ペイサーズのハリバートン離脱で注目される4つの疑問 シアカムのトレードやオールNBAへの影響は?

2024-01-09
読了時間 約2分
(NBAE via Getty Images)

インディアナ・ペイサーズは1月9日(日本時間10日)、MRI検査の結果、前日のボストン・セルティックス戦の前半で負傷したタイリース・ハリバートンが左ハムストリングを痛めていると発表した。

ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者によると、重度1の負傷だったことにペイサーズ内では「安堵」があり、ハリバートンは約2週間後に再検査を受ける予定という。

今季のハリバートンは平均23.6得点、リーグトップの平均12.5アシストでペイサーズをけん引している。その彼と20勝13敗という成績を収めてきたペイサーズが、離脱によって一歩後退するのは言うまでもない。

ハリバートンが再検査するまで、ペイサーズは8試合を戦う。復帰は最短でトレードデッドライン(トレード期限)まで2週間、オールスターウィークエンドまで3週間というタイミングだ。それを踏まえた上で、ハリバートンの負傷によって浮かぶいくつかの疑問を見ていこう。

タイリース・ハリバートン負傷でペイサーズが直面する4つの疑問

ハリバートン不在でペイサーズのパフォーマンスは?

ハリバートンが負傷した時点で、ペイサーズは21勝15敗という成績だ。彼が出場した試合は20勝13敗。欠場した試合は1勝2敗だった。

サンプルとしては小さい数字ではあるが、この2つの黒星は51点差で大敗したセルティックス戦と18点差で敗れたミネソタ・ティンバーウルブズ戦。ただ、今回ハリバートンが負傷退場を余儀なくされたセルティックス戦では、TJ・マコーネルが代わりにポイントガードを務め、ペイサーズを2点差の勝利に導いている。

リーグトップのアシストを記録しているスターターが離脱した穴を埋めるのは大変だ。しかし、ペイサーズはマコーネルとアンドリュー・ネムハードにプレイメークの役割を託すだろう。

ハリバートンは平均得点もチームトップだ。そのため、ペイサーズはガードだけではなく、バディー・ヒールドとベネディクト・マサリンがペリメーターからの得点を増やすことを望むだろう。短期的には乗り越えられるかもしれないが、ハリバートンの離脱が長引けば対応に苦しむかもしれない。

トレードデッドラインへのアプローチに変化は?

ペイサーズは2023-2024シーズンのNBAで最も喜ばしいサプライズのひとつだった。守備面で足りないことはよく知られているが、リーグ史上有数のオフェンスを誇る。そしてそれはコート上の将軍としてのハリバートンのプレイメークと司令塔ぶりによるところが大きい。

結果、ペイサーズはハリバートン負傷時点でイースタン・カンファレンスの第4シードの座を複数チームと並んで競っている。

守備の懸念にもかかわらず勝利を収めることができていただけに、ペイサーズはトレードデッドラインで動くかもしれないと見られていた。全盛期の攻守両面での脅威ぶりから、ペイサーズをさらに競えるようにする存在と言われていたのがパスカル・シアカムだ。

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ハリバートンの離脱がトレードデッドライン以降まで続けば、ペイサーズは方針を変更し、アイザイア・ジャクソンやジェイレン・スミス、オビ・トッピン、新人ジェレス・ウォーカーといった若手の成長を強化するかもしれない。トレードデッドラインで買い手にならず、動かないという決断をペイサーズが下せば、資産を動かそうとしている他チームに影響を及ぼす可能性がある。

(NBAE via Getty Images)

タイリース・ハリバートンのオールスター出場に影響は?

オールスター投票の最初の途中経過で、ハリバートンは100万票以上を獲得し、東地区のガード部門トップに立った。見事なプレイや人気がどんどん高まっていることで、オールスターでイーストのスターターになることはほぼ確実と見られていた。

離脱が想定以上に長引いた場合、オールスターゲームにどう影響するだろうか?

東地区には素晴らしいガードがそろっている。ミルウォーキー・バックスのデイミアン・リラードやフィラデルフィア・76ersのタイリース・マクシー、アトランタ・ホークスのトレイ・ヤング、ニューヨーク・ニックスのジェイレン・ブランソン、クリーブランド・キャバリアーズのドノバン・ミッチェル、セルティックスのジェイレン・ブラウン、デリック・ホワイトといった選手たちだ。

プレイできない場合でも、ハリバートンはスターターとして認められるにふさわしいだろう。だが、前述の選手たちのひとりが落選を免れることになるのではないか。

オールNBAチーム選出に影響する最初の例に?

負傷したが、今季のハリバートンはすでにオールNBAチーム選出がほぼ確実という立場を確立していた。選出されれば5年契約の総額が2億6000万ドル(約374億4000万円/1ドル=144円換算)となるだけに大きなことだ。

NBAと選手会の新労使協定によれば、オールNBAチームやMVPに選ばれるには、20分超の出場が65試合必要となる。「シーズン終了」とみなされるケガを負った場合でも、62試合に出場していなければならない。

ハリバートンはケガをするまで3試合を欠場した。そしてこれから最低8試合を欠場する。つまり、今季のハリバートンの出場試合数は最大で71試合となる。

ただ、負傷したセルティックス戦の出場時間は13分だったため、最大出場試合数は70試合となる。今回の離脱による欠場が17試合を超えれば、欠場試合数とオールNBA選出条件に関する厳しい規則の一例となるだろう。

原文:4 biggest questions facing Pacers after Tyrese Haliburton injury: Pascal Siakam trade, All-NBA impact and more(抄訳)
翻訳:坂東実藍