[インタビュー]デビン・ブッカー「1試合70得点はキャリアの中でも間違いなく一番の特別な瞬間」(青木崇)

2017-07-05
読了時間 約2分

『NIKE ALL-ASIA CAMP 2017』(ナイキ・オールアジア・キャンプ2017/6月11~17日にかけて中国・東莞市で開催されたナイキ主催のバスケットボールキャンプ。アジア各国から男女90名の10代の選手が参加)のゲストとしてやってきたのが、フェニックス・サンズの若きエースとして存在感を発揮しているデビン・ブッカーだ。

まだ20歳という若者だが、NBA選手だった父メルビンの存在は、プロになる過程において心身両面で大きな助けになった。また、小さい頃から多くのことを学ぼうという姿勢を持っていたブッカーは、リチャード・ハミルトン、レイ・アレン、レジー・ミラーのプレイを参考にし、オフボールの動きからオープンになり、シュートを着実に決める術を身につけた。

ケンタッキー大学のジョン・カリパリ・ヘッドコーチから「ピック&ロールなんて一度もやらせたことがなかった」と言われたブッカーも、昨シーズンは自身がボールを持って起点になるなど、オールラウンドなスコアラーへと成長中。スーパースターへの階段を登り始めた彼に、中国の東莞バスケットボール・スクールで話を聞くことができた。

スピードと能力の高さに驚き

――このキャンプの印象はいかがですか?

初めての中国なので何も分からない状態でしたが、このアジアキャンプで素晴らしい才能を多く見て興奮しています、是非また来たいと思っています。

――彼らの長所や、これから成長できる部分というのはどんなところだと感じていますか?

長所は間違いなくスピードだと思います。ただそのペースの速さ、早くプレイしすぎるというのは短所にもなります。ペースを落とし、試合の流れを感じるというのも必要と感じています。ただスピードと能力の高さには驚きました。

――アジアとアメリカで違いは感じますか?

ここでのやり方は分からないので何とも言えませんが、アメリカではとても早い段階から始まります。小学校の2、3年生からのAAU(アマチュア体育連合)で、全米でトップ選手の戦いを多くのスカウトに見てもらえる機会があります。だから、アメリカでは才能ある選手が発掘されない、ということがありません。このキャンプでも才能溢れる選手が多いので、彼らにもチャンスが与えられればと思っています。

――彼らにアドバイスを与えるとすれば、何を伝えますか?

ハードに練習を続けなさい、と伝えます。多くのビデオで勉強もするべきです。自分も多くのプレイヤー、昔のプレイヤーの映像を見て今でも勉強をしています。今はYouTubeで多くの映像を見る機会があるし、僕は小さい頃から(デトロイト)ピストンズのリチャード・ハミルトンのオフボールでの動きを真似して参考にしていました。レイ・アレンのシュートや、コービー・ブライアントの取材の受け答え方も参考にしています。バスケットボールを学ぶ姿勢というのは昔から持っていて、自分のキャリアの多くに影響を与えてくれました。

――小さい頃にこのようなキャンプに参加したときは、どのような姿勢でキャンプに臨みましたか?

ただ参加するだけというのはしたくありませんでした。アメリカでは1~100位までのランキングのシステムがあり、誰がトップの選手なのかがわかりますので、そのような選手を相手に、自分こそがトップの選手だと証明しようと臨んでいました。

最後には勝利者になりたい

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――NBAで2年目のシーズンが終わりましたが、振り返ってみてどうですか?

振り返れば反省点や改善点はもちろんあります。個人的に次の段階は勝つことだと思っています。個人的に良い成績を収めることも素晴らしいですが、やはり最後には勝利者になりたいです。若い才能溢れる選手やベテランもいるので、次は勝ちに行きたいです。

――(ボストン)セルティックス戦で70点を記録した試合はどうやったのですか? その後のプレイにどのような影響がありましたか?

ゾーンに入っていたんだと思います。長い間やっていれば時々ありますが、すべてがうまくいくときというのがあります。高校の体育館で1人で練習をしていて、すべてのシュートが入り、外したと思ったシュートも入る――言葉にするのは難しいですが、そのような状態になったということです。キャリアの中でも間違いなく一番の特別な瞬間でした。

ただ、その後の試合がとても難しくなりました、みんな僕に点を取らせないように対応してきましたから(笑)。ただ、あの試合の後に自分というプレイヤーを認知してもらえて、ここ中国でも子供たちに「70! 70!」と呼ばれました。

――ケンタッキー大では平均10点以上をマークしましたが、先発出場は一度もありませんでした。それでもドラフトにアーリーエントリーしたのはなぜですか?

そこがあの大学の素晴らしいところだと思います。才能溢れる選手が多いため、普段の練習からNBAのスカウトが見にくる環境があり、試合以外でも自分を評価してもらうことができました。そこで自分にとってドラフトにエントリーすることがベストだと感じたから、あの決断をしました。

目標はリーダーになることと勝つこと

――来シーズンの自分の役割はどんなものになると感じていますか?

リーダーになることだと思っています。そして勝つことです。多くのプレッシャーはあのセルティックス戦後から感じているので、どうやって勝っていくかを考える必要があります。チームメイトの意識を統一し、一番のチームケミストリーを持つチームが最後に優勝すると信じています。キャブズやウォリアーズはボールがよく動き、チーム全体でプレイをしているので、僕らもあのようなケミストリーを持ちたいです。

――何か個人的に目標というのはありますか?

みんなもちろんオールスターや殿堂入りという目標は持っていると思いますが、僕の最終的な目標はやはり勝つことです。ウォリアーズのお互いを信頼して楽しんでプレイをしている姿というのには憧れますし、あのようなチームを築けるリーダーになることが目標です。

――日本のファンにメッセージをもらえますか?

いつも応援ありがとうございます。日本には行ったことがまだありませんが、自分の名前が日本にまで知られていることに驚いていますし、本当にうれしいです。皆さんに喜んでもらえるようハードにプレイするので、日本の皆さんも一緒に頑張りましょう。

文:青木崇 Twitter: @gobluetree629
取材協力: NIKE ALL-ASIA CAMP 2017、NIKE JAPAN

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