NBAのスター選手にとっての最終目標は、ラリー・オブライエン・トロフィーを掲げ、優勝チームのリーダーとしてファイナルMVPを受賞することだ。バスケットボール界の頂点に立つほどの感動はないだろう。
だが、現在では別の賞も誕生した。昨年、NBAは東西両カンファレンスのファイナルMVPを新たに創設。ウェスタン・カンファレンス・ファイナルのMVPトロフィーには、キャリア通算10回の地区決勝進出を果たしたマジック・ジョンソンの名が冠された。
正式にこの賞を受賞したことがあるのは、ステフィン・カリーとニコラ・ヨキッチだけだ。だが、もしもタイムマシンに乗り、過去の西地区決勝で最高の選手たちを選んだらどうなるだろうか?
我々に、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出てくる「デロリアン」はない。だが、NBAの歴史を通じて、素晴らしいパフォーマンスを見せた選手たちを振り返ることはできる。
(注:さかのぼるのはBAAとNBLが統合されてリーグが正式にNBAとなった1950年代まで)
年代別ウェスタン・カンファレンス・ファイナルMVPに値した選手
2020年代の西地区決勝MVP
- ディアンドレ・エイトン(2021年)
- アンソニー・デイビス(2020年)
フロリダの「バブル」では、デイビスもレブロン・ジェームズも素晴らしかった。だが、ペイント内やペリメーターでの卓越ぶりからデイビスが僅差で上回る(記憶に残る第2戦のブザービーターも)。
エイトンはややサプライズ選出だろう。2021年の西地区決勝では、デビン・ブッカーが苦しみ、クリス・ポールは2試合を欠場した。そこで効果的な平均ダブルダブルを記録したエイトンを選んだ。
2010年代の西地区決勝MVP
- ステフィン・カリー(2015年、16年、17年、19年)
- ケビン・デュラント(2012年、18年)
- ティム・ダンカン(2014年)
- トニー・パーカー(2013年)
- ダーク・ノビツキー(2011年)
- コービー・ブライアント(2010年)
この10年はゴールデンステイト・ウォリアーズのものだ。2015年から19年まではカリーとデュラントが独占。それ以外は殿堂入りしている4選手となった。2011年のノビツキーの優勝までの道のりは、間違いなくリーグの歴史で最も印象的な個人の活躍だっただろう。
2000年代の西地区決勝MVP
- シャキール・オニール(2000年、02年、04年)
- コービー・ブライアント(2001年、08年、09年)
- ティム・ダンカン(2003年、05年、07年)
- ダーク・ノビツキー(2006年)
なんと豪華なグループだろうか。ブライアントとオニールは2000年代にロサンゼルス・レイカーズを複数回の優勝に導いた。ダンカンはこの10年間でサンアントニオ・スパーズが優勝した各シーズンで選出となっている。
1990年代の西地区決勝MVP
- アキーム・オラジュワン(1994年、95年)
- クライド・ドレクスラー(1990年)
- マジック・ジョンソン(1991年)
- テリー・ポーター(1992年)
- チャールズ・バークリー(1993年)
- ギャリー・ペイトン(1996年)
- ジョン・ストックトン(1997年)
- カール・マローン(1998年)
- デイビッド・ロビンソン(1999年)
1990年代で複数回選出となったのはオラジュワンだけだ。この間の成績は平均30.4得点、10.8リバウンド、3.9アシスト、4.0ブロック、2.0スティールと嘘のようである。
1980年代の西地区決勝MVP
- マジック・ジョンソン(1982年、83年、84年、89年)
- ジェームズ・ワージー(1985年、87年、88年)
- カリーム・アブドゥル・ジャバー(1980年)
- モーゼス・マローン(1981年)
- アキーム・オラジュワン(1986年)
レイカーズ、レイカーズ、そしてレイカーズだ。この10年間のうち8年はアブドゥル・ジャバー、ジョンソン、ワージーとなった。レイカーズ選手の「スウィープ」を阻んだのはマローンとオラジュワンだ。
1970年代の西地区決勝MVP
- ジェリー・ウェスト(1970年、73年)
- カリーム・アブドゥル・ジャバー(1971年、74年)
- ジム・マクミリアン(1972年)
- リック・バリー(1975年)
- アルバン・アダムズ(1976年)
- モーリス・ルーカス(1977年)
- マービン・ウェブスター(1978年)
- ガス・ウィリアムズ(1979年)
1970年代が始まった時にウェストはキャリア末期に近かったが、それでもレイカーズが勝ち進むのを導くだけの力は残っていた。アブドゥル・ジャバーはロサンゼルスに行く前にミルウォーキーで怪物的なスタッツを記録していた。
1960年代の西地区決勝MVP
- ジェリー・ウェスト(1965年、66年、68年)
- ボブ・ペティット(1960年、61年)
- エルジン・ベイラー(1962年、63年)
- ウィルト・チェンバレン(1964年、69年)
- リック・バリー(1967年)
またもレイカーズだ。ベイラー、チェンバレン、ウェストでこの10年間の6回。チェンバレンはウォリアーズの一員としてもう1年選出となった。
1950年代の西地区決勝MVP
- ジョージ・マイカン(1952年、53年、54年)
- ジョージ・ヤードリー(1955年、56年)
- フランク・ブライアン(1950年)
- アーニー・ライゼン(1951年)
- ボブ・ペティット(1957年)
- クリフ・ヘイガン(1958年)
- エルジン・ベイラー(1959年)
マイカンはNBAにおける最初の真のスーパースターセンターにふさわしい。ゲームのルールをも変えた彼の支配力が、プレイオフにも及んだのは驚きではない。