1か月前、ボストン・セルティックスのジョー・マズーラ・ヘッドコーチは、年間最優秀コーチ賞のファイナリストにノミネートされた。
そして今、34歳の指揮官のセルティックスにおける将来は不透明になっている。
マズーラがセルティックスと延長契約を結んだのは、わずか数か月前のことだ。だが、イースタン・カンファレンス・ファイナル第7戦でマイアミ・ヒートに大敗し、一部ではマズーラHCが適任なのかを疑う声も上がっている。
セルティックスはマズーラHCと続けていくのか。現在の状況を見ていこう。
ボストン・セルティックスはジョー・マズーラHCを解任するか?
ヒートとの東地区決勝第3戦の試合後、『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者は、セルティックスのロッカールームが「イメイ・ウドカ退任を決して乗り越えなかった」と報じ、選手たちが「球団の理由を受け入れていなかった」と伝えている。
ウォジナロウスキー記者は「だからといって、マズーラをヘッドコーチとして受け入れなかったという意味ではない」と話した。
「しかし、このチームは本当にウドカを信じていた。彼と強いつながりがあったんだ」
ヘッドコーチとして1年目のマズーラの下で、セルティックスは多くの成功を収めた。イーストで第2シードを獲得し、カンファレンス・ファイナルの舞台に戻ったのだ。だが、優勝という目標には及ばなかった。
もちろん、そのすべてがマズーラのせいではない。しかし、シーズンを通じて彼はタイムアウトの請求を迷うと批判されてきた。フィラデルフィア・76ersを相手にシリーズ2勝3敗とされて迎えた地区準決勝第6戦に至る前に、昨季チームを成功させたビッグラインナップを起用しなかったことに、ファンからも不満の声は上がっていた。
東地区決勝第1戦でも、マズーラのタイムアウトのマネジメントは話題となった。ヒートに25-46と大きく上回られた第3クォーターで、一度もタイムアウトを要求しなかったのだ。また、26点差で敗れた第3戦では、チームの準備を整えさせられなかった責めを負った。
第3戦の試合後、グラント・ウィリアムズは『The Athletic』で「彼が僕らに言えることは何もない」と話している。
「チームが競い、ハードにプレイするのを助けるのに、彼にできることは何もない」
「あなたたちがヘッドコーチのせいと主張しても、僕らは自分たちの目を見て、『何が起きているんだ?』と問いかけなければいけない。選手として、僕らが以前こうだったことはないからだ。毎年やってきたんだからね。自分たちを見つめ、同じように競えないなんて、経験したことがない。今夜の僕らは寝そべっていたかのようだ。選手としてこれは受け入れられない。フラストレーションだ」
ESPNのブライアン・ウィンドホースト記者によると、セルティックスのブラッド・スティーブンズ社長は、マズーラを「強く信じている」という。「新人コーチなら新人らしいミスがある」と理解しているそうだ。だが、ウィンドホースト記者は、第3戦の大敗で「確実なことは何もないと感じる」と報じた。
セルティックスは第4戦から第6戦までを制し、NBAの歴史で初となる0勝3敗からのシリーズ逆転勝利にあと1勝というところまで迫った。だが、本拠地TDガーデンでの第7戦、ファンの前で84-103とショッキングな大敗を喫している。
歴史的な逆転劇に迫ったとはいえ、一部のファンからは再びマズーラの指導力に対する不満の声が上がった。
第7戦の終盤、ひどいショットセレクションと3ポイントショットへの過剰な依存で、セルティックスの攻撃戦略は終盤に崩れたように思われた。この試合のセルティックスは3P42本中9本成功(21.4%)にとどまっている。
試合後、マズーラは「選手たちは気にかけていたし、持てるすべてを出した。それが最も大切なことだ」と述べた。
「もちろん、我々は目標を達成できなかった。目標だった勝利を収めることができなかったのだから、その点に関しては失敗したということだ」
ジェイレン・ブラウンは指揮官を支持している。
報道陣に対し、ブラウンは「ジョーをリスペクトしている」と話した。
「タフな状況になり、彼はそれを受け入れ、突き進んだ。ここ2年の僕らは連続でヘッドコーチがルーキーだった。ジョーがイメイから暫定で引き継ぎ、ヘッドコーチになって、とにかく真っ向から挑戦に臨んだ。そして僕らをここまで導いたんだ」
ジョー・マズーラの指導成績
2022-2023シーズンはマズーラにとってヘッドコーチとして初のシーズンだった。
セルティックスはレギュラーシーズンを57勝25敗で終え、東地区の第2シードを獲得。NBAプレイオフ2023の成績は11勝9敗で、ファーストラウンドでは第6戦でアトランタ・ホークスを、地区準決勝では第7戦で76ersを沈めたが、地区決勝でヒートに第7戦で敗れた。
シーズン | レギュラーシーズン成績 | ポストシーズン成績 | 結果 |
2022-23 | 57勝25敗 | 11勝9敗 | 東地区決勝敗退 |
ジョー・マズーラの契約
2月16日(同17日)、セルティックスはマズーラを暫定ヘッドコーチから正式なヘッドコーチとした。両者は延長契約にも合意したが、内容の詳細は公表されていない。
当時、公式リリースで、スティーブンズは「ジョーは非常に才能あるコーチであり、リーダーであることを示してきました」と述べている。
「彼にはミッションを巡って全体を活気づけることができる独特な能力があります。我々がここまでたどり着く助けとなるために彼がしてきた仕事に感謝しており、未来に向けて我々を先導することに彼が合意してくれたことをうれしく思います」
マズーラに代わるセルティックスの新ヘッドコーチ候補となり得るのは?
セルティックスがマズーラから指揮官を代える場合、現在招へいできる著名な指導者はたくさんいる。例えばフランク・ボーゲル、モンティ・ウィリアムズ、マイク・ブーデンホルザー、ドック・リバース、ケニー・アトキンソンといった名前だ。元トロント・ラプターズのニック・ナースは、76ersと合意したと報じられている。
ブーデンホルザー(2019年)とウィリアムズ(2022年)は、過去5年で最優秀コーチを受賞した指揮官だ。ボーゲル(2020年)とブーデンホルザー(2021年)は過去5年でNBA優勝を果たした指揮官でもある。
『Yahoo Sports』のジェイク・フィッシャー記者によると、セルティックスは「スタッフに加えるベテラン」として、ボーゲルや元ヒューストン・ロケッツHCのスティーブン・サイラスとつながっているという。『Subtack』のマーク・スタイン記者は以前、セルティックスがオフシーズンにサイラスをアシスタントコーチに招へいすることを望んでいると報じていた。