ウォリアーズのトレードデッドラインでの獲得/放出候補:マレーやクリス・ポール、クレイ・トンプソンら

2024-02-06
読了時間 約5分
(NBA)

ゴールデンステイト・ウォリアーズは強く変化を必要としているチームだ。優勝するためにステフィン・カリーに残された時間は少なくなっている。だが、今はそれを実現させるだけの選手が彼の周囲にそろっていない。

競争が激しいウェスタン・カンファレンスにおいて、ウォリアーズはプレイイン・トーナメント出場すら容易ではない争いのさなかにある。そして彼らは支出が多い。『Spotrac』によれば、税支払いは1億8630万ドル(約277億5870万円/1ドル=149円換算)の見込みだ。来夏のドラフト1巡目指名権はポートランド・トレイルブレイザーズに渡るため(保護条件つき)、タンクをするインセンティブはあまりない。

では、ウォリアーズはいかにしてチームを良くできるのか。優先すべきは、センターのサイズとウィングの層を強化することだ。

ここでは、ウォリアーズのターゲットとなり得る候補、そして取引のために提示すべき条件をまとめる。

ウォリアーズがトレードできるドラフト指名権

ウォリアーズはトレードデッドライン(トレード期限)で2つのドラフト1巡目指名権を取引できる。

2028年のもともとの1巡目指名権に加え、ブレイザーズに対する2024年指名権の保護条件を変更すれば、2026年の指名権も可能だ。

また、ウォリアーズにはドラフト2巡目指名権も3つある。

ウォリアーズのトレードデッドラインでのターゲット

(Getty Images)

1. デジャンテ・マレー(アトランタ・ホークス)

年俸:1771万4000ドル(約26億3939万円)

マレーはトレード市場に出回っている中で最高の選手だ。今季は3ポイントショット成功率が36.8%と向上している。ずっとピック&ロールでの堅実なスコアラーで、バスケットに向かうこともミッドレンジからのショットも可能だ。今季は平均21.5得点、5.2アシストを記録している。

マレーが活躍してきたボールスクリーン多用のスタイルは、ウォリアーズで必ずしもしっかりフィットするとは限らない。だが、サンアントニオ・スパーズ時代にさかのぼれば、より多くの動きを土台とする攻撃で成功した過去を持つ。2021-2022シーズン、グレッグ・ポポビッチ・ヘッドコーチの下で平均21.1得点、9.2アシスト、リーグトップの2.0スティールを記録し、オールスターに選ばれた。

守備はそれ以降で後退しているが、ボールに対してまずまずのディフェンダーであることは変わらず、パスレーンを阻むことができる。1試合あたりの相手のターンオーバー誘発で24位というウォリアーズの改善に役立つだろう。

理論上は、マレーの獲得は理にかなっている。だが、トレードを現実のものにするには、すぐに熱を高めていく必要があるだろう。『The Athletic』のアンソニー・スレイター記者は最近、ウォリアーズのマレーに対する関心は「せいぜい形だけ」と報じている。

 

2. ボーヤン・ボグダノビッチ(デトロイト・ピストンズ)

年俸:2000万ドル(約29億8000万円)

ウォリアーズはウィングの助けを必要としている。ボグダノビッチは獲得可能な中で最も才能あるスコアラーのひとりだ。今季は平均20.2得点、3P成功率41.5%を記録している。

だが、ボグダノビッチはシューターというだけではない。ポストプレイに優れ、ボールから離れる感覚は見事だ。ユタ・ジャズでは素晴らしい攻撃の一員だった。プレイオフでは何度か見事なパフォーマンスを見せている。

今季は得点面でカリーが十分な助けを得られていない。平均得点のチーム2位はクレイ・トンプソンだが、17.3得点にとどまっている。ボグダノビッチは、ショットセレクションがより優れ、もっと信頼できるシューターとなれるかもしれない。

ボグダノビッチは素晴らしいディフェンダーではない。だが、守備でも競う選手だ。プレイオフではギアを上げる。キャリア当初のインディアナ・ペイサーズ時代には、レブロン・ジェームズを追いかけるなど、驚きのマッチアップでも引けを取らなかった。

今季のピストンズがどこにもいけないのは明らかだ。それだけに、ウォリアーズは適切なオファーで彼を引き抜こうとするかもしれない。取引をまとめるには、おそらく、保護条件つきのドラフト1巡目指名権と、契約満了を迎える選手が必要となるだろう。 

3. デマー・デローザン(シカゴ・ブルズ)

年俸:2860万ドル(約42億6140万円)

The Athleticのシャムズ・シャラニア記者によると、ブルズはデローザンに連絡しているという。彼がウォリアーズの攻撃を助けられるのは確かだ。

過去2シーズンのオールスターに選出されていた調子ではなくなった。だが、デローザンがリーグ有数のミッドレンジシューターで、フリースロー獲得が素晴らしいことは変わらない。それらは今季の平均22.0得点という数字につながっている。

フィット具合に関しては、少し合わないだろう。デローザンが最も力を発揮するのはボールを持っている時だ。アイソレーションからの得点力は、ボールを動かすことを多用するチームにおいて、あまり役立たないかもしれない。しかし、彼は評価されている以上に優れたパサーだ。ウォリアーズの守備の問題を解決するほどの多くを持つわけでもない。だが、自己最多の平均1.2スティールと0.7ブロックを記録している。

4. ウェンデル・カーターJr.(オーランド・マジック)

年俸:1305万ドル(約19億4445万円)

ウォリアーズはローテーションのサイズのなさが痛手となってきた。今季はケボン・ルーニーも一歩後退している。

カーターJr.は、彼らが必要とすることの多くを解決できる選手だ。優れたパサーかつスクリナーで、ルーニーの役割をこなしつつ、さらにフロアを広げるショット力も加えられる。守備は非常に堅実なセンターで、7フィート4インチ(約224センチ)のウィングスパンを生かしてリムをうまく守る。まさに、ウォリアーズに完璧に合うタイプのビッグマンだ。

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今季はケガに悩まされてきたカーターJr.だが、最近は健康で、ファンタスティックなプレイを見せている。1月15日(日本時間16日)に戦列復帰して以降は、平均14.9得点、7.1リバウンドだ。

ESPN』のブライアン・ウィンドホースト記者によると、それだけ好調なため、マジックはカーターJr.のトレードに乗り気ではなくなっているという。だが、彼らは多くのビッグマンを擁しているだけに、移籍もあるかもしれない。

5. カイル・クーズマ(ワシントン・ウィザーズ)

年俸:2556万8182ドル(約38億966万円)

今季は苦戦するウィザーズでのプレイでクーズマンの評価も大きく下がったが、4年9000万ドル(約134億1000万円)というリーズナブルな契約の好選手であることは変わらない。今季の平均21.8得点という数字が表すように、自らショットをつくり出せる。

クーズマは万能タイプの選手だ。パサーとして大きく成長し、今季は自己最多の平均4.3アシストを記録している。6フィート9インチ(約206センチ)というサイズでリバウンドもうまい。ウィザーズでは守備がハイレベルではないが、かつては堅実だった。

リーグ全体でクーズマには感心が寄せられるだろう。才能あるフォワードのスコアラーで、プレイオフを戦うチームの多くにとって貴重だ。

トレード放出可能性が上位のウォリアーズ選手

シャラニア記者は先月、カリーを除くすべての選手が候補になり得ると報じた。最近はジョナサン・クミンガが好調で、残留の可能性が少し高まっている様子。だが、適切な条件であれば、彼でさえトレードがあり得る。

(NBAE via Getty Images)

1. クリス・ポール

年俸:3080万ドル(約45億8920万円)

ポールはベンチスタートからウォリアーズにとって重要な存在となっている。そしてチームはようやく、カリーがコートに立っていない時間帯に生き残れるようになった。今季のポールは平均7.2アシストを記録しており、ターンオーバーは平均でわずか1.2という数字だ。

彼の問題は2つ。まず、大型契約が終わるところで、トレードでサラリーをつり合わせるのに使われる可能性がある。今季は年俸3080万ドル(約45億8920万円)で、来季は無保証の3000万ドル(約44億7000万円)だ。

2つ目は、健康問題である。ポールはプレイオフで健康を保つことに問題を抱えてきた。現在は手をケガしており、1月8日(同9日)に手術を必要としている。

ウォリアーズが大物選手を獲得できると考えたら、ポールはトレードで引き換えに放出される可能性が高いひとりだ。

2. アンドリュー・ウィギンズ

年俸:2433万357ドル(約36億2522万円)

個人的な事情で昨年離脱して以降、ウィギンズは以前と同じではなくなった。今季は彼にとって悪夢のようだ。平均得点は自己最少の12.2得点に落ち、アシストとスティールも自己最少となっている。

ショットは良くなり始めたが、シーズンを通じてFG成功率は43.7%、3P成功率は31.1%、FT成功率は71.7%と、シンプルに十分な数字ではない。

トレードを難しくするのはウィギンズの契約だ。4年1億900万ドル(約162億4100万円)の1年目で、4年目はプレイヤーオプション。だが、ウォリアーズは彼のポジションでアップグレードを必要としている。オールスターに選ばれた2シーズン前の調子に彼が戻ることを期待し、獲得に乗り出すチームがあるかもしれない。

スティーブ・カーHCは先日、ウィギンズが良いプレイをしていると考えていて、トレードデッドライン後もチームに残ることを望むと話した。

3. モーゼス・ムーディー

年俸:391万8480ドル(約5億8385万円)

今季のムーディーは平均18分間よりもっと多くの出場時間にふさわしい。だが、カーHCのローテーションにおいては常にはずれ者のようだった。1月に流れをつかみ出したものの、ふくらはぎのケガに見舞われている。

ムーディーはリーグのどのチームにも魅力的な資産となる選手だ。21歳のシューティングガードは、ほぼすべてをこなすことができる。3P成功率は通算36.2%で、守備も良い。あらゆる取引において、価値を高めるための駒として理にかなう。

4. クレイ・トンプソン

年俸:4321万9440ドル(約64億3970万円)

チームの軸として非常に重要な存在だっただけに、トンプソンを手放すとなれば、ウォリアーズにとっては痛手だろう。しかし、感情を抜きにしたビジネスの視点からは、理にかなっている。

トンプソンとウォリアーズは延長契約で合意に達することができず、年俸4320万ドル(約円)の契約が満了するところだ。ウォリアーズはすでに多くの税を支払っているチームだけに、トンプソンにどんな夏が待っているかは分からない。

33歳のトンプソンが下り坂にあるのも明らかだ。得点とショット力は大きく落ちた。守れると信頼できるのはフォワードだけで、ショットセレクションの問題は悪化している。

トンプソンのサラリー負担がなくなるなら、ウォリアーズはさらに資産をつけ、役に立つ複数の選手を獲得するかもしれない。

原文:Warriors trade deadline rumors: Potential deals, storylines & targets featuring Dejounte Murray, DeMar DeRozan(抄訳)
翻訳:坂東実藍