NBA第1週の反響:別格のナゲッツや飛躍が期待のマクシーなど

2023-10-31
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(NBAE via Getty Images)

2023-2024シーズンのNBAが開幕して1週間だが、すでに注目のストーリーはたくさんある。

レブロン・ジェームズの出場時間制限からフェニックス・サンズの負傷者たち、ビクター・ウェンバンヤマが早くも卓越ぶりを見せていることや、ヤニス・アデトクンボとデイミアン・リラードの強力コンビなど、NBA開幕からの7日間はファンに多くの話題を提供した。

まだサンプル数が少ないこの時期、見てきたことに過剰に反応するのは当然のことだ。

開幕戦の反響はステフ・ノウ記者が伝えた。ここでは、最初の1週間を受けて注目すべきことを見ていこう。

2024年のラリー・オブライエン・トロフィーはナゲッツへ

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デンバー・ナゲッツは別格だ。

確かに、イースタン・カンファレンス・ファイナルでミルウォーキー・バックスとボストン・セルティックスが対戦すれば面白いだろう。ゴールデンステイト・ウォリアーズやロサンゼルス・レイカーズ、サンズといったチームの新戦力がうまくハマろうと奮闘するのも興奮だ。だが、ナゲッツのレベルにあるチームはない。

開幕前、重要な駒がフリーエージェントで去ってできた穴をナゲッツがどう埋めるのかは、はっきりとは分かっていなかった。しかし、今ではこの上なく明確だ。ロスターにニコラ・ヨキッチがいれば、たいしたことではない。うまくいくものだ。

ナゲッツがドラフトで極めてうまくやり、その恩恵を受けていることは明白だ。だが、彼らはヨキッチ、ジャマール・マレー、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ、マイケル・ポーターJr.、アーロン・ゴードンと、スターティングラインナップが変わっていない。継続により、昨年よりも良いチームとなっているようだ。

ほかのチームたちがいろいろなことを模索している中で、ナゲッツは圧倒的に前を進んでおり、物事を完璧にしようとしている。この幸先の良いスタートで、ナゲッツは連覇に向かうだろう。

ハーデン騒動でマクシーはオールNBA入りの飛躍なるか

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トレードを要求したジェームズ・ハーデンの一連の騒ぎを考えると、それこそが、タイリース・マクシーがさらに飛躍するために必要としていたことだったと分かる。

マクシーはシーズン開幕戦で31得点をあげると、2日後も34得点をマークした。ハーデンがメンバーにいても似たようなパフォーマンスができていたかもしれないが、ユーセージ率向上でこれだけのシーズンスタートにできたことは疑いない。

今季がNBAで4年目のマクシーだが、これまでは毎年大きな成長を遂げてきた。ルーキーシーズンはシックスマンで平均8.0得点だったが、昨季は平均20.3得点となり、今季は開幕から3試合で平均30.3得点と、有望な軌跡を残してきた。

もしもハーデンが退団するなら、マクシーがエンビードに次ぐチームの2番手になることは間違いない。序列がよりはっきりすれば、まもなく23歳になるマクシーにとっては、オールNBA入りする道が開けるかもしれない。平均30得点超を保つことはないだろう。だが、平均25得点あたりを保てない理由はない。

そしてたとえハーデンが戻ってきたとしても、マクシーが2番手の選択肢になる必要があることは、この立ち上がりで確認された。それが、76ersがセルティックスとバックスに割って入り、競う存在となる最高のチャンスとなる。

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モラント復帰はグリズリーズを救うのに間に合わない?

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今季のメンフィス・グリズリーズは、ウェスタン・カンファレンスで大丈夫ではないだろう。

ジャ・モラントが開幕から25試合で出場停止と、グリズリーズはすでに不利な状況からのシーズンスタートだった。そしてさらに悪いことに、スティーブン・アダムズが負傷で全休となり、サンティ・アルダマ、ブランドン・クラーク、ルーク・ケナードも不在。グリズリーズはオールスター選手ひとりと、本来なら大きな出場時間を得るような選手たちも欠いた状態で開幕を迎えたのだ。

その結果、グリズリーズはニューオーリンズ・ペリカンズ、ナゲッツ、ワシントン・ウィザーズを相手に開幕3連敗スタートとなった。

12月19日(日本時間20日)までモラントがいないグリズリーズだけに、これからも簡単にはいかないだろう。彼が戻ってくるまでに勝率5割付近を保てれば理想的だが、出だしから躓いただけに、10勝15敗でも難しいかもしれない。極めて競争が激しい西地区だけに、モラントほどのスターの力をもってしても、グリズリーズをそれほど浮上させられはしないだろう。

昨季のレイカーズやマイアミ・ヒートのように、プレイイン・トーナメントを経て勝ち進むのが、グリズリーズにとって最大の希望となる。

NBAで最も切迫した状況にあるブルズ

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選手だけでミーティングをすることが、事態を好転させるのに必要な衝撃となることも少なくない。ただもちろん、それはそのミーティングがシーズン半ばに行われる場合の話だ。

シーズン最初の試合が終わった段階で選手だけによるミーティングが行われたのなら、根本的に何かが間違っているということだ。ホーム開幕戦で20点差をつけられて敗れ、選手だけでミーティングを行ったシカゴ・ブルズは、何かが間違っている。

トロント・ラプターズの終盤の失速で3連敗を免れ、1勝2敗スタートになったブルズだが、黒星のひとつはホームでの恥ずかしい敗戦だった。ロードでの黒星も、ザック・ラビーンが自己最多の51得点を記録しながら、それを生かせずに喫したものだ。

現時点のブルズには、興奮できるような好材料があまりなく、解決が望まれる課題がたくさんある。

ブルズの主軸はラビーンが28歳、ニコラ・ブーチェビッチが33歳、デマー・デローザンが34歳と、将来に集中するには年をとり過ぎている。しかし、東地区の中位から上位にかけて競うほど十分ではない。

ロッタリーピックやロッタリーレベルのタレントをトレードで手放したブルズは、コービー・ホワイトとパトリック・ウィリアムズが将来の駒となる。そして22歳のウィリアムズの飛躍をまだ待っている。

すべてに暗い影を落としたのが、うまく機能させる存在と思われたロンゾ・ボールの不運な状況だ。この1年半欠場しているボールは、今季もコートに立つことがない。

ブルズにはいくつか真剣な変更に踏み切るか、幸運に恵まれる経験が必要だ。あるいは、そのどちらも必要かもしれない。

原文:Week 1 NBA overreactions: Nuggets have no competition, Tyrese Maxey's All-NBA leap & more(抄訳)
翻訳:坂東実藍