【バスケW杯】アメリカ代表の最大の課題は問題にならず?|FIBAワールドカップ2023

2023-09-03
読了時間 約2分
(NBAE via Getty Images)

アメリカ代表はFIBAバスケットボールワールドカップ2023で開幕から4連勝を飾った4チームのひとつだ。成績に心配すべきところはまったくない。だが、直近の試合で、極めて大きな懸念となる欠点が露呈された。

9月1日、アメリカは12点差をつけてモンテネグロに勝利し、大会成績を4勝0敗とした。だが、決して楽勝ではなかった。今大会初めてビハインドを背負って前半を終えたのに加え、アメリカはリバウンドで31-49と大きく上回られたのだ。

これだけリバウンドで差をつけられながらも勝利を収め、アメリカの人々は安堵のため息をつくことができる。これだけの差となれば注目されるだろう。だがそれでも、アメリカが金メダルを目指す中で、リバウンドはまったく問題にならないかもしれない。

アメリカ代表のリバウンド問題の分析

モンテネグロ戦で勝ったことは希望の兆しだが、リバウンドで18も差をつけられたことは懸念だ。さらに悪いことに、アメリカは23オフェンシブリバウンドも許している。うち7つはシカゴ・ブルズのニコラ・ブーチェビッチに許したものだった。

それまでの3試合でアメリカはいずれも相手より多くのリバウンドを記録した。実際、リバウンドの数字を見れば、アメリカは今大会で最も優れたチームのひとつだ。

NBAクラスのビッグマンと対戦した初めての試合で、大きくリバウンドを上回られたのは、偶然ではないだろう。だが、なぜそうなったのか。

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アメリカのフロントコートには、サイズのある選手たちがそろっている。パオロ・バンケロとジャレン・ジャクソンJr.は6フィート10インチ(約208センチ)、ボビー・ポーティスは6フィート11インチ(約211センチ)、ウォーカー・ケスラーは7フィート(約213センチ)だ。だが、いずれもリバウンドが持ち味の選手ではない。出場時間が大会を通じてまちまちではあるものの、モンテネグロ戦で彼ら4人が記録したのは9リバウンドだった。大会平均でも11.7リバウンドだ。

サイズのある選手たちがいるにもかかわらず、アメリカで最もリバウンドを拾ってきたのは、6フィート4インチ(約193センチ)のジョシュ・ハートだ。今大会でチーム最多となる平均7.3リバウンドという数字は、「ジョシュ・バークリー」というニックネームをよりふさわしいものとしている。

守備とリバウンドは、優勝するための鍵だとずっと信じられてきた。では、この明らかな問題を抱える中で、アメリカはどうやって優勝への道を見つけられるのか?

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アメリカ代表のリバウンド問題が課題にならない理由

前述のように、アメリカはNBAクラスのビッグマンとの対戦が今大会初めてだったことをモンテネグロに生かされた。

昨季のNBAで3位となるダブルダブルを達成したオールスター選出2回の選手であることを考えれば、ブーチェビッチが今大会で最も優れた伝統的なビッグマンのひとりであることは明らかだ。そのプレイスタイルやフィジカルの強さは、アメリカの弱点を突く上で完璧なコンビネーションである。だが、アメリカはそれでも負けなかった。ならば、ほかのチームも同じではないだろうか。

ルディ・ゴベアを擁するフランスは1次ラウンドで敗退している。大会に残るNBAクラスの他のビッグマンたちを見ても、アメリカを不安にさせるほどではない。

リバウンドでブーチェビッチのようにアメリカが苦しめられるかもしれないのは、2次ラウンド最終戦で対戦するリトアニアのヨナス・バランチュナスだ。しかし、ドマンタス・サボニスが不在で、そのほかの点でアメリカが有利だけに、モンテネグロ戦と似た結果に終わるのではないか。

ドミニカ共和国とカール・アンソニー・タウンズについても、同じことがあてはまる。タウンズは従来型ではないが、大会で最も才能あるビッグマンだ。ドミニカ共和国と対戦すれば、アメリカはタウンズのサイズとタレントに苦しめられるかもしれない。だがそれでも、アメリカはドミニカ共和国にとって手に負えないチームのはずだ。

ケリー・オリニクとドワイト・パウエルのコンビを擁するカナダは、独特な相手となり得る。だが彼らだけでは、40分間の勝負でアメリカが負けるには及ばない。もしもアメリカが敗れるとしたら、シェイ・ギルジャス・アレクサンダーが両軍で最高の活躍を見せた場合だけだろう。

モリッツ・バグナーとダニエル・タイスにしても、彼らだけでドイツにアメリカが敗れることにはつながらないはずだ。強化試合でアメリカは彼らに苦しめられたが、トラブルの大半はデニス・シュルーダーの創造力からくるものだった。

簡単に言えば、アメリカのリバウンドは本当に問題となりつつあるが、現状ではそのリバウンドのバトルが、アメリカを倒すための方程式における小さな一要素でしかないのだ。アメリカはターンオーバーに終わったポゼッションや停滞した攻撃など、その他の弱点もあることをうかがわせてきた。

それらの弱点にもかかわらず、すべてを一度に生かすことができたチームはない。8月頭から全試合に勝ってきたアメリカが負けるとしたら、それが必要となるはずだ。

リバウンド争いを制し、アメリカのほかの弱点も突くことができるチームがあるのかは、まだ分からない。ただ、少なくともリバウンド争いに関しては、警鐘を鳴らす段階ではないだろう。

原文:Why Team USA's biggest problem at the FIBA Basketball World Cup won't matter at all(抄訳)