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NBAジャパンゲームズでラプターズの中心選手へと成長する第一歩を踏み出したパスカル・シアカム

2019-10-13
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昨シーズンMIP(最も成長した選手)を受賞したパスカル・シアカムは、プレイオフでもトロント・ラプターズの主力の一人と呼ぶにふさわしい活躍を続けた。ファイナルでは第1戦で32点、第6戦で26点、10リバウンドを記録するなど平均19.3点、7.5リバウンドというアベレージを残し、NBA制覇に大きく貢献したのは記憶に新しい。 

大黒柱だったカワイ・レナードがこのオフにロサンゼルス・クリッパーズへ移籍して迎えた今シーズン、シアカムはカイル・ラウリー、マルク・ガソルのようにチームを牽引する選手になることを期待されている。ヒューストン・ロケッツと対戦したNBAジャパンゲームズでの2試合は、頼りになる選手へ成長するための第一歩を踏み出す上で、重要な試合だった。 

「彼の役割を少し広げる状況がクリエイトされていると思う。オフェンスで主要なオプションになるかもしれないし、シュートは向上し続けている。2年前の彼にシュート力はなかった。今は十分と言えるレベルにあるから、そういったショットを打つ必要がある。彼はボールをコントロールできるなど、とても万能な選手だ。我々は彼により自由を与えるつもりだし、プレイの幅を広げる機会がたくさんある。(1試合平均得点の)アベレージが5~6点上がると思う」。 

ニック・ナース・ヘッドコーチがこう話したように、シアカムはジャパンゲームズの2試合とも自ら積極的に攻めるシーンを何度も見せた。第1戦では26分51秒のプレイで2本の3ポイントショットを含む24点、11リバウンド、4アシストのダブルダブルを達成。第2戦は出場時間が5分減ったといえ、16点、7リバウンド、4アシストとオールラウンドなオフェンス力を発揮した。 

高い身体能力と長い腕を武器とするシアカムは、ディフェンスではフォワードの両ポジションでマッチアップが可能だ。ジャパンゲームズではジェームズ・ハーデンへのディフェンス対応を任される時間帯があるなど、ナースHCが語るプレイの幅を広げる機会を与えられていた。第2戦後の記者会見に登場したサージ・イバカは、シアカムに対する期待を次のようにコメントしている。 

「彼は選手としてすごいポテンシャルを持っているだけでなく、着実にレベルアップし続けている。昨シーズン大きく成長したから、今シーズンの我々は彼のことを信じている。昨シーズンよりもいい選手になるはずだし、我々が成功するためには彼がゴー・トゥ・ガイになる必要があるだろう」。 

NBA生活4年目を迎えることもあり、シアカムは「ちょっとスローダウンすることを考えている。自分のスポットを理解・認知し、焦って動くようなことをせず、自分がどこへ行ってボールをもらいたいのかといったことだ」と語るなど、選手としてゲームの理解度を高めたいと思っているという。それでも、シアカムがスキルの向上に対して貪欲なことに変わりはなく、「シューティングやボールハンドリング、ミッドレンジのゲームなどすべてだ」と、あらゆる技術の向上に取り組んでいると話す。 

2011年に同じカメルーン出身のNBA選手、ルーク・バー・ア・ムーテに発掘され、翌年にバスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズへ参加したことが、シアカムのバスケットボール人生を切り拓いた。アフリカの子どもたちが憧れるシンデレラストーリーは、ジャパンゲームズでラプターズの中心選手への道のりを歩む新たなステージに突入した。