ブルックリン・ネッツの渡邊雄太が1月29日(現地28日)に本拠地バークレイズ・センター(ニューヨーク州ブルックリン)で行われたニューヨーク・ニックス戦後にメディアの取材に応じた。
この試合で渡邊は17分6秒間のプレイで3ポイントショット3本中3本成功を含むフィールドゴール4本中3本成功の9点をマークし、チームは122-115で勝利している。
以下、渡邊の試合後の一問一答(すべて日本語での質疑応答。質問は要約)。
本音を言うともうちょっと打ちたかったという気持ちもあります
――今夜はオフェンス面ではボールがよく回り、ジャック・ボーン・ヘッドコーチはターンオーバーが少なかったことを喜んでいた。ディフェンスも良く、いい勝ち方だったのでは。
渡邊:今日はうち(のメンバー)は小さかったんですけど、それでも頭を使いながら、ミスマッチができたらすぐ修正するようにして、なるべくミスマッチを作らないようにプレイしました。オフェンスでは仰った通り、ボールがよく回っていました。8ターンオーバーに対して31アシストというのはすごく良い数字。今日は本当に良い勝ち方だったんじゃないかなと思っています。
――個人としては3Pを3本成功。1試合に複数本決めたのは昨年12月31日以来、2023年に入って初めてだった。
渡邊:個人的には今日は及第点ですかね。本音を言うと、あれだけ決めていたんで、もうちょっと打ちたかったという気持ちもあります。ただ、打つべきショットは全部打っていました。他の選手も当たっていましたし、流れ的にも自分が無理して打ちにいくような場面があったわけではないので、今日は及第点です。
――これまでコーナーからの3Pの確率の高さで騒がれてきたが、今日はすべて違う角度から成功させた。
渡邊:最近はコーナーから結構外しちゃっているんで、45度からとかの方が確率的には良くなってきていると思います。実は昨日、ニックスの(アシスタントコーチの吉本)泰輔さんと食事に行き、「左45度からは全然入らないから」とかちょっとおちょくられたんです。今日はしっかり決めてやりましたよ。3本目を決めた後、向こうのベンチの吉本さんに向かって指をさしたんです(笑)。
――第2クォーター途中、相手選手の肘打ちを浴び、一度交代したが大丈夫だったのか。
渡邊:大丈夫です。顎に入ったんですけど、一瞬痛んだくらいです。交代させられたのはあれが原因ではなかったんですよ。ちょっと一個やらかしてしまったので……。その前に2
本も3Pを決めていたにもかかわらず、外されるということはコーチの怒りを買ったということ。自分でも反省しています。
――何がそれほどコーチの逆鱗に触れたのか。
渡邊:その前のプレイでリバウンドがルースボールになったときに、僕の目の前にボールが少し転がって、チップしたんですけど結果的に相手に取られたんです。あそこはもう飛び込んででも絶対に取れという場面でした。今日、試合前に、“もし今日が最後の試合だったらどういうアプローチをするか”といったミーティングがあったんです。あれは“今日が最後の試合だったら”という姿ではないと受け取られたのでしょう。僕のなかでもすごく反省しています。
渡邊雄太なんかではなく、もっともっと上を目指して欲しい
――試合前、NBAグローバルアカデミー入りしているジェイコブス晶選手と対面し、ジェイコブス選手は「このレベルでプレイしている渡邊選手のすべてを学びたい」と話していた。そういう選手が出てくるのは日本バスケ界にとって大きいと感じるか。
渡邊:正直に言うと、彼のプレイはまだ見たことがなかったんです。ただ、会う前にどういう選手なのかを調べて、ハイライト映像を見ました。あの身長でガードもできる選手であり、動きもしなやかで、僕の高校の時より遥かにすごいんじゃないかなと思いながら見ていました。
10代の頃から海外に出て経験するというのはすごく大きなこと。彼が成長し、日本代表とかで一緒にプレイできるようになれば楽しいでしょうね。さっき会った時、彼もそこを目指していると言っていました。「日本代表ではどういうことが求められますか?」と具体的に聞いてきたりしていました。そういう向上心がある選手は絶対に伸びてくると思うので、今後がすごく楽しみです。
――ジェイコブス選手は「渡邊選手と自分にはプレイスタイルに共通点がある」と目を輝かせていた。若い世代に対する自身の影響力を感じるか。
渡邊:僕としては渡邊雄太なんかではなく、もっともっと上を目指して欲しいです。本当に冗談抜きに、謙遜しているとかではなくて(笑)。(八村)塁がドラフトされたっていうのは本当に大きなニュースになりましたよね。今後、ちょっと大袈裟な話ですけど、ケビン・デュラント、カイリー・アービングみたいな選手が日本から出てくることを僕は本当に夢見ています。
彼の記事を読んでいたら、ポール・ジョージ、ルカ・ドンチッチが好きで、彼らみたいなプレイを目指していると言っていました。僕なんかは早く追い越してもらって、いろんな日本人の選手がNBAで活躍する姿を見たいなと本当に思っています。
――次の試合はレイカーズ戦で、移籍したばかりの八村塁選手とマッチアップがあるかもしれない。やはり楽しみにしているのか。
渡邊:塁も新天地で、(移籍初戦では)良い活躍をしていました。レイカーズはこれからどんどん順位を上げてくるんじゃないかと思っています。
僕たちも今日、良い勝ち方をして、次の試合ではケガ人が戻ってくるかわからないですけど、自分たちのやることをやっていきたいです。もちろんやっている最中は僕も塁も日本人対決とかは考えずに、チームの一員としてプレイするんですけど、見ている人たちにはやはり楽しんでもらえたらなと思っています。
取材・一問一答構成:杉浦大介
ネッツは次戦、1月31日午前9時30分(現地30日)に再びバークレイズ・センターで八村塁が所属するロサンゼルス・レイカーズと対戦する。