ユーロバスケット(バスケットボール欧州選手権)2022は決勝でスペインがフランスを下し、通算4度目となる優勝を飾って幕を下ろした。
今大会にはルカ・ドンチッチやヤニス・アデトクンボ、昨季のMVP受賞者ニコラ・ヨキッチを筆頭に、NBA選手が35名出場した。大会を振り返り、NBAの2022-23シーズンに向けて学んだ5つのことを取り上げる。
シュルーダー復活のシーズンか
2021-22シーズンはボストン・セルティックスとヒューストン・ロケッツで落胆のシーズンとなったデニス・シュルーダーだが、ユーロバスケット2022ではNBAで彼がまだまだ多くをやれると示した。
2021年にロサンゼルス・レイカーズとの8400万ドル(約120億1200万円/1ドル=143円換算。以下同)の延長契約を断ったことで知られるシュルーダーだが、29歳となったこの夏、264万ドル(約3億7752万円)の1年契約でレイカーズに戻ってきた。
ドイツ代表の主力として、シュルーダーは平均22.1得点、7.1アシスト、2.3リバウンドを記録。ベストファイブに選出され、ドイツにとって2005年の銀メダル以来となる銅メダルの獲得に貢献した。
ラッセル・ウェストブルックにパトリック・ベバリーも加わったレイカーズは、ポイントガードの層が厚くなっている。ユーロバスケットでのパフォーマンスを考えれば、シュルーダーにも新シーズンのレイカーズで多くの出場機会を得るチャンスがあるだろう。
アデトクンボのセンター起用
おそらくはすでに分かっていたことだが、ユーロバスケットにおいてギリシャ代表で支配するアデトクンボはなおさら強烈だった。
ミルウォーキー・バックスでの昨季、アデトクンボは出場時間の32%でセンターとしてプレイした。『Cleaning the Glass』によると、前年比で12%増だ。彼のサイズや運動能力を考えれば、ギリシャにとってインサイドでの彼の支配力は大きかった。ディフェンダーたちが必死に抑えようとする中で、次々にダンクを叩きこんだのだ。
準々決勝まで進出したギリシャで平均29.3得点、8.8リバウンド、4.7アシストを記録したアデトクンボは、大会ベストファイブに選ばれている。
もうひとりのスターが必要なドンチッチ
NBA入りしてからの4シーズン、ドンチッチはレギュラーシーズンとプレイオフでエース的な存在になれることを十分に証明してきた。
スロベニア代表でも同じだ。23歳のドンチッチは、時折大会のベストプレイヤーに見えることもあった。フランス戦では47得点をあげている。しかし、大会も大詰めになってくると、ドンチッチはガス欠。ポーランド戦ではフィールドゴール15本中5本成功と苦しみ、スロベニアは敗退した。
新シーズンに向け、ダラス・マーベリックスは才能あるロールプレイヤーたちをドンチッチの周囲に用意した。だが、オールスター級のタレントを加えない限り、マーベリックスがタイトルを競う候補となるには、ドンチッチの両肩にかかる負担が大きすぎと思われる。
ジャズでの活躍に準備万端のマルカネン
ドノバン・ミッチェルをクリーブランド・キャバリアーズに放出したトレードで、ユタ・ジャズはラウリ・マルカネンを引き換えに獲得した。この取引で注目を集めたのは今後のドラフト指名権だったが、25歳のマルカネンにとってジャズで活躍する機会でもある。
昨季のマルカネンはキャバリアーズで61試合に先発出場し、平均14.8得点、5.7リバウンド、FG成功率44.5%、3ポイントショット成功率35.8%、フリースロー成功率86.8%を記録した。だが、サポート役以上の存在となる機会を真に得ることはなかった。
ジャズがどん底となり、リーグワースト級の成績に終わることが予想される中、マルカネンはオフェンスをけん引する絶好の立場にある。ユーロバスケットでアデトクンボに続く平均27.9得点、さらに8.1リバウンド、2.4アシストを記録し、フィンランド代表で活躍したように、だ。
今大会のマルカネンは数々のハイライト場面を演出しており、そのうちのひとつがクロアチア戦の43得点だ。主要大会におけるフィンランド代表の最多記録を更新した。
強豪がボグダノビッチと契約へ?
いくつかのタイトルを競うチームが、33歳のスウィングマン獲得に動くとみられる。ユーロバスケットにおけるボーヤン・ボグダノビッチのパフォーマンスが、その理由だ。
ボグダノビッチは平均32分間のプレイで、19.2得点、5.2リバウンド、1.7アシスト、FG成功率48.1%、3P成功率39.4%、FT成功率86.7%をマークした。
ジャズのロスターは現在17名。開幕時点でそのロスターにボグダノビッチがいることはないだろう。だが、レイカーズやフェニックス・サンズがトレードでの獲得に関心を示したと報じられている。