NBAファイナル2024第5戦に向け、ふたつのポイントがある。
ひとつは、「とにかくホームで勝ちたかった」。
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そしてもうひとつは、「ここまで来るとは誰も予想しなかった。我々に失うものはない」。
6月17日(日本時間18日)、どちらが正しいかが証明される。マサチューセッツ州ボストンのTDガーデンの前で深夜を過ぎても人々が熱狂しているか、シリーズが予想外の激震で再びダラスに舞台を移すかだ。
ボストン・セルティックスは仕事を完成させようとしている。一方、ダラス・マーベリックスは議論を起こしたい。両チームは別々の角度から、それぞれ異なる心持ちで第5戦に臨む。
後がないマーベリックスは、いつもと同じことを目指すだろう。ルカ・ドンチッチが調子を定め、カイリー・アービングがビッグなフィニッシュを飾り、全員が貢献することだ。
一方のセルティックスは、今季のNBAで最も層が厚く、最も支配的なチームだった。その彼らが必要とするのは、これまでどおりの自分たちでいることだ。
ここでは、第5戦に向けた4つの注目ポイントをまとめる。
テイタムとブラウンのコンビ
ジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンのコンビが好調で、お互いの調和がとれていれば、セルティックスは倒すのがほぼ不可能なチームだ。目新しいことではない。だが、セルティックスが第5戦を記憶に残る夜にするために最も必要なことだ。
だが、第3戦を除き、今シリーズでは決してそうはなっていない。第3戦はブラウンとテイタムが攻守両面で見事に活躍し、ふたりで合計61得点をあげている(チームメイトたちは45得点だった)。長合えるのが難しいコンビだった。
第5戦でセルティックスが勝てば、ファイナルMVPはこのコンビのどちらかになる可能性が高い。テイタムが疑念を払しょくするには、強烈なパフォーマンスが必要だろう。いずれにしても、彼らがチームメイトになり、2022年のファイナルを経験して以降、最も望んできた瞬間だ。セルティックス優勝なら、それは彼ら次第である。
“連勝”を目指すアービング
ようやく、カイリー・アービングのプロキャリアにおける悪夢に終止符が打たれた。古巣セルティックスを相手に勝利を収めたのだ。ブルックリン・ネッツに移籍後初のボストンでの試合で、コート中央のセルティックスのロゴを踏みつけて以降、アービングは第4戦までセルティックス戦で勝つことができていなかった。
アービングは2016年にクリーブランド・キャバリアーズの優勝に貢献した。以降、そのキャバリアーズを退団してから3つのチームを渡り歩いたが、2回目のタイトル獲得には至っていない。アービングがセルティックス戦で連勝するには、マーベリックスで圧倒的に安定しているルカ・ドンチッチと同じような、あるいはそれを上回るだけの活躍を見せなければいけないのは明らかだろう。
マーベリックスのジェイソン・キッド・ヘッドコーチは「アスリートとして、さらなるチャンスを手にしたいと望むものだ。彼には明日の夜、そのチャンスがある」と話した。
「彼がそれを最大限に生かせるように願っている。いくつか調整し、第1戦と第2戦を振り返って、相手が守備で自分に対して何をしてきたかを分析し、第5戦で生かしてほしい」
特にマーベリックスが生かせるかもしれないのは、第4Qのアービングの活躍だ。普段は彼がその責任を負い、ドンチッチはよりお膳立てに回る。さらに、この一戦は非常に拮抗するかもしれない。
アービングはここ2試合、正確には第3戦の後半以降、おとなしかった第1戦と第2戦と比べて大きく向上した。ショットが決まりだし、快適なスポットを見つけ、チームメイトと連係している。
アービングは「周囲の疑念はもとより、ショットを決められるかどうか自分でも疑いがある時は、自分が正しくチームをけん引しているのだと確認することが重要だと思う」と話した。
「キャリア序盤にここまでたどり着いた時のポジティブなことに注意を払うようにしている。だけど、平均以下の出来だった時のパフォーマンスから学べることも考えるようにしているんだ。とにかく正直になり、経験を生かして楽しむんだよ」
ポルジンギス復帰?
TDガーデンのスクリーンに、チームメイトたちに続いてクリスタプス・ポルジンギスがロッカールームから出てくる姿が映し出された時、会場は大きく沸いた。第1戦と第2戦でポルジンギスはリム付近での攻守両面においてインパクトを及ぼしている。
だが、それ以降、ポルジンギスは足の負傷で出場できていない。ただ、状況に応じて出場する許可はメディカルスタッフから出ている。
そして、その状況になっていると言えるかもしれない。マーベリックス、特にデレック・ライブリー二世は、ポルジンギス不在のペイントで活躍している。
ポルジンギスが第5戦で再びドラマチックに登場したら、セルティックスにとって良い兆候だろう。
Xファクターとなるのは?
ここからは、ドンチッチもテイタムもブラウンもアービングも登場しない。主軸となるスター選手たちの話ではないのだ。スティールやビッグショット、そのほかの貢献など、タイムリーかつ予想外のプレイで違いを生み出すかもしれない候補たちのことである。
ドリュー・ホリデー:アービングを守るのか、ドンチッチを守るのか、あるいはその双方なのかにかかわらず、ホリデーの存在は重要となる。第4戦のパフォーマンスが振るわなかったことも、ホリデーのさらなるモチベーションとなるかもしれない。
ホリデーは「競技者なんだ」と話した。
「受け止めて、戻ってきて、第5戦に備えるだけだ」
デリック・ホワイト:ビッグショットを打つことも、それを決めることも、どんな状況だろうが、どんなタイミングだろうが、そういう状況でボールを持てば、ホワイトはひるまないだろう。
ティム・ハーダウェイJr.:シリーズを通じて幽霊のようだった。実際には、ここ3か月ほどがそうだった。だが、ハーダウェイJr.は第4戦で3ポイントショット7本中5本を成功させている。ローテーション復帰を果たすかもしれない。
キッドHCは「レイ(アレン)やステフ(ステフィン・カリー)のようだった」と述べている。
「第5戦で我々に必要なんだ。接戦になった時、彼が同じようなショットを決められることを願っている。彼がああいうショットを決めるのを見られて良かったよ。あれで波に乗れることを願う」
ダニエル・ギャフォード:彼は自分のミスや、このシリーズで自分の水準に見合うプレイができていないことへの悔いを見せた。ギャフォードは、違うエネルギーをもたらすと約束している。シーズン半ばのトレードでマーベリックスに加入してから見せてきたピック&ロールからのダンクやリムプロテクションを取り戻さなければならない。第4戦の終わり方は本人の励みになったようだ。
ギャフォードは「終盤にいくつか得点でき、ブロックをして、大きなエネルギーをチームに与えられた。自分が何かインパクトを残し、チームの勝利に貢献していると感じられたからね」と話した。
「新鮮な気分だった」
原文:NBA Finals: 4 things to look for as series returns to Boston for Game 5(抄訳)
翻訳:坂東実藍