先週開催された毎年恒例のNBAコーチ協会の会議に際し、スティーブ・カー・ヘッドコーチが、パリオリンピック2024で金メダルを獲得したアメリカ代表での指揮や、ゴールデンステイト・ウォリアーズへの期待を話してくれた。
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以下、カーHCとのインタビューを一問一答形式でまとめる。
――かなり短期間であちらからこちらへ。
昨年の夏よりは良いさ。去年、ワールドカップが終わったのは9月12日だ。ここ数週間はリラックスできた。
――楽しめたか?
ああ、勝ったからね。
――NBAで優勝を目指し、達成することと比べ、オリンピック優勝はどういうものか?
同じくらいに満足だよ。でも、5週間のスプリント勝負ではまったく違う。それまで対戦してきた選手たちを指導するんだ。そういう選手たちのことを知ることができてうれしかった。レブロン(ジェームズ)はとても素晴らしかったよ。準備だけでもね。練習やミーティングへの取り組みも常に素晴らしかった。
ロスターの隅から隅までスーパースターで、その彼らが犠牲をいとわないのを見るのは感動的だ。
――彼らは有名で、高額の報酬を受け取り、それぞれが独自のコングロマリットとして機能している。それだけに、そういう選手たちがオリンピックの経験から同じように基本的な喜びや満足感を味わうものか疑問だった。多くの選手たちが世界的な「ブランド」でもあるから、愛国心についても同様だ。どう考えるか?
本当の意味での誇りがあるのだと思う。金メダルの表彰台で彼らが胸に手をあてるのを見ただろう。国に対する純粋な愛情の表れだった。「オレたちは国を代表しているんだ」という感覚は、とても感動的なんだよ。本物の感動だと思う。
――特にジェイソン・テイタムやタイリース・ハリバートンなど、あまり出場機会がなかった選手たちについては?
彼らはみんな素晴らしかった。ジェイソンはとてもうまく対処してくれたよ。もちろん、メディアで話題になったけど、彼はこれ以上ないほどうまく対処した。タイリースも同じだ。試合はすべて異なる。最初の夜から言ってきたんだ。スーパースターが12人おり、コンスタントに出られるのは、おそらく9人だけだとね。
彼らは本当にプロフェッショナルに取り組み、互いを鼓舞した。これ以上ないほど全員が誇らしい。
――昨季のウォリアーズで学び、新シーズンで生かせることは?
まず、46勝は普通なら良いシーズンだ。46勝すれば、おそらくは第5シードになる。だが、ウェスタン・カンファレンスの競争の激しさから、我々は46勝で10位となり、そしてプレイイン・トーナメントで敗れた。西地区は厳しいんだ。だが、昨季から得られたのは、我々はそれでも非常に競争的だということ。まだ我々には素晴らしいシーズンとし、多くのダメージを与えられるだけのチャンスがある。ステフ(ステフィン・カリー)とドレイモンド(グリーン)はまだ高いレベルでプレイしている。クレイ(トンプソン)を失ったのはとても残念だけど、ウチにはもっと大きな役割を担う準備が整った若手がたくさんいると思っている。
――ステフやドレイモンドがいれば勝つ機会は増えるのか、それとも彼らにとって勝利は義務なのか?
この球団がドレイモンドとステフを失望させたことはない。ジョー・レイコブの名誉のために言うが、彼は素晴らしいチームにしようと毎年あらゆる資金を投じてきた。ステフとドレイモンドを中心にしてきたロスターについて、彼らはこれ以上求められなかったと言うだろう。
――ラグジュアリータックス(ぜいたく税)の制限に関して、労使協定において構造的にリーグがどれほど「障害」をもうけても?
そうだね。これが現在の労使協定で最も難しい障害だ。我々のフロントオフィスはこの夏、フェンスを乗り越えてスター選手を獲得しようとした。実現しなかった。だが、それはOKだ。我々はカイル・アンダーソン、ディアンソニー・メルトン、バディー・ヒールドを加えた良い夏を過ごした。彼らはみんな良い選手たちだ。だから、(トレイス)ジャクソン・デイビス、(ジョナサン)クミンガ、(モーゼス)ムーディー、(ブランディン)ポジェムスキーといった若い選手たちに彼らを加え、層が厚いチームだと感じている。これからまとめていかなければいけない。
でも、私はキャンプでの競争が好きなんだ。「仕事はあるんだ。稼いでこいよ!」と言えるのがね。それが良いキャンプとし、良いシーズンにもなっていくと思う。
――若手が意識して責任を負っているのか、どうやって分かるのか?
選手はみんな唯一無二だ。プレイも、個性も、フィット感もね。それぞれが異なる。各々が異なるペースでやってきた。誰が前にいるかに応じて機会もそれぞれ異なる。我々はみんな大好きだよ。
――シーズンごとの特定の野心やロスターの様相に応じて、レギュラーシーズンに臨むアプローチは変わるのか?
変わるよ。2019-2020シーズンはリーグ最低成績だった。ステフとクレイが不在で、ケビン(デュラント)、ショーン・リビングストン、アンドレ・イグダーラを失った。期待という点で、あのシーズンはアプローチが違った。
どういうアプローチかが自分の価値となる。日々で何を大事にするか。プロセスは同じだ。しかし、心構えは変わる。選手が競い、ベストを尽くそうとしているのが分かっていれば、5連敗してもクリップボードを投げたりしない。続けさせ、目標を変えていかなければならない。あの時の我々の目標は育成だった。健康を取り戻した時にもっと良くなり、素晴らしいチームに戻らなければいけなかった。あのシーズンが2022年の優勝に役立ったんだ。
ジョーダン(プール)はルーキーイヤーだった。彼にとってはタフなシーズンだったよ。だが、彼は働き、働き、働いた。そして2年後、ファイナルでキーマンのひとりになったんだ。
原文:The Q&A: Steve Kerr talks Team USA, Warriors' next chapter and more(抄訳)
翻訳:坂東実藍