6月16日(日本時間17日)にTDガーデン(マサチューセッツ州ボストン)で行われたNBAファイナル2022第6戦は、ゴールデンステイト・ウォリアーズがボストン・セルティックスを103-90で勝利し、2018年以来4年ぶり、通算7回目のNBA優勝を飾った。
ウォリアーズのヘッドコーチに就任後、4度目の優勝をもたらしたスティーブ・カーHCが、試合後に報道陣の質疑に応じた。
まず、素晴らしいシリーズを戦ったセルティックスに対して賛辞を送りたい。彼らは本当に素晴らしかった。彼らのディフェンスの運動能力や長さ、タフさは本当に手強く、このシリーズで私たちは追い詰められた。
私はこれまでにファイナルで2度敗れている。ここまで来てあと一歩のところで敗れるというのはとてもショックなことだ。負けた側には私の友人がたくさんいる。イメイ(ユドカHC)やウィル・ハーディ、デイモン・スタウダマイアー、アーロン・マイルズなど本当に良い友人たちがね。私がFIBAでコーチしたジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウン、デリック・ホワイトなどの、本当に素晴らしい選手たちもいる。
ここまで来て負けることがどういうものかわかっているから、ただ真摯に彼らの気持ちがよくわかるんだ。
──この優勝は他の優勝とは違うか?
どれもユニークで、どれも特別なものだね。ここ数年の状況を考えると、今回の優勝は最もあり得ないものだったかもしれない。クレイ(トンプソン)のケガがあって、年末にはドレイモンド(グリーン)やステフ(ステフィン・カリー)もケガをして、未知数な部分が多かった。新しく中心となった若手選手が多くて、というか中心選手の周りにできた新しいグループと言うべきなのかな、そういう若手選手が多かった。
でも、ウィッグズ(アンドリュー・ウィギンズ)やルーン(ケボン・ルーニー)、ギャリー・ペイトンのような選手たちが、どれだけ成長して影響を与えたか、それを見れたことは非常に特別なんだ。ジョーダン・プールも同じだ。名前を挙げるのを忘れている人がいるのはわかっているんだが、優勝にはチーム全体での努力が必要で、私たちにはそれを成し遂げる素晴らしい面々が揃っていた。
──あなたはこれまでのキャリアで偉大な選手を良く知っているが、ステフのことをどう思う? 1年目と変わらず、今でも畏敬の念を抱くような存在なのか?
そうだね。というのも、彼があのサイズでやっていることは、このリーグの従来の偉大な選手たちとは全く違うからね。
何度も言っているが、ステフはティム・ダンカンを思い出させるんだ。まったく違う選手なんだが、人間性、才能、謙虚さ、自信という、この素晴らしい要素が揃っていて、それがみんなに彼のために勝ちたいと思わせるんだ。
私はあの部屋(ロッカールーム)にいた全員に感激しているし、多くの人の力があって優勝を果たした。でも、ステフがいなかったら優勝はなかったよ。
オーナーのジョー(レイコブ)やピーター(グーバー)を非難しているわけではないんだ。彼らは素晴らしい組織を築き上げたからね。ボブ・マイヤーズは素晴らしいGMだし、たくさんの素晴らしい選手たちに恵まれている。でも、最終的にはステフがいたからこそ、これだけのことができているんだ。サンアントニオ・スパーズのティミー(ダンカン)と同じようにね。
だから、みんなのことを思うと本当に嬉しいが、ステフについては感激しているよ。僕からすれば、これは、もうすでに素晴らしいキャリアを積んできた彼にとっての最高の業績なんだ。
──ステフにとって最高の業績だとのことだが、(マイケル)ジョーダンや(ティム)ダンカンの周りにいたあなたから見て、スーパースターの選手にとってファイナルMVPは何を意味するのか。彼に欠けている唯一のものだったのか?
いや、彼にはまだオリンピックの金メダルが足りないね(笑)。彼は2024年のオリンピックチームに参加することに集中すべきだと思う。それが彼のキャリアで最後になすべきことだよ。申し訳ない。言わずにはいられなかった。
正直なところ、ファイナルMVPの件は、彼のキャリアは非の打ち所がなくて、実際にそれくらいしか思いつかないんじゃないかな。だから、ファイナルMVPを取って条件をクリアしたのは良かったと思う。でも、そのことが彼に不利になっていたとは私には考え難いんだ。ステフが来たから直接聞いてみてくれ。