フィラデルフィア・76ersは5月14日(日本時間15日)、イースタン・カンファレンス・セミファイナル第7戦でボストン・セルティックスに88-112で敗れてシーズンを終えた。
大敗で批判を浴びているのが、ドック・リバース・ヘッドコーチだ。残念なシーズンの終わりの責任が選手とコーチでどれくらいあるかを決めるのは難しいが、リバースHCはプレイオフでシリーズを締めくくり、才能あるチームを次のレベルに引き上げることができないとの評価が強まっている。
リバースHCは19シーズンで指揮を執り、様々なチームをプレイオフ進出に導いた。だが、レギュラーシーズン以降にあまり成功できていない。リバースHCが率いたチームがカンファレンス・ファイナルまで勝ち進んだのは3回のみ。そのうち、NBAファイナルまで進出したのは1回だけだ。
2008年に優勝リングを手にしたリバースHCだが、当時のことはどんどんと遠い昔になってきている。76ersでの仕事を保てないほどかもしれない。リバースHCを巡る状況を見てみよう。
76ersはドック・リバースを解任するか?
76ersにおけるリバースHCの立場がどれほど揺らいでいるのかは不明だ。だが、本人は来季もフィラデルフィアに戻ることを望んでいるようである
来季の指導計画を問われると、リバースHCはほかのところに行くつもりはないと話した。
チームとの契約について言及したリバースHCは、「あと2年残っていると思う」と述べている。優勝経験コーチの解任について問われると、可能性があることは分かっていると答えた。
リバースHCは「我々の仕事では誰も安全じゃない。それは分かっている」と話している。
76ersのスーパースターであるジョエル・エンビードとジェームズ・ハーデンも、リバースHCの立場の安泰に言及し、それぞれコーチを支持した。
エンビードは「ファンタスティックな仕事をしたと思う」と話している。
「僕たちはこれまで向上してきた。決めるのは僕じゃないけど、彼は大丈夫だと思うよ」
ハーデンはエンビードほど力強く後押ししていない。リバースHCとの関係を問われると、「僕らの関係はOKだ」と短く答えた。
MORE: Why Joel Embiid's 'We can't win alone' quote isn't what it sounds like
ドック・リバースのプレイオフ戦績
ヘッドコーチとしての23シーズンで、リバースHCはプレイオフ通算111勝104敗を記録している(勝率51.6%)。異なる4つの球団で19シーズンを戦っている。2008年にセルティックスでNBAファイナルに進出するまで、リバースHCはシリーズを制したことがなかった。
セルティックス時代の2012年を最後に、リバースHCはカンファレンス・セミファイナルを突破していない。2012年は優勝したマイアミ・ヒートにカンファレンス・ファイナルで敗れている。
2000年にオーランド・マジックの指揮官に就任して以降のリバースHCの毎年のプレイオフ成績は以下のとおりだ。
年 | チーム | プレイオフでの白星 | プレイオフでの黒星 |
2000 | オーランド・マジック | — | — |
2001 | オーランド・マジック | 1 | 3 |
2002 | オーランド・マジック | 1 | 3 |
2003 | オーランド・マジック | 3 | 4 |
2004 | オーランド・マジック | — | — |
2005 | ボストン・セルティックス | 3 | 4 |
2006 | ボストン・セルティックス | — | — |
2007 | ボストン・セルティックス | — | — |
2008 | ボストン・セルティックス | 16 | 10 |
2009 | ボストン・セルティックス | 7 | 7 |
2010 | ボストン・セルティックス | 15 | 9 |
2011 | ボストン・セルティックス | 5 | 4 |
2012 | ボストン・セルティックス | 11 | 9 |
2013 | ボストン・セルティックス | 2 | 4 |
2014 | ロサンゼルス・クリッパーズ | 6 | 7 |
2015 | ロサンゼルス・クリッパーズ | 7 | 7 |
2016 | ロサンゼルス・クリッパーズ | 2 | 4 |
2017 | ロサンゼルス・クリッパーズ | 3 | 4 |
2018 | ロサンゼルス・クリッパーズ | — | — |
2019 | ロサンゼルス・クリッパーズ | 2 | 4 |
2020 | ロサンゼルス・クリッパーズ | 7 | 6 |
2021 | フィラデルフィア・76ers | 7 | 5 |
2022 | フィラデルフィア・76ers | 6 | 6 |
2023 | フィラデルフィア・76ers | 7 | 4 |
通算 | 111 | 104 |
ドック・リバースは優勝したことがあるか?
リバースHCは優勝リングをひとつ手にしている。ただ、それはエンビードが14歳の時のことだ。2007-2008シーズン、ライバルのロサンゼルス・レイカーズを倒し、セルティックスを球団通算17回目の優勝に導いた。
選手としても指導者としても、リバースHCがリングを獲得したのはこの時だけだ。
ドック・リバースのクローズアウトゲームでの成績
コーチとしてのリバースHCの最大の欠点は、シリーズを締めくくることができないという評価だ。
プレイオフのクローズアウトゲームでリバースHCは通算17勝33敗。黒星はNBA史上最多の数字だ。また、ほかにもリバースHCはうれしくないNBA記録もいくつか樹立している。
- 3勝2敗とリードしたシリーズでの逆転負けが7回
- 第7戦で通算10敗、2015年以降に白星なし
- チームがリードしたシリーズで12回の敗退