
“ユウタは準備できている”ってコーチに思われることが大切
――サンズのチーム状態が上向きなのは、シンプルに主力が揃ったからか?
渡邊:そうですね。特にビッグ3が揃って、もう結構、一緒に長くプレイしています。やっぱりうちのリズムはあの3人次第。3人がリズムに乗れば、チームとしてもリズムに乗れます。いつでも点が取れる選手たちで、今日はブラッド(ブラッドリー・ビール)が43得点、違う日はブック(デビン・ブッカー)が50〜60得点、また違う日はKD(ケビン・デュラント)が40得点とか、そういうことができるチームです。
相手としてはやりにくいと思いますし、それでいてアンセルフィッシュな選手が多いのも大きいですよね。今日はブラッドが久しぶりの(古巣である)ワシントンDCでのゲームということで、乗っているのがわかれば、ブックとKDは彼にボールを預けて、(自由に)やらせてあげてという感じでした。
そうされるのがブックの日もあればKDの日もあるという感じで、お互いにリスペクトして、ボールをシェアしています。こういうバスケットができるチームは強いかなと思います。
――個人としても今日は第4クォーターにスティール、ダンク、3Pと見せ、先につながるプレイができたのでは?
渡邊:プレイタイムが約8分あれば、最初の3、4分はウォームアップじゃないですけど、身体を動かして、そこで温まり出します。試合時間にして40分くらい、それ以外の時間も入れて1時間半くらいずっと座っていて、最後に出て、というのはなかなか大変な部分がありますが、今日みたいに約8分あって、最後まで出られるってわかっていれば正直、やりやすいですね。試合に出ているメンバーにこういう展開を増やしてもらえればなと思います(笑)。
――2、3分のプレイタイムだとやはり準備が難しい?
渡邊:身体が温まり切る前にどうしても終わってしまいます。それでもやらなきゃいけないんですけど、これくらいがっつり時間があればリズムにも乗り易い、というのは正直あります。
――チーム内での序列を上げていくために今、見せなければいけないものは?
渡邊:コーチは僕に何ができて、何ができないかっていうのはもうしっかりわかっています。だからとにかく自分が“stay ready”できているっていうのをアピールすることが大事。何か新しいことに取り組んでいるということはないですし、今までやってきたことをやり続けるだけ。
使われる、使われないは別にしても、“ユウタは準備できている”ってコーチに思われることが大切なので、継続をするだけかなと思います。
タッチは全然悪くないので、チャンスが来ればまた活躍はできる
――鍵になる3Pは昨年12月12日以来、久々に成功させた。最近のシュートタッチはどう?
渡邊:だいたい試合と試合の合間には8人くらいでピックアップゲームをやり、昨日も試合に出ていないメンバーでそれをやりました。そういう時でもシュートはすごく入っています。タッチは全然悪くないので、チャンスが来れば、また活躍はできるんじゃないかなとは思っています。
――トレード期限間近だが、サンズでやっていきたいという思いは強い?
渡邊:もちろんトレードはされたくないです。今、ここにいる選手は全員そうだと思っています。特にサンズは去年の僕の活躍を評価してくれて、良い条件の契約をくれ、自分を信じて獲ってくれたチームですから。
もちろんビジネスの世界なので何があるかわからないですし、トレードされたからといって、チームから嫌われていたとか、そういうわけでは一切ないと思いますけど、やっぱりここにいる以上、最後までやり切りたいという気持ちはあります。
――チームへのロイヤルティ(忠誠心)というか、予め決めたことはやり抜きたいという思いか?
渡邊:そのへんは日本人的な考え方もあるのかなとは思います。それこそカレッジも僕と一緒にフレッシュマンのときに入ってきた選手はトランスファーしていったなかで、僕はコミットし、4年間やり遂げました。NBAに入ってからは色んなチームに行きましたけど、それは契約上のこと。僕は結構ロイヤルティの部分は大切にしたいタイプの人間なので、そういう意味ではやはりこのチームで、というのはありますね。
(大学時代を)しっかり最後までやり遂げられたっていうのはこれから死ぬまで誇りに思える
――今日はそのカレッジ時代を過ごしたワシントンDCでのゲームだった。今、カレッジでの日々をどう振り返る?
渡邊:しんどい想いの方が正直多い4年間だったんじゃないかなと思います。当時は英語も全然喋れなかったですし、そのなかで授業を受けなければならず、バスケをうまくなるための練習もしていました。カレッジの生活はずっと分単位とかで動いていた感じ。今くらいの英語力がついた状態で大学生活を送ったらすごく楽しいんでしょうね(笑)。
ただ、当時はそれはそれでやりがいがありましたし、それがあったから今があるとは思っています。たぶん自分が今まで生きてきたなかで最も頑張った4年間。バスケを頑張れっていわれたら頑張りますけど、勉強っていう自分が得意ではないこと、好きではないことを投げ出さず、ほとんど弱音も吐かず、しっかり最後までやり遂げられたっていうのはこれから死ぬまで誇りに思えるところだとも思います。
本当にここでの4年間は中身が濃かったですね。あの日々に帰れって言われたら、もう絶対無理ですけど(笑)。
――今日の登場時も、ブルックリンほどではないが、スタンドから大きな歓声があがっていた。
渡邊:あれは嬉しかったですね。DCで覚えていてくれている人もいるでしょうし、日本人もなかには何人もいたのでしょう。
――最後に少し話が逸れるが、今日も観衆をどよめかせていた身長218cmのボル・ボルはかなり特殊な能力のある選手に思える。一緒にプレイしていてもそれは感じる?
渡邊:彼はオールスターとかそういうレベルのタレントだと思っています。昨日は一緒にピックアップゲームをやりましたけど、止められるわけがないというか、何もできないですし(笑)。プレイタイムをしっかり与えられ、チームの約束事だったりとかそういう部分をもう少し徹底できれば、間違いなく20分、30分と出場して活躍できる選手でしょう。同じチームメイトとしてプレイタイムを争っている部分もあるんですけど、頑張って欲しいと言ったら変ですが、結果を出すべき選手だという気持ちはあります。
取材・一問一答構成:杉浦大介
サンズは次戦、2月7日午後12時(現地6日)、アリゾナ州フェニックスのフットプリント・センターでミルウォーキー・バックスと対戦する。