サマーリーグの初日は常に熱狂が渦巻く。だが、今年のサマーリーグ初日には、これまでなかったほどのメインイベントがあった。
サンアントニオ・スパーズがドラフト全体1位で指名したビクター・ウェンバンヤマの待望のデビュー戦だ。ラスベガスのトーマス&マック・アリーナは満員御礼。ファンはウェンバンヤマを見ようと、ティップオフの10時間以上も前から列をつくった。
ウェンバンヤマは、ファンが期待したほどの大活躍を見せられなかった。だが、いくつかレブロン・ジェームズ以来の有望新人と言われる理由を示す場面もあった。
NBAでのウェンバンヤマの初戦はどうだったのか。『スポーティングニュース』が分析する。
ビクター・ウェンバンヤマのサマーリーグデビュー戦分析
ウェンバンヤマは開始早々から観客を沸かせた。ブロックからルースボールを拾い、素早くトランジションでボールを運ぶと、左手でアシスト。チームメイトがやすやすとレイアップを決めた。
はつらつとしたドリブルからの見事なパスもいくつか見せた。メトロポリタンズ92では1試合平均2.4アシストにとどまり、ドラフト前にプレイメーカーと評価されることがなかったウェンバンヤマだけに、成長が見込まれる有望な前兆だ。
しかし、序盤はスコアラーとしてリズムをつかむことができず、試合全体でその傾向が続いた。最初のフィールドゴール試投2本は、フローターとダンクを決められず。その後、左手でショットを沈めて初バスケットとし、さらにファウルももらってエンドワンとしている。
対戦相手のシャーロット・ホーネッツによる素晴らしい仕事で、ウェンバンヤマはドリブルからのドライブに対応され、何度かターンオーバーもあった。
カイ・ジョーンズとブランドン・ミラーを相手にポストアップからのショットを決められない場面もあった。Gリーグ・イグナイトとのエキシビションゲームでは7本の3ポイントショットを沈めたが、その時のようなショットタッチは見られなかった。
これは攻撃においてウェンバンヤマのアグレッシブさに影響を及ぼしたようだ。後半は最初の出場時間で1本もショット試投がなかった。
守備では、試合の大半でペリメーターでの守備となったが、ヘルプディフェンダーとしてリムを守る術も見つけ、5ブロックを記録している。
第4クォーター終盤にはようやく3Pを決めて4点プレイを見せたが、攻撃面でのスコアラーとしてのウェンバンヤマの影響力はそこまでだった。
ウェンバンヤマは3P6本中1本成功を含むFG13本中2本成功の9得点、8リバウンド、5ブロック、3アシスト、3ターンオーバーという数字でサマーリーグデビュー戦を終えている。
世代を代表する有望新人のベストはまだこれからだと言えるだろう。
ビクター・ウェンバンヤマのデビュー戦で分かったこと
最も大きかったのは、攻撃での苦戦ぶりではない。それは後ほど触れよう。
驚いたのは、スパーズがウェンバンヤマを攻守両面でスモールフォワードとして起用したことだ。守備では主にミラーとのマッチアップだった。メトロポリタンズ92は守備でウェンバンヤマを真のセンターとして起用し、高さや8フィート(約244センチ)というウィングスパンをリムプロテクターとして生かしていた。
リーチの長さと守備に関するIQの高さで、いずれにしても存在感を発揮したウェンバンヤマだが、ウィングで守ったのが特にミラーとのマッチアップのためだったのか、スパーズが実際にそういう計画なのかは分からない。
攻撃で印象的だったのは、ドリブルからのプレイメーク能力だ。ハンドリングは時に雑で、ホーネッツによる素晴らしい仕事でドライブの際に苦しみ、ターンオーバーを強いられる場面もあったが、適切なプレイをしようという意欲を示し、相手の守備が襲いかかってきた時は、オープンな味方を見つけようとしていた。
得点力に関しては、ジャンプショットはリズムに乗れていないようだった。それが全体的なメンタリティーに響いたようだ。典型的なポストからのフェイダウェイは1本も試投がなかった。3Pは不調で、リム付近でのタッチも我々が見慣れていたのとは違った。
全体的に、ウェンバンヤマは熱の入りすぎたエキシビションゲームという試合だった。
勝利を収めた試合後、ウェンバンヤマは初戦で混乱したと認めている。
ウェンバンヤマは「全般的には試合に勝ててうれしい。これ以上の初戦はない」と話した。
「正直、今夜は本当に自分が何をやっているか分からなかった。でも、今後の試合のために学んでいるところだ。そして大事なのは、シーズンに備えることだよ」
スパーズの中心となるウェンバンヤマにとって、記憶に残るサマーリーグデビューではなかった。だが、NBAレベルでウェンバンヤマに期待すべきものからはかけ離れたパフォーマンスだった。