12月1日(現地11月30日 )のブルックリン・ネッツとワシントン・ウィザーズによる一戦は、残念ながら日本人対決は実現しなかったものの、ブルックリンで初めて日本人選手が揃う試合だったこともあり、ネッツは日本メディア向けのレセプションを開催。日本代表のトム・ホーバス・ヘッドコーチも招待された。
右ハムストリングの軽い肉離れで欠場が続いているネッツの渡邊雄太は、引き続き治療を受け、1週間後に再検査をする予定であることをチームが発表した。
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以下、レセプションで行われた質疑応答の抜粋(すべて日本語でのやり取り。質問は要約)。
元に戻ったときに、最低限のパフォーマンスをできるように
――現在の右足のケガの状況は。
渡邊:軽い肉離れを起こしています。痛みはもちろんあるんですけど、試合に出られないほどではないというか、無理すれば全然出られるぐらいの痛みではあります。ただ場所が場所なので、もしこれで無理して、酷くなった場合、1か月、2か月とかのケガになる恐れがあるので、チームとしてもそのリスクは取れないということです。
もちろん僕としても今、無理してこの先もっと長い時間を休まなきゃいけなくなるぐらいなら、しっかり治したいと思っています。もちろん試合に出たいですし、せっかく調子もいい時期だったので悔しい気持ちもあるんですけど、今はあせらずにやっていこうかなと思っています。
――12月12日にウィザーズ戦がまたあるが、そこまでには復帰したいか。
渡邊:そうですね。今のところもう1週間ぐらい(様子を)見てっていう予定なんで、10日後にはさすがに大丈夫だと思います。
――一昨日撮ったMRIの結果は。
渡邊:悪化したりとか、そういうのはなかったので、結果的には無事良くなってはきています。ただ、まだ直っているわけではないので、あと1週間はとりあえず様子見てっていう感じになると思います。
――調子がよかっただけにもどかしい気持ちもあるのか。
渡邊:もちろんあせる気持ちもあるんですけど、あせって、もどかしい気持ちがあるからってけがが早く治ってくれるわけじゃないので。そこはもう割り切って、今は試合に出られないなりにやることをしっかりやって、自分が元に戻ったときに、最低限のパフォーマンスをできるようにするっていうことをしっかりやりたいと思います。ベンチで見ている時は、とにかくチームメイトのために声を出したり、盛り上げたりとか、そういうことを意識するようにしています。
来年の夏、自分が成長した姿をまたコーチに見せられたらなと
――来年の夏には日本でW杯がある。ネッツの経験をどうつなげたいか。
渡邊:NBAで経験していることは間違いなく自分にとってプラスになり、それが日本代表にとっても絶対プラスになります。ここで活躍し、プレイタイムをもらって、自分が成長すれば成長するほど、日本代表の1人として代表に還元できるはずです。もちろん代表のことを考えながらプレイしているわけではないんですけど、それが後々、必ず代表にはつながっていくんで、自分自身すごく楽しみにしてます。(W杯は)日本での開催ということで、なかなか日本のお客さんの前でプレイする機会がないので、個人的にはすごく楽しみにしています。
――ホーバスHCも来ているが、日本代表での役割をどう考えているか。
渡邊:NBA選手には代表期間の制限があります。 来年の夏、Bリーグは終わったらすぐ代表活動が始まると思うんですけど、僕だったり(八村)塁だったりは確か大会の29日前までは参加できないんですよね。そういうのがあるので難しい部分はもちろんあると思うんですけど、しっかりコーチともコミュニケーションをとりながら、映像とかも見せてもらいながら、自分たちが合流した時に少しでもいい状態でできるようにしたいなと思っています。まだ先のことなので、そこまで真剣にというか、深く考えているわけではないですけど、個人的にはすごく楽しみにしてる大会なので、来年の夏、自分が成長した姿をまたコーチに見せられたらなと思っています。
――3ポイントショットがよく決まっている理由は。
渡邊:キャッチ&シュートの確率が高いからです。なんでキャッチ&シュートの確率が高いかって言ったら、KD(ケビン・デュラント)、カイリー(・アービング)、ベン(・シモンズ)だったりがいてくれるからというのがすごく大きいと思います。今は成功率57%という意味のわからない数字が出てますけど、これはキープできると自分でも思ってないです。 そんな甘いリーグではないんで、これからもちろん3Pに関しては厳しくなってくるだろうと思います。ただ、やっぱり高確率で決め続けないことには自分は試合には出られないし、だからそこでしっかりとシーズン通して高確率で決め続けて、その自信を持って、代表にまた合流できたらいいなと思っています。
――過去やシーズン前と比べ、3Pを打つ際のメンタルは変化したか。
渡邊:単純に入っている時は無心で打てるというか、とにかく打ったら入るだろうとしか思わない。本当にその感覚でずっと打てています。外れ出した時に今の同じ感覚で打てるのかというのがすごい大事になってくると思います。 NBA 5年目ですが、過去4年間でこんなに3Pが入っている時はなかったので、こういう成功体験が1つできたっていうのは、自分が次、シュートが入らない時期になった時に絶対助かってくると思っています。 今の気持ちっていうのは、絶対忘れないようにしなきゃいけないと思っています。
――サッカーW杯を戦う日本代表について思うことは。
渡邊:僕は結果しか見てないですが、ドイツに勝ったのは本当に素晴らしかったと思います。その次の試合では残念ながら負けてしまったんですけど、W杯なんで強豪しか出てこないような大会なので、簡単に勝てる試合なんて1つもないですよね。選手たちはしっかり対策して、万全の状態で臨んだのだと思うんですけど、それでもああいうふうに負けてしまう試合もある。
逆に言うと、スペインももちろん強豪ですけど、勝てるチャンスがあるっていうことだと僕は思っています。日本がドイツに勝ってるんで、自信は絶対あると思いますし、今の崖っぷちの状態だと思うので、そういう意味でももっと気合いが入った状態でスペイン戦に臨めると思います。僕も選手として代表で活動するプレッシャーとかもいろいろわかっているつもりではいるので、しっかり大会を楽しんでもらって、僕も1人のファンとして応援できたらと思っています。
取材・一問一答構成:杉浦大介