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明かされたマイケル・ジョーダンのルール ラリー・バードとのトラッシュトークにどう応じていた?

2024-01-13
読了時間 約2分
(Getty Images)

マイケル・ジョーダンは歴代最高のバスケットボール選手と広く見なされている。だが、その彼でさえ、ラリー・バードとトラッシュトークでバトルしてはいけないと知っていたようだ。

作家ラフィ・コハンの新作「Trash Talk: The Only Book About Destroying Your Rivals That Isn't Total Garbage」では、ボストン・セルティックスのレジェンドとコートで対戦する際、ジョーダンがどういったアプローチだったかが明かされている。

ジョーダンは、NBAの歴史でも有数のトラッシュトーカーだったバードに、一切の攻撃材料を与えたくなかった。ジョーダン自身もほんの些細な侮辱にさらなるモチベーションを見いだしていたのは有名だ。彼はバードも同じだと分かっていたのである。

以下、「Trash Talk」から一部抜粋する。

ジョーダンですら、似ていることを認識していた。そしてチームメイトたちに、コート上でバードと関わることを禁じていたのだ。童顔のBJ・アームストロングが初めてNBA入りした時、バードは彼に「中学生の子どもをNBA入りさせるなんて信じられない」と言った。そしてアームストロングが言い返そうとすると、ジョーダンが割って入ったのだ。彼は「誰ひとりとして、ひと言も、誰もラリー・バードに話しかけない」と言った。これにバードは故郷インディアナの話し方で「カモン、マイケル。あいつらを絡ませろよ」と返した。

コハンが書いているように、一流のトラッシュトーカーは相手を弱らせようとするだけではなく、彼らのベストも引き出すのだ。バードはキャリアを通じてジョーダンやデニス・ロッドマン、その他の多くの恐ろしいディフェンダーたちに辛らつな言葉を浴びせ、次のポゼッションで何をするつもりかをやる前に正確に言っていた。

アームストロングは「最高のトラッシュトーカーは、相手に本当のベストであってほしいと望むんだ。彼らが本当に言っているのは、『オレのベストはお前のベストよりも上さ。だからオレたちのベストを出して、それでどうなるか見ようじゃないか』ということだからね」と話している。

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(Trash Talk; Getty Images)

もちろん、ジョーダンはスーパースターとなり、バードのように評されるようになった。ドキュメンタリーシリーズ「The Last Dance」の中で、作家マーク・バンシルは、ジョーダンが一見すると何でもないコメントを「深い憤り」に変え、「試合のたびにハードにプレイするための理由をつくっていた」と話している。

殿堂入りしているシェリル・ミラーは、「彼に対するネタはあった。でも、ジョーダンが記憶力よく、ずっと覚えていると分かっていたから、誰もそれを持ちださなかった」と述べた(コハンはNBAファイナル1996でジョーダンと対戦したギャリー・ペイトンがまれな例外と指摘している)。

コハンはスポーツにおけるトラッシュトークの心理的影響に関してもさらに詳しく記している。だが、核となるのはトラッシュトークが「一種のテスト」ということだ。

コハンは「挑戦の意思表示だ。その勝負の重要性を高めることで、相手と自分にプレッシャーをかけるのだ」と書いている。

「より多くのものが懸かることになる。そしてどちらがそれに対処できるか、あるいはその高まった重圧に一瞬でも屈するかどうかという問題になるのだ」

バードとジョーダンはそういった挑戦で負けるよりも勝つことのほうがはるかに多かった。だからこそ、そもそも関わらないことが、シンプルに最良の戦略だったのだ。

原文:Michael Jordan's hilarious rule for Larry Bird's trash talk revealed in new book(抄訳)
翻訳:坂東実藍