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ラプターズのニック・ナースHCが語るNBAジャパンゲームズと新シーズンにかける意気込み

2019-10-03
読了時間 約2分

10月8日と10日に開催される16年ぶりのNBA Japan Games 2019 presented by Rakuten(NBAジャパンゲームズ)で来日するトロント・ラプターズのニック・ナース・ヘッドコーチが、10月2日に集まった複数の日本メディアによる電話インタビューに応じた。

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パスカル・シアカムをオフェンスで起用するケースが多くなり、より責任も増すだろう

ーートレーニングキャンプが始まってチームの状態はどうか。

いいスタートを切れている。練習開始から数日、とても満足しているよ。20名の選手がいるので、多くの選手を見る必要があるが、ここまでとても前向きで、エナジー溢れるものとなっている。

ーー今シーズンのラプターズを一言で表すと?

機会(opportunity)という言葉をよく使っている。チームには良い選手が揃っており、若い選手がより役割が多くなる良い機会を与えられることとなる。昨年のロスターではできなかったことなどをやる機会が来る。数年このチームでプレイしていた選手たちがそういったチャンスを手にするのを見るのが楽しみだ。

ーーディフェンディングチャンピオンとして迎えるシーズン、オフェンスとディフェンスでそれぞれ鍵を握る選手は誰?

オフェンスではパスカル・シアカムだね。彼は昨年のMIP(年間最優秀躍進選手賞)を受賞しているが、今年は(カワイ)レナードと(ダニー)グリーンがいなくなったことでさらなる機会を与えられる。彼をオフェンスで起用するケースが多くなり、より責任も増すだろう。

ディフェンスでは、ルーキーながら貢献してくれたが、ケガの影響で欠場が多くなってしまったOG・アヌノビーに期待している。彼の状態はとてもよく、ディフェンスでしっかりと貢献する準備ができている。

ーーこれまで以上にディフェンスがカギを握りそうなシーズンとなりそうだが?

昨シーズン優勝できた大きな要因のひとつがディフェンスだっただけに、今シーズンもそこの優先度は高い。アヌノビーが復帰し、ノーマン・パウエルがステップアップしてより大きな役割を担ってくれるだろう。同じくケガでプレイオフの大部分を欠場したパトリック・マコーも素晴らしいディフェンスができる選手だ。新たに加わった選手も良い。今シーズンも変わらず、重要な要素として取り組むつもりだ。

ーースタンリー・ジョンソンの獲得は、ディフェンス補強の意図もあったのか?

スタンリーは良いディフェンシブなプレイヤーになれる可能性と身体能力を持ち合わせているが、まずは我々のシステムとディフェンスのスタイルを学ぶ必要がある。最初の3日間を見る限り、まだ少し時間がかかりそうだ。しかし、貢献するための器は持っているので、しっかりと学んでもらいたい。

 

八村塁のプレイはとても良かった

ーーHC昇格後、カイル・ラウリーがどんな相手でも立ち向かう姿勢を絶賛していが、王者になったことでどういった変化、成長を感じている?

私がチームにやってきてから6年間、彼は常にチームのリーダーだったが、昨シーズンはその成熟度とリーダーとしてのすばらしさで新たなレベルへと達していた。感情をしっかりコントロールし、コート上のコーチとして攻守のゲームプランが遂行されることに貢献してくれた。とにかくリーダーとしてとても高いレベルにいた。

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ーー優勝、そしてFIBAバスケットボール・ワールドカップでカナダ代表を指揮するという忙しい夏を送ったが、休暇が短くなったことで自身の状態はどうか?

状態はとても良いよ。国際試合は大好きで、国を代表できたことをとても光栄に思っている。コートに立っていることが本当に好きなので、代表活動がなかったとしてもきっと何かしらやっていたはずなので、いつもと変わらない夏だったよ。

ーージャパンゲームズの2試合でチームと選手に期待していることは何か?

まずはベテラン選手たちを一緒にプレイさせ、サビ落としをしてもらい、試合勘を取り戻してもらいたい。3~4年目の選手たちにとってはとても良い機会になる。スタンリー・ジョンソン、ロンデイ・ホリス・ジェファーソン、テレンス・デイビス、キャメロン・ペインといった新たに加わった選手をしっかりと見たい。さらに、ここ数年チームの下部組織でプレイしていたクリス・ブーシェイをしっかりと評価する良い機会でもある。試合に勝つという目標は当然持ちながらも、開幕に向けて誰が準備できているのか、トップ10、11人は誰なのかというのをしっかりと見極めたい。

ーーワシントン・ウィザーズのルーキー、八村塁のことはこれまでコーチとしてチェックしたことがあるか?

そこまで詳しくはないけど、彼のプレイは少し見たことがある。ワールドカップで別の試合の準備をする際に、日本とニュージーランドの動画を2試合見たんだ。そこでの彼のプレイはとても良かったのを覚えている。とても興味深い、将来性のある若い選手だと思っている。

ーーもし八村がラプターズにいたとしたら、どういう起用法になる?

我々は全選手に多様性を求めている。4イン1アウトのシステムで、少しずつ何でもできる選手を好む。シアカム、アヌノビー、ブーシェイといった本来ポイントガードでない選手にもボールを運ばせる。そして全選手がしっかりとドライブや3ポイントショットを打てることを要求している。要するに、多次元なプレイをできる選手を望んでいるのだけど、彼はそれになれる選手だと思うよ。

 

素晴らしいショーを提供できることを楽しみにしている

ーー優勝したことで、カナダやトロントのNBAやラプターズに対する状況は何か変わった?

イースタン・カンファレンス・ファイナルに進出し、特にファイナルでは本当に国をあげて応援してくれた。夏の間に、今までバスケットボールを見たことがなかったが、プレイオフではテレビに釘付けだったと多くの人に言われたよ。たくさんのホッケーファンをNBAに取り込めたようだ(笑)。どの街に行っても大歓迎だったね。全体的にとても興奮していて、この時代のカナダ人にとっては忘れられない出来事となった。

ーーレナードとグリーンがいなくなったことで優勝候補にあげられないとうい状況だが、2人の穴は埋めることができたのか? 連覇への自信は?

しっかりと埋めることはできたと思っている。これまで機会を与えられなかった選手たちが、これからステップアップすることとなる。昨シーズンは22試合をレナード抜きで戦ったが、良い結果を出せている。ディフェンスは昨シーズンよりも良いものにできる可能性だってある。

得点面で穴を埋める方法を見つける必要はあるが、そこは選手たちで分担することでカバーできると感じている。ラウリー、パウエル、シアカム、バンブリートといった選手のショットはまだ増やせるし、昨シーズンはオフェンスであまり頼ることのなかったマルク・ガソルだってそこを担うことができる。アイディアはいくつかあるから、それをいかに遂行するかだ。チームの状態はとても良いよ。

ーー東京オリンピックの会場でもあるさいたまスーパーアリーナでやるということの意味。

私にとってはとても重要なことだ。まだカナダ代表は予選を通して出場できる可能性が残っている。FIBAのスケジュールにもよるが、予選にNBAの選手などを含むベストな布陣で挑めれば、東京に戻ってこれるチャンスはある。それが目標だ。この秋に東京に行き、来年の夏に戻ってくるのが私の計画だよ。

ーーNBAの試合が日本で行なわれるのは16年ぶりだが、NBAが日本という市場に戻ってくることの重要性は?

とても重要なことだと思っている。日本には多くの素晴らしいNBAファンがおり、リーグ屈指の2チームによるスターパワー、タレント溢れる試合を見ることとなる。我々としてはこの機会をとても楽しみにしており、日本も同じように思っていてくれることを望んでいるよ。きっとそうだと思っている。素晴らしいショーを提供できることを楽しみにしている。