「正直、どうしたものかって思っている」
7月5日(日本時間6日)のカリフォルニア・クラシック最終日、ゴールデンステイト・ウォリアーズのサマーリーグチームに所属する馬場雄大はマイアミ・ヒート戦に合計9分4秒出場した。短い出場時間のなかで3ポイントショットを1本打ち、ベースラインのドライブインからレイアップを狙ったものの、どちらも決まらずに、無得点、1アシストという成績だった。
試合後、馬場は「正直、どうしたものかって思っているところです」と明かした。
ウォリアーズの契約下にある選手やドラフト指名選手たちが優先されるサマーリーグ戦において、馬場のようにサマーリーグにだけ呼ばれた選手の出場時間は短い。2日(同3日)のサクラメント・キングス戦後に言っていたように「正しいプレイをする」ということが最優先なのは変わりない一方で、自分らしいプレイも見せたいという思いもある。短い時間のなかで、それをどう両立させるべきなのかを考えながらプレイしているのだという。
「ミーティングのときも、(コーチたちは)いかにエクストラパスをしてチームとしてプレイするかっていうことを常に言っている。個人のスキルというのはひとつも口にしないので、正しいプレイを意識しつつも、どうしたら自分が目立てるのかなとは、今ちょっと考えているところです」
チームのスペーシングのためにポジションを取り、味方の動きに合わせて逆サイドに切れる。パスが回ってきたときには、よりいいシュートチャンスがあると思えば味方にパスを出す。目立たないが、今はそれが自分のやるべきことだと思い、やり続けている。
ヒート戦でも、そんなプレイがあった。第2クォーターの残り4分、ペイント内に切れ込んだ馬場にパスが入った。馬場はディフェンスが寄ってくるのを見ると、外にポジションを取っていたジェイコブ・ギルヤードにパスを出し、3Pショットをアシストした。ペイントタッチをしてディフェンスを収縮させ、外にパスを出す。ウォリアーズのコーチ陣が望んでいるプレイだ。
「たぶん、ふだんならターンラウンドで打っていたと思うんですけれど、よりいいシュートを探すというのはずっと言われているので。そんなプレイを意識していました」
1試合のなかの、特に目立つわけではないアシスト1本。そんなプレイにウォリアーズのコーチ陣や、他のチームのスカウトがどれだけ気づいてくれているかはわからないが、それでも常に見られていることを意識してプレイする必要がある。
「自分でボールを持って攻めるプレイをNBAでやるのかって言われたら、(NBAチームには)スター選手がいるわけで。いかに正しいプレイをするかというところが上のレベルに行って求められるところだと思うので、プレイのチョイスはそこにマインドを置いています」
「流れにはあまり逆らわずに、やれることはやんないと」
カリフォルニア・クラシックを終えると、ウォリアーズのサマーリーグチームはすぐにラスベガスに移動した。7月8日(日本時間9日)からNBA 2K23サマーリーグ5試合を戦うためだ。ただカリフォルニア・クラシックでも、1試合、順番での欠場があったように、馬場がラスベガスでの全5試合に出場できる保証はない。登録メンバーはカリフォルニア・クラシックよりさらに増え、ジョナサン・クミンガやジェイムズ・ワイズマンら契約選手も合流するため、出場時間がさらに短くなる可能性も高い。
しかし、そういったことを心配しているわけにはいかない。
「正直、そこに関してはコントロール出来ないので。与えられたことをやるだけ。その次に何が待っているかわからないですけど、流れにはあまり逆らわずに、やれることはやんないとなと思っています」
アピールする場は試合だけではない。たとえば5対5のスクリメージ(実戦形式の練習)での真剣勝負。ウォリアーズでは、ワイズマンの実戦復帰前の準備としてフルコートの5対5を行なっている。サマーリーグの試合直前に行われたこともあったが、馬場も参加している。そして、そういったスクリメージでも本気でプレイするようにしているという。
「いつ見られているかわからないので、5対5のスクリメージのときも、手を抜かずに集中してやっている。(そのため)試合前の疲労度ではないです」と苦笑する。
そんなさまざまな悩みも含めて、今は、とにかくサマーリーグでの経験を楽しんでいる。
「楽しみながらやれている。本当にいい機会だなと思ってやれています」
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