5月2日(日本時間3日)に行われたNBAプレイオフ2023のウェスタン・カンファレンスのセミファイナル第1戦でロサンゼルス・レイカーズに敗れたゴールデンステイト・ウォリアーズは、4日(同5日)の第2戦では127-100の大差をつけてレイカーズを打ち負かした。後半に入ると勝負の行方は完全に決まっていた。
スティーブ・カー・ヘッドコーチが、ウォリアーズの運命をここまで劇的に変えるために行なった大きな調整とはなんだったのだろうか。
レイカーズを苦しめたウォリアーズの3つの調整
1. ケボン・ルーニーではなくジャマイカル・グリーンが先発出場
ケボン・ルーニーに代わってジャマイカル・グリーンを先発に起用したのは、最もわかりやすい調整だった。ルーニーが(出場はしたものの)体調を崩していたこともあってのことだが。その結果、ウォリアーズはより多くのシュート力とスペースを獲得し、第1戦の112得点から第2戦の127得点へと攻撃力を飛躍的に伸ばすことに成功した。
グリーンは自分のすべき仕事をし、3ポイントショット6本中3本を決めて13分間で15得点をあげた。レイカーズは彼をほとんどワイドオープンにしてしていたが、これはレイカーズがルーニーに対してしていたのと同じ戦略だ。ところが、ルーニーとは異なり、グリーンはその戦略を打ち破る準備ができていてそれを実践できたのだ。
2. ステフィン・カリーのピック&ロールを大幅増加
第1戦のレイカーズは、トップでカリーにボールを持たせないようにすることにかなり成功していた。第1戦の後、私や他の多くの記者が書いたように、第2戦に臨むウォリアーズが当然行う調整はカリーにもっとピック&ロールをさせることだった。第1戦でそれをしなかった理由は、カリーがより疲弊してしまうからだが、そのほうがカリーがボールをよりコントロールできるようになる。
コーチングスタッフはその犠牲を払い、最初から最後までカリーがボールを持つことを選択した。
レイカーズは、カリーの高い位置でのピック&ロールを止めるのに非常に苦戦していた。試合開始直後から自分たちのカバレッジを抑えられていないようで、その結果、ドレイモンド・グリーンが簡単にバスケットに向けて走り込めていた。また、カリーは3Pラインからのドライブでレイカーズのディフェンスを崩壊させることができた。
カリーは20得点にとどまったが、ピック&ロールで彼が与えたインパクトはその数字だけでは表せない。第2戦の彼は、シューターやローラーにパスを出したりと、どちらかというとファシリテーター的な存在だった。それは、12アシストという数字が如実に物語っている。自分が有利な状況を作り出し、2本、3本とパスを出してアシストにつなげるプレイが多くなっていた。
3. スティーブ・カーHCの巧妙なレイカーズディフェンスの崩し方
カーHCは戦術に優れたコーチであり、カリーとトンプソンをトップで抑えにかかるレイカーズの戦略を打ち破るためにいくつかの仕掛けを用意して第2戦に臨んだ。
これは、レイカーズの作戦を打ち砕くために何重にも重ねられた美しいデザインのタイムアウト後のプレイで、この試合で私が最も気に入ったものだ。
カーHCはほかにも、試合中断中に見事なプレイを繰り出している。
第2戦のカーHCは、彼が一流のコーチと言われる所以をさらに証明するにふさわしい最高のパフォーマンスを披露してくれた。
原文:Stephen Curry pick-and-rolls and the genius of Steve Kerr: Warriors adjustments that spell trouble for Lakers
翻訳:YOKO B Twitter:@yoko_okc