オクラホマシティ・サンダーは真のタイトルコンテンダーとして十分なリスペクトを受けているのだろうか?
サンダーは3月の半分の期間で、ミネソタ・ティンバーウルブズとデンバー・ナゲッツと入れ替わりでウェスタン・カンファレンス首位に立っていた。それでもほかの上位チームに比べて彼らを取り巻く疑念は大きい。
この3チームとボストン・セルティックスは、レギュラーシーズンでは明らかにリーグ最高のチームである。それはベッティングマーケットには反映されていない。BetMGMによると、サンダーがNBAタイトルを獲得するオッズは+1800と5番目で、予想確率はおよそ5%しかない。
なぜサンダーが大人のテーブルの席の子供のように扱われているのか、その理由は専門家でなくてもわかるだろう。彼らには実績がなく、先発ラインナップで保険料を払わなくてもレンタカーを借りられる年齢なのはシェイ・ギルジャス・アレクサンダーだけなのだ。
そこで疑問が生まれてくる。サンダーをどこまで真剣に受け止めるべきなのか?
サンダーが優勝すればNBA最年少の優勝チームとなる
もしサンダーが信じられないようなことをやってのけたら、多くのトレンドを打ち破ることになる。コートに立つ選手の平均年齢23.3歳は、出場時間で加重すると、最下位のスパーズに次いで今年のリーグで2番目に若い。
過去5回の優勝チームの年齢はそれよりかなり上だ。
年 | チーム | 平均年齢 |
---|---|---|
2023 | ナゲッツ | 26.6 |
2022 | ウォリアーズ | 27.6 |
2021 | バックス | 28.1 |
2020 | レイカーズ | 29.5 |
2019 | ラプターズ | 27.3 |
史上最年少の優勝チームは、24歳のビル・ウォルトンが率いた1976-1977シーズンのポートランド・トレイルブレイザーズだ。彼らの平均年齢は24.5歳で、それでもサンダーより1歳以上年上だった。
また、サンダーの先発5人はプレイオフの経験が豊富とは言えない。
SGA(ギルジャス・アレクサンダーの愛称)は最初の2年間でプレイオフに進出したが、いずれも1回戦で敗退。その頃の彼は今とははるかに違う選手だった。ルー・ドートはプレイオフに進出した時はルーキーだった。チェット・ホルムグレン、ジェイレン・ウィリアムズ、ジョシュ・ギディーの出場試合数は3人合わせてもゼロだ。
しかし、サンダーに所属する若い選手たちはそのほかの状況で重要な試合に出場している。ほとんどの選手が国際大会で上位に食い込む戦いをしている。昨シーズンのサンダーは、サドンデスのプレイイン・トーナメント2試合に出場(ニューオリンズ・ペリカンズをアプセットした後、ウルブズに完敗)した。
シェイ・ギルジャス・アレクサンダーはプレイオフシリーズでベストプレイヤーになれる
サンダーのほかのメンバーはひとまず置いておいておこう。プレイオフではしばしば、最高の選手がチームにいるかどうかが勝敗を分ける。シェイはMVP投票でトップ5に入るのは確実で、ニコラ・ヨキッチに次ぐ次点の可能性も十分にある選手だ。プレイオフで彼は圧倒的強さを保てるだろうか?
その答えは間違いなく「イエス」だ。ギルジャス・アレクサンダーは昨夏のワールドカップで、カナダを史上初の銅メダルに導いた。彼はおそらく大会のベストプレイヤーで、オールトーナメント・チームにも選ばれている。
シェイはそのほかの重要な試合でも活躍している。昨年のプレイイン・ゲームのペリカンズ戦では終盤に試合を支配した。前半で6点ビハインドだったサンダーは、チームのスターに救ってもらう必要があった。SGAは第3クォーターで17得点をあげ、最終的に32得点で123-118で勝利を収めた。
25歳のシェイがプレイオフを制し、初のリングを手にすることは前代未聞というわけではないだろう。ステフィン・カリーが優勝したのは26歳の時だ。マイケル・ジョーダンとレブロン・ジェームズは27歳だった。
もっと若くして優勝した選手もいる。マジック・ジョンソンは20歳でファイナルMVPを獲得。カワイ・レナードは22歳で初のリングとファイナルMVPを手にしている。
大幅に改善されたディフェンスと止められないドライブのことを考えれば、SGAもそのメンバーに加わる可能性がある。
サンダーはベストなマッチアップを得られるか?
レギュラーシーズンがプレイオフの良い指標になると信じている人は、サンダーの株を大量に買うべきだ。彼らはこれまでに強豪チームをいくつか倒し、勝率5割以上のチームに対しては30勝18敗という素晴らしい成績を残している。これはウェスタン・カンファレンスで最高の成績であり、リーグではセルティックスに次いでトップだ。
とはいえ、その成績はややばらつきがあり、サンダーには明確な強みと弱みがある。フェニックス・サンズに対しては3勝0敗と圧倒している。ナゲッツに対しても3勝1敗と驚きの結果を残している。
ナゲッツはいずれの敗戦でも先発選手5人をフル出場させられなかったが、ナゲッツにとってサンダーは最もタフな試練になるかもしれない。今年のナゲッツのディフェンスは、ドライブを多用するサンダーと対戦したときを除けば、よく持ちこたえている。
サンダーのヘッドコーチのマーク・デイグノートはコートのあらゆる場所から変則的なピック&ロールのコンビネーションを繰り出し、ナゲッツのヘルプローテーションに最大限のプレッシャーをかける。ヨキッチはコートの高い位置でガードすることを好むため、ナゲッツはサンダーのドライブに対し、ヨキッチの背後でスクランブルしなければならない。それにより、サンダーはナゲッツの隙を突く独特の能力を発揮する。
サンダーの1番苦手な相手は、やや意外だがレイカーズである。レイカーズはかなりビッグなラインナップが可能で、それがマッチアップに多くの問題をもたらすことになる。ホルムグレンは良い選手だが、まだ208ポンド(約94kg)と細身だ。そこで代わりのビッグとして登場するのが6フィート6インチ(約198cm)のフォワード、ケンリッチ・ウィリアムズとなる。シーズン途中にビスマック・ビヨンボという従来型のビッグを加えたが、あまりプレイしていない。
サンダー対レイカーズのシリーズは、第1シード対第8シードで実現する可能性が出てきている。サンダーとしてはそれは避けたいところだ。
セルティックス対サンダーのファイナルとなった場合にはどうなるのだろうか?今季初戦はホームでサンダーが勝利した。2戦目は4月3日(日本時間4日)にボストンで行われる(訳者注:試合はセルティックスが135-100で勝利している)。
サンダーが持つ真のポテンシャルをそこでまたひとつ垣間見ることができるだろう。今のところ、彼らは誰が相手でも戦えそうに見える。若さに惑わされるなかれ。このチームの成功は、プレイオフでも十分に通用するはずだ。
原文:Don't discount Thunder as title contenders: Shai Gilgeous-Alexander and OKC are proof that age is just a number
翻訳:YOKO B