フェニックス・サンズでのケビン・デュラントの1年目は終わりを迎えた。
NBAプレイオフ2023のファーストラウンドでロサンゼルス・クリッパーズを早々に下したサンズだが、ウェスタン・カンファレンス・セミファイナルではニコラ・ヨキッチを擁するデンバー・ナゲッツに第6戦で敗退させられた。
サンズにとって朗報だったのは、デュラントとデビン・ブッカーがすぐにダイナミックなコンビになれることを証明し、彼らの契約がまだまだ残っているということだ。良くない知らせは、このふたりのスーパースターを中心に優勝するためのロスターを築いていく中で、フロントオフィスが手にしているリソースは限られているということである。
それは今後に向けて興味深い点だ。
サンズはデビン・ブッカーとケビン・デュラントを中心に優勝できるロスターを築けるか?
サンズがオフシーズンにロスターのアップグレードを目指し、クリス・ポールやディアンドレ・エイトンをトレードしようとしても驚きではないだろう。
トレードデッドライン(トレード期限)でサンズがデュラントを獲得した時、『Yahoo Sports』のジェイク・フィッシャー記者は、サンズが「ポイントガード強化のために交渉相手とすでにコンタクトした」と報じている。さらに、「将来的にポールの代わりにもなれるような、質の高い控えのポイントガードを探している」とも伝えた。
ポールの代役になり得るポイントガードとしてトレードデッドラインのころにサンズがレーダーに入れていた選手として、NBAインサイダーのマーク・スタイン記者はフレッド・バンブリートやテリー・ロジアー、イマニュエル・クイックリーといった名前をあげた。『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者によれば、カイリー・アービングがブルックリン・ネッツにトレードを要求した際も、サンズはポールを含めたトレードを申し出たという。
ポールは歴代最高のポイントガードのひとりだ。オールスター選出12回で、サンズの選手としても2回選ばれている。だが、2022-2023シーズンは出場59試合にとどまり、フィールドゴール成功率44.0%で平均13.9得点は自己最少だった。プレイオフではそけい部の負傷で離脱するまでの7試合に出場し、数字はさらに芳しくない。
フィッシャー記者は、エイトンのフェニックスにおける長期的な将来も「興味深い」と報じた。昨年のオフシーズン、元ドラフト全体1位指名のエイトンが求めていた延長契約に至らなかったサンズは、4年1億3300万ドル(約178億2200万円/1ドル=134円換算)というインディアナ・ペイサーズのオファーにマッチしている。
そのため、サンズは2022-23シーズンの1月15日(日本時間16日)までトレードすることができなかった。また、エイトンにはトレード拒否権があり、契約1年目にペイサーズにトレードすることができなかった。そういった制約はなくなる。
攻守両面で試合に影響する24歳のエイトンのトレードは、違う方向に進むと決め、デュラントとブッカーを中心にロスターを再編成するために必要なタイプの選手を獲得する上で、サンズにとって最高の希望となるかもしれない。
サンズの今後のフリーエージェント
サンズには、無制限フリーエージェントのジョシュ・オコーギーとトーリー・クレッグを含め、多くのロールプレイヤーをオフシーズンに失うリスクがある。
エイトンのバックアップであるビスマック・ビオンボとジョック・ランデールもFAとなる。
無制限FA | 制限ありFA | プレイヤーオプション | チームオプション |
トーリー・クレッグ | ダリアス・ベイズリー | イシュ・ウェインライト | |
ビスマック・ビオンボ | ジョック・ランデール | ||
TJ・ウォーレン | セイベン・リー | ||
デイミオン・リー | |||
ジョシュ・オコーギー | |||
テレンス・ロス |
デュラント、ブッカー、エイトン、ポールの全員が来季それぞれ3000万ドル(約40億200万円)超であることから、サンズがFAで投じられる金額は制限されるだろう。大半を最小限の契約にしてロスターを完成させなければいけないかもしれない。
サンズの今後のサラリー、ロスター
デュラント、ブッカー、エイトンは少なくとも2025-2026シーズンまでの契約を結んでいる。ポールの契約はあと2年だが、2023-2024シーズンと2024-2025シーズンのサラリーは完全保証されていない。
選手 | 2023-24 | 2024-25 | 2025-26 | 2026-27 | 2027-28 | 2028-29 |
ケビン・デュラント | $47,654,833 | $51,195,821 | $54,714,808 | UFA | ||
デビン・ブッカー | $36,016,200 | $50,050,000 | $54,054,000 | $58,058,000 | $62,062,000 | UFA |
ディアンドレ・エイトン | $32,459,438 | $34,005,126 | $35,550,814 | UFA | ||
クリス・ポール | $30,800,000 | $30,000,000 | UFA | |||
ランドリー・シャメット | $10,250,000 | $11,000,000 | $11,750,000 (TO) | UFA | ||
キャメロン・ペイン | $6,500,000 | UFA | ||||
イシュ・ウェインライト | $1,927,896 | RFA |
PO = プレイヤーオプション
TO = チームオプション
NG = 無保証
UFA = 無制限FA
RFA = 制限ありFA
2023年のサンズのドラフト指名権
NBAドラフト2023におけるサンズの1巡目指名権は、デュラントの取引でネッツにトレードされた4つの保護条件なし指名権のひとつで21位指名権だ。
サンズにはまだ2巡目指名権があり、52位指名権となっている。