ナゲッツの大黒柱ヨキッチをマークしたレイカーズ八村塁の守備は何が良かったのか?|NBAプレイオフ2023

2023-05-17
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(Getty Images)

ロサンゼルス・レイカーズはデンバー・ナゲッツとのウェスタン・カンファレンス第1戦で敗れた。だが、すべてを失ったわけではない。第3クォーターに最大21点のビハインドを背負いながらも、レイカーズは終盤に興味深いラインナップの工夫で追い上げた。

ゴールデンステイト・ウォリアーズとのカンファレンス・セミファイナルで平均出場時間が17分に満たなかった八村塁は、レイカーズが20点を追っていた第3Q残り3分強でコートに入った。最後の15分をプレイした八村は、ナゲッツとの大きな点差を縮めるのに貢献している。

八村の数字は見事なものだった。28分の出場でフィールドゴール11本中8本成功の17得点を記録している。だが、彼のインパクトはボックススコアだけにとどまるものではなかった。

第4Qにレイカーズは八村と守備で何かを見いだした。第2戦でも再びそれを狙うのは確実だ。

八村塁がヨキッチ対策の最高のオプションに

第1戦のニコラ・ヨキッチは伝説的だった。わずか17本のFG試投で34得点をあげ、トリプルダブルを達成したのだ。最初はアンソニー・デイビスがヨキッチをマークしたが、スローダウンさせるために何もできなかった。

デイビスは守備でファンタスティックな選手だが、ヨキッチを相手に効果がなかったのは驚きではない。レギュラーシーズンでも1on1でヨキッチを止めることができなかった。リーグのマッチアップデータによると、第1戦のヨキッチはデイビスを相手にFG10本中8本成功で11アシストを記録している。

このマッチアップでやられたレイカーズのダービン・ハム・ヘッドコーチは、何か違うことにトライすると決めた。第4Q残り10分で八村をデイビスの代わりとしたのだ。そしてそれが天才的な一手となった。

八村とヨキッチのマッチアップはポストで大きなサイズアドバンテージを許すことになったが、それによってデイビスがヘルパーとしてペイントを自由に動けるようになったのだ。八村はヨキッチに対して1on1で素晴らしい仕事をし、FG3本中1本に抑え、3ターンオーバーを強いている。

また、八村とヨキッチのマッチアップにはデイビスの大きなヘルプもあった。ヨキッチがポストでサイズのアドバンテージを生かそうとしても、そこにデイビスがおり、ヨキッチの手からボールを奪ったり、ターンオーバーにつなげたのだ。

レイカーズはこの戦略に乗っかり、大差を完全に縮めることに成功した。最後は及ばなかったが、八村がヨキッチに対して良い仕事をし、デイビスがその背後を支えたことで、流れを大きく変えたのである。

攻撃面でも貴重な活躍を見せた八村塁

守備における八村の役割は重要だった。だが、攻撃での活躍はさらに貴重だったかもしれない。

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八村はマークしてきたナゲッツの選手たちよりもはるかに強く、力で勝ることで、簡単なレイアップやファウルをもらう場面につなげることができた。八村のポストアップが問題となり、ナゲッツはヘルプせざるを得ず、第4Qにオースティン・リーブスが3Pを打てるようになったのだ。

また、八村はヨキッチにとって速すぎる選手で、第3Qにはヨキッチをかわして美しいレイアップを決める場面もあった。

第1戦で八村はヨキッチを相手に良い仕事をしたが、ヨキッチはあまりに優れた選手であり、長く封じることはできないというのが真実だ。ヨキッチは八村とのマッチアップを打ち破る策を見つけてくるだろう。

それでも、八村はプレイすべきだ。八村がコートに立っていた第4Qのレイカーズは、ポゼッションあたり1.48得点という攻撃力を見せていた。おそらく、このシリーズでレイカーズはナゲッツの攻撃を止めることができないだろう。だから、自分たちの攻撃でペースを保とうとすることが、レイカーズにとって最高のチャンスとなるかもしれない。

ナゲッツは第2戦でどう修正できるか?

終盤、ナゲッツはヨキッチを守る八村に対抗する方法を見いだしている。

彼らが試したひとつは、アーロン・ゴードンをスクリナーとして使うことだ。ゴードンがデイビスから遠く離れることで、残り約1分にはケンテイビアス・コールドウェル・ポープがワイドオープンの3Pを打つことができている。

第2戦でナゲッツはもっとペリメーターでゴードンをスクリナーに使い、そういったオープンな3Pを打つ機会を増やそうとするだろう。

第1戦のナゲッツはスペーシングもあまり良くなかった。ゴードンがバスケットの近くで止まることが多く、デイビスが簡単にリカバリーさせてしまったのだ。ゴードンは優れた3Pシューターではない。それでも、レギュラーシーズンの成功率は34.7%だった。彼にポストアップさせ、もっとシュートさせれば、デイビスに対するプレッシャーも増すはずだ。

また、ゴードンはカッティングが非常にうまい。3Pライン付近でデイビスに無視されるなら、デイビスの背後にカッティングしてレイアップを狙うことができる。

こういった修正が見込まれるが、それでもレイカーズは八村とヨキッチのマッチアップを随時狙い、第1戦の終盤で見られた魔法を再現できるか見てみるべきだ。少なくとも、八村をコートに立たせておくことで、ナゲッツの致命的な攻撃力に並ぶ機会を手にすることができるだろう。

原文:What Rui Hachimura's defense on Nikola Jokic means for Lakers and how Nuggets can adjust in Game 2(抄訳)

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