富永啓生はなぜ2023年のNBAドラフト・アーリーエントリーを取り下げ、もう1年ネブラスカ大でプレイすると決めたのか?|富永啓生一問一答

2023-06-01
読了時間 約2分
University of Nebraska

6月1日(日本時間2日)、前日に2023年のNBAドラフトへのアーリーエントリーを取り下げ、来季は再びネブラスカ大学でプレイすることを発表した富永啓生が、日本のメディアとのZoom会見に応じ、今回のNBA挑戦からネブラスカ大に戻る決断に至るまでの経緯やその理由などについて語った。

富永は、4月26日(同27日)にNBAドラフトにアーリーエントリーを表明。「昨シーズンが始まる前は、本当にもうこれが最終シーズンでここからプロの方に行こうかなと思っていた」彼がアーリーエントリーをしたきっかけは、ネブラスカ大のヘッドコーチであるフレッド・ホイバーグの「やってみるか?」というオファーだったという。

「自分の夢であるNBAに一歩近づいた感じでワクワクした」と話す富永は、その後、5月29日(同30日)にインディアナ・ペイサーズのドラフト前ワークアウトに参加。富永によると、これが彼が参加した唯一のワークアウトで、それまでの期間、課題のフィジカル強化のためにウェイトトレーニングに励んだという。その結果、シーズン終了当時より体重は6〜7ポンド(約3kg)増えて180ポンド(約82kg)超え。富永は当たり負けしない身体作りを意識してワークアウトに臨んだ。

以下、富永の一問一答をお届けする(抜粋。質問は要約)。

NBAに近づくためにはポイントガードとしてのスキル向上がひとつの課題

——ペイサーズとのワークアウトに参加してみて。

富永:ほかにも5人の選手がいたんですけど、やっぱりすごく身体能力が高いですし、そういう選手と一緒にワークアウトできたことはすごく刺激になりました。また、自分が成長しなくてはいけない部分も明確になりましたし、そういう点で本当にすごく良い経験だったと思います。

ワークアウトを通じて、特にシュートの部分では全然負けている感じはしないですし、ほかの部分ではもっともっと成長できたらもっともっと良い位置につけるんじゃないかなと思います。

——ペイサーズとワークアウトをしてチーム関係者から具体的にどんなフィードバックがあったのか?

富永:自分のこの身長でNBAでやっていくとなると、正式な2番(シューティングガード)としてはやっぱりすごく小さくなるので、その中でパススキルとかハンドリングスキルをもっともっと磨くことができたら、ポイントカードとしても使えるようになるからという点と、ディフェンスの部分が成長できたらNBAに近づけるということを言われました。

——決断の一番の決め手は?

富永:2年間ここネブラスカ大でやってきて、レベルも本当にすごく高いですし、毎日毎日成長できるなって思える場所なので、その場所でもう1年やることによってまた一段階レベルアップして、NBAに挑戦できるのかなって思ったのが一番の決め手です。

よくよく考えたところ、大学でバスケできる期間も限られてるものですし、しかもすごいレベルが高くて、施設もしっかり揃っているそういう環境でできるということもなかなかないと思うので、そういう部分でも大学にもう1年残ることにしました。

どの場所でプレイするのが一番のレベルアップになるのかを考えた

——どのくらい悩んで、いつ頃決断したのか?

Scroll to Continue with Content

富永:決断したのはもう本当に最後の最後のところです。とりあえずワークアウトに行って、自分の感触とかいろいろ確かめることができて、そこからいろんなことを考えながら、どの道に進むのが、どの場所で次の年プレイするのが、自分の一番のレベルアップになるかなと考えた結果、そういう決断になりました。

——NBAへの道は少し近づいたと感じるか?

富永:そうですね、あのレベルの中で自分のシュートが通用したことが本当にすごい自信になりましたし、あとは自分の課題点と通用することが明確になったところが本当に良かったかなと思います。

——シュート以外で具体的に取り組みたいことは?

富永:今も身体を作るためにウェイトトレーニングもしっかりやっているんですけど、それ以外にはディフェンスだったり、ハンドリングスキルやパススキルであったり、そういうシュート以外の部分ほとんどをもっともっとレベルアップしていくことによって、自分のプレイスタイルも変わってくると思います。NBAの中では身長がないほうなので、クイックネスなどもレベルアップできたらいいなと思ってます。

——来季はNBAのことを念頭にプレイすることになると思うが、NBAを目指す上での目標の選手像はあるか?

富永:ずっと言っているんですけど、やっぱりステフィン・カリーみたいな選手になりたいというのが目標です。ポイントガードっぽい感じでボールハンドリングもしながらクリエイトできる選手になっていきたいなと思っています。

——ネブラスカ大に戻るという発表後のネブラスカの地元ファンの反応は?

富永:それはもう本当にすごいですね。今までにないぐらいの盛り上がり方で、反響はすごかったです。そうやって、自分が戻ってくるっていうことにそれだけ喜んでくれることは本当に嬉しいことですし、それも理由のひとつです。街全体で応援してくれるのが本当に嬉しいですね。来季、ネブラスカのファンの前に立つのが楽しみです。

——来季の目標は?

富永:自分のできる最大限のパフォーマンスをすること、あとはチームを勝利に導けるような選手になれればと思います。それに加えて、一段成長した姿をコート上で披露できたらいいなと思います。

取材・一問一答構成:YOKO B


富永は来週には日本に帰国し、代表活動に参加する予定。ワールドカップというレベルが高く、NBAに近い場所だで、どれだけ自分が通用するかが一番楽しみだと語っている。