プレイオフでのセルティックスの勝利の鍵となるスタッツとは？

今年のプレイオフでは、「決められるかどうかが違いを分けるリーグ」という言葉がこれまで以上に飛び交っている。戦略やミス、英雄的なパフォーマンスについてかなり議論されるが、このゲームは最終的に、どちらのチームが3ポイントショットを決められるかにかかっていることが多い。

この点についてちょっと検証してみよう。5月26日（日本時間27日）までに行われたプレイオフでの77試合のうち、3Pを良く決めたチームの成績は61勝15敗だった。ボストン・セルティックス対アトランタ・ホークスの1回戦シリーズ第6戦では、両チームともに3P成功率は42.9%だったが、セルティックスの方が成功数が多かった。

成功率の差が開くにつれ、ショットを決められるかどうかがより大きな影響を与えることになる。プレイオフでの26試合で、3P成功率が相手より10％以上高かったチームは、25勝1敗と好成績を収めている。

また、相手チームより20％高い成功率を記録した8回のケースでは、すべての試合で2桁の大差をつけて勝利を獲得している。

セルティックスは究極の決めるられるかどうかが違いを分けるチーム

セルティックスについては、これまでにもさまざまな議論がなされてきた。彼らのハートの強さは疑われ、ジョー・マズーラのコーチとしてのさまざまな欠点が指摘されるなど、なぜ彼らがこれほどまでに浮き沈みするのか、ほかにも多くの理由が示唆されてきた。

しかし、セルティックスのプレイオフの結果のほとんどは、試合でどれだけ3Pを成功させているかに結びつけられる。

セルティックスは、3Pの確率が相手より良かった試合がこのポストシーズンで9回あり、それらの試合の戦績は8勝1敗だ。唯一の敗戦は、フィラデルフィア・76ersとの東地区準決勝シリーズのオーバータイムにもつれこんだ第4戦だった。

1点差で敗れたその試合で、セルティックスは3P成功率で76ersより0.4％だけ上回った。マーカス・スマートがレギュレーション終了時にオープンスリーを決めていれば、あるいは、オーバータイム終了時に0.5秒早く3Pを放っていれば、セルティックスはこの試合に勝っていただろう。

3Pが相手より悪かった8試合では、セルティックスは1勝7敗だ。

好不調の波が激しい、対マイアミ・ヒートとのファイナルのシリーズでは、セルティックスのシューティングが絶好調かどうかが結果に影響していることがさらに顕著に表れている。

セルティックスは3Pの試投数が多い。1試合平均38.7本はプレイオフ出場16チーム中4位の数字だ。それを考慮すると、彼らが3Pの不安定さに左右されるのも納得がいくだろう。しかし、今年のプレイオフでは、3Pをあまり打たないチームでさえも、決められるかどうかが結果に大きく影響している。

フェニックス・サンズは、ポストシーズンで最も少ない3P試投数（1試合平均25.8本）を記録した。3P成功率が相手より良かったときの戦績は4勝1敗で、相手より悪かったときは2勝4敗だった。

3P成功率のランダム性

3P成功率の重要性を考えれば、チームは相手がミスするように全力を尽くすべきだというのが明らかな結論だ。しかし、その考え方には問題がある。試合ごとの3P成功率は、ほとんどが不規則で予測が不可能であることを示す複数の研究が存在するのだ。

研究を信じない人は、実際の試合を見てほしい。どんなに優れた守備を繰り出しても得点されて終わることもあるほど、選手たちは優れたショットメイカーになってきている。

これは、守備の技術が役に立たないということではない。選手は守られないほうが良いショットを打つし、守備によってチームの3P試投数を（多少は）コントロールすることができる。しかし、（1試合あたり）40回ほどの試投で3Pの成功率をコントロールしようとするのはかなり難しい。

ここで大事なのは、結果を軸にしてシナリオを作ろうとすると、往々にして大げさな過剰反応に陥ることがあるということだ。プレイオフの試合は純粋に運だけで決まるものではないが、運が実際に試合結果に大きく影響することを理解することも大切である。

たとえば、ヒートのようにチームが3P成功率48％を維持しながら3勝0敗のリードを築いたなら、彼らが優勢なのは、特定のコーチの決断というよりもむしろその確率が理由だろう。

もちろん、どちらも影響しているかもしれないが、一方が他方よりもはるかに大きな要因になっているのだ。

原文：One stat can tell you everything you need to know about how Celtics (and other teams) perform in NBA Playoffs
翻訳：YOKO B Twitter：@yoko_okc