ミネソタ・ティンバーウルブズは2023-2024シーズンのNBAですべてを勝ち取るに至らなかった。だがそれでも、プレイオフで前年度王者デンバー・ナゲッツを下し、ウェスタン・カンファレンス・ファイナル進出を果たすという、大方の予想をはるかに上回る結果を残している。来季は優勝を目指すべき素晴らしいチームだ。
ウルブズはさらにアップグレードすることができるだろうか。それはオーナーシップにどれだけ支出の用意があるかによるところが大きい。それはチームを所有するのは誰なのかということにかかってくる。アレックス・ロドリゲス、マーク・ロア、グレン・テイラーが、混乱した醜い状況を解決しなければならない。
ここでは、来季のウルブズのロスターや補強について展望する。
ウルブズの今後のフリーエージェント
ウルブズはロスターの大半の選手が長期契約下にある。スターティングラインナップは少なくともあと2年の契約を残しており、アンソニー・エドワーズは2029年夏までフリーエージェントになることがない。
決めなければいけないのは、ベンチプレイヤーについてだ。最も重要となるのが、カイル・アンダーソンを残すかどうかだろう。モンテ・モリスは来季、控えポイントガードとして良い存在となるかもしれない。ローテーションに入れなかったのはケガに妨げられたからだ。それ以外のFA選手たちは、プレイオフでローテーションに入らなかった。
無制限FA | 制限つきFA | プレイヤーオプション | チームオプション/無保証 |
モンテ・モリス | ルカ・ガルザ | なし | ジョシュ・マイノット |
カイル・アンダーソン | デイシェン・ニックス | ||
ジョーダン・マグラクリン | |||
TJ・ウォーレン |
ウルブズのNBAドラフト2024の指名権
ウルブズにはNBAドラフト2024で2つの指名権がある。
1巡目
- 全体27位指名権
2巡目
- 全体37位指名権
オフシーズンの注目ポイント:カール・アンソニー・タウンズを放出するのか?
タウンズが何度かビッグパフォーマンスを見せていなければ、ウルブズがナゲッツを倒すことはなかっただろう。だが、ダラス・マーベリックスとの西地区決勝で、タウンズは大事なところで消えてしまった。また、キャリアを通じてイライラさせるほど安定感がない。ウルブズにはナズ・リードという素晴らしいバックアップもいる。フロントオフィスはタウンズを放出し、チームのバランスを取りなおそうとするだろうか?
ウルブズにはさらなるショット力とショットクリエイトが必要だ。それはタウンズの得意とするところのはずである。しかし、ファウルトラブルや不安定な判断力で、本来期待されるほど貢献できていない。
また、論理的にウルブズがアップデートできるポイントはタウンズのところしかない。ことしのFAは有力候補が少なく、その中でウルブズにはあまり資金力がないだろう。セカンドエプロン(※エプロンは例外条項などの制限を決定する基準額)を上回る見込みで、自軍の選手を残すか、ドラフト指名選手と契約するか、ミニマム契約でのベテラン獲得を願うしかない。
タウンズ、ルディ・ゴベア、エドワーズの年俸は、それぞれ4000万ドル(約62億8000万円/1ドル=157円換算)を超えている。ウルブズの財政的展望がすぐに変わることはない。タウンズをトレードしない限り、ロスターは変わらないのだ。タレントを加えることができなくなる。さらに高額なラグジュアリータックス(ぜいたく税)の支払いもあるのだ。『Spotrac』は、来季の支払いが4900万ドル(約76億9300万円)と見積もっている。
たとえウルブズがタウンズの放出を試みるにしても、セカンドエプロンのルールによる制限がある。例えば、タウンズのサラリーをロスターの他選手のサラリーと組み合わせることや、サイン&トレードで選手を獲得することはできない。価値が下がったスター選手とのトレードを狙うことはできるが、タウンズの取引でベストプレイヤーを出すゼネラルマネージャーはいないだろう。
来季はタウンズのトレードがさらに難しくなる。指名権凍結のルールが発効するからだ。ウルブズがセカンドエプロンを上回ったままなら、ドラフト1巡目指名権をトレードすることができない。
最も良いのは、タウンズがこれからプレイオフでもっと良いパフォーマンスを見せられるようになるのを願うことかもしれない。彼はそういったところを垣間見せている。経験を積むことで、全盛期を続けていくことができるかもしれない。
原文:Timberwolves eliminated from playoffs: Why Karl-Anthony Towns' future will be at center of Minnesota's offseason(抄訳)
翻訳:坂東実藍