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ビクター・ウェンバンヤマ vs. ルディ・ゴベア:年間最優秀守備選手賞候補のスタッツ比較で注目の数字

2024-03-12
読了時間 約3分
(SN/Getty)

ベッティング市場によれば、2023-2024シーズンのNBA年間最優秀守備選手賞争いは、2人の選手の一騎打ちとなっている。ルディ・ゴベアとビクター・ウェンバンヤマだ。

オッズには大きな差があるが、両者の差は思っている以上に小さい。ウェンバンヤマにはいくつかのスタッツカテゴリーでアドバンテージがあり、ゴベアよりもはるかに少ない出場時間でそれらの数字を記録している。

ここでは、年間最優秀守備選手賞レースをけん引する両選手を比較する。

ビクター・ウェンバンヤマとルディ・ゴベアのスタッツ比較

最も基本的な守備のスタッツのいくつかで、ウェンバンヤマはゴベアをかなり上回っている。

どちらも素晴らしいリムプロテクターだが、ウェンバンヤマは8フィート(約244センチ)のウィングスパンのおかげで、ブロックでリーグトップの数字を残している。ゴベアもウィングスパンは7フィート9インチ(約236センチ)だが、ウェンバンヤマと同じレベルに届かない。

ウェンバンヤマ 1試合平均 ゴベア
3.4 ブロック 2.1
1.3 スティール 0.6
8.1 ディフェンシブリバウンド 9.2
2.9 ディフレクション 1.6

ウェンバンヤマの平均3.4ブロック、1.3スティールという数字はエリートクラスだ。NBAの歴史でこれだけの数字を達成しているのは5選手のみ。そしていずれも、ウェンバンヤマの平均28.8分間を上回る出場時間で達成している。

ブロックとスティールでウェンバンヤマがゴベアに対してアドバンテージを有しているのは明らかだ。そしてその差はかなり大きい。一方で、ゴベアはウェンバンヤマよりリム付近での相手のショットに影響力を発揮しているかもしれない。

年間最優秀守備選手賞の投票者が好んで見る最も重要なスタッツのひとつは、ディフェンダーから6フィート(約183センチ)以内の相手選手のショットへの対応だ。ウェンバンヤマはゴベアよりも多くショットに手を出している(7.9に対して8.2)。だが、より多く相手にミスさせているのはゴベアだ。

ウェンバンヤマ スタッツ ゴベア
54.3% 6フィート以内の相手のFG% 48.1%

また、投票者は出場時のチームのパフォーマンスを示す、オールインワンのインパクトのスタッツも見たがる。チームメイトや対戦相手のクオリティーに応じて調整されるものだ。ここでは、ウェンバンヤマのほうがより影響力のあるディフェンダーと見られている。

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ウェンバンヤマ スタッツ ゴベア
+3.3 Defensive EPM +2.6
+2.8 Defensive LEBRON +3.1
+3.3 Defensive RAPTOR +3.2

そしてもちろん、投票者にとって最も重要なスタッツは、チームの成功だ。一般的に、この賞は守備でトップ5のチームの選手に贈られる。

ウェンバンヤマが受賞から遠ざかるのはこのためだ。サンアントニオ・スパーズは守備で23位のチーム。一方、ゴベアが所属するミネソタ・ティンバーウルブズはリーグトップだ。

NBA年間最優秀守備選手賞の予想

(Getty Images)

チームが成功していないことで、ウェンバンヤマを厳しく罰するべきではない。彼を指名したのは、昨季、リーグ史上ワーストの守備だったチームだ。そしてそのロスターの大半が、今もウェンバンヤマと一緒にプレイしている。スパーズのチームメイトの中に、何かしら守備の賞を競うような選手はいない。ケルドン・ジョンソンやトレード前のダグ・マクダーモットなど、一部は平均をかなり下回るとみなされている。

一方、ゴベアはチームから大きな助けを得ている。ジェイデン・マクダニエルズはオールディフェンシブチーム選出の候補となるだろう。カイル・アンダーソンとニキール・アレクサンダー・ウォーカーは平均を上回る選手たちだ。マイク・コンリーはそのポジションで有数のヘルプディフェンダー。そしてアンソニー・エドワーズは1on1で優れたディフェンダーであり、うまくいっている時はスペクタクルなプレイを見せられる。

ウェンバンヤマはまだ20歳だ。しかし、すでにリーグ最高のディフェンダーと言えるだけのところが多い。威圧感は最大級だ。シンプルに、相手選手は彼に挑戦したがらない。

同じことはゴベアにも言える。だが、ペリメーターでの守備が向上したとはいえ、それでも彼の弱点であることは変わらない。ここもウェンバンヤマに軍配が上がるところだ。

一方、ゴベアが有利なのは純粋に肉体的な強さだ。ウェンバンヤマはまだ210ポンド(約95キロ)で細身だが、ゴベアは258ポンド(約117キロ)だ。ヒューストン・ロケッツのアルペレン・シェングンのように、一部の選手は低い位置で押し込むことでウェンバンヤマに対して成功している。

結局のところ、この2人は今季のリーグで他を大きく上回っている素晴らしいディフェンダーたちだ。所属チームの成功が重要ならば、ゴベアが受賞するだろう。リーグで最もインパクトのあるディフェンダーが受賞すべきならば、ウェンバンヤマに贈られるべきだ。

原文:Victor Wembanyama vs. Rudy Gobert: The key stats you need to know in Defensive Player of the Year debate(抄訳)
翻訳:坂東実藍