ダラス・マーベリックスは素晴らしいシーズンを過ごした。だが、それでも優勝には届かなかった。
NBAファイナルではボストン・セルティックスが支配し、マーベリックスはあまり迫ることができなかった。すると、プレイオフで敗退するたびに避けられない疑問が生じる。マーベリックスは、ルカ・ドンチッチを満足させ続けられるだけのことをしたのだろうか。
ドンチッチがロスターにいれば、マーベリックスはいつも競っていくことができるだろう。彼は強く優勝を望んでいる。よって、どんな動きも、彼と一緒に活躍でき、チームを目標達成に近づけられる選手を見据えながら行わなければいけない。
まだドンチッチ退団の恐れを考慮すべきではないだろう。契約は2026-2027シーズンまでで、次の夏に延長契約を提示するだけの資金がマーベリックスにはある。ドンチッチは2025年夏に5年のスーパーマックス契約を結ぶことが可能。『ESPN』のボビー・マークス記者によると、リーグ史上最高額となる3億4600万ドル(約546億6800万円/1ドル=158円換算)に及ぶ見通しだ。
ドンチッチはそのスーパーマックス契約を結ぶまでチームにとどまるだろう。カイリー・アービングも今後2シーズンの契約を結んでいる。マーベリックスは、アップグレードが必要なサポーティングキャストを巡る選択により集中するはずだ。
ここでは、マーベリックスのフロントオフィスが決断すべきオフシーズンの動きをまとめる。
マーベリックスの今後のフリーエージェント
この夏のマーベリックスには、フリーエージェントで大型契約を結ぶだけのキャップスペースがない見込みだ。むしろ、ラグジュアリータックス(ぜいたく税)の管理、あるいはその基準に達しないようにする必要がある。『Spotrac』によれば、現時点で280万ドル(約4億4240万円)のオーバーだ。
スターティングラインナップはほぼ定まっている。もちろん、ドンチッチとアービングは外せない。トレードで獲得したPJ・ワシントンとダニエル・ギャフォードも、それぞれ2025-2026シーズンまで契約を結んでいる。
プレイオフで5人目のスターターとなったデリック・ジョーンズJr.が、唯一のクエスチョンマークだ。堅実な守備や身体能力の高さ、これまでの所属チームで見せてきた以上のショットと、270万ドル(約4億2660万円)のミニマム契約以上の活躍だった。
そのジョーンズJr.はFAになる。チームにはノンバード権があり、来年提示できるのは330万ドル(約円)にとどまる。あるいは、約500万ドル(約7億9000万円)からのタックスペイヤーミッドレベル例外条項の一部となる。
2024年のFA市場の展望からも、ジョーンズJr.がより好条件の契約を目指して退団する恐れはあるかもしれない。
そのほかのマーベリックスのFA選手たちは、いずれもレギュラーローテーション入りしている主力ではない。ジョーンズJr.が優先となるはずだ。
無制限FA | 制限つきFA | プレイヤーオプション | チームオプション/無保証 |
デリック・ジョーンズJr. | ブランドン・ウィリアムズ | なし | ダンテ・エクサム |
マーキーフ・モリス | グレッグ・ブラウン三世 | AJ・ローソン |
マーベリックスの今後のサラリーとロスター
ロスターの大半と当面の契約を結んでいる。
数字はいずれも『Spotrac』から。
選手 | 2024-25 | 2025-26 | 2026-27 | 2027-28 |
ルカ・ドンチッチ | $43,031,940 | $45,999,660 | $48,967,380(PO) | UFA |
カイリー・アービング | $41,000,000 | $42,962,963 (PO) | UFA | — |
ティム・ハーダウェイJr. | $16,193,183 | UFA | — | — |
PJ・ワシントン | $15,500,000 | $14,152,174 | UFA | — |
ダニエル・ギャフォード | $13,394,160 | $14,386,320 | UFA | — |
ジョシュ・グリーン | $12,654,321 | $13,666,667 | $14,679,012 | UFA |
マキシ・クリーバー | $11,000,000 | $11,000,000 | UFA | — |
デレック・ライブリー二世 | $5,014,560 | $4,253,360 (TO) | $7,239,131 (TO) | RFA |
ドワイト・パウエル | $4,000,000 | $4,000,000 (PO) | UFA | — |
ダンテ・エクサム | $3,150,000 (NG) | UFA | — | — |
オリビエ・マクセンス・プロスパー | $2,870,400 | $3,007,080 (TO) | $5,259,383 (TO) | RFA |
AJ・ローソン | $2,120,683 (NG) | $2,401,587 (NG) | $2,489,752 (NG) | UFA |
ジェイデン・ハーディー | $2,019,699 | RFA | — | — |
PO = プレイヤーオプション
TO = チームオプション
NG = 無保証
UFA = 無制限FA
RFA = 制限つきFA
マーベリックスのNBAドラフト2024の指名権
マーベリックスの指名権は2巡目最後のひとつのみだ。
1巡目指名権
- なし
2巡目指名権
- 全体58位(セルティックス経由)
オフシーズンの注目ポイント
5人目のスターターとなるのは?
マーベリックスがFA選手を加えるための方法は多くない。500万ドルに制限されるため、手に入れられる質の高い選択肢が多くないのだ。ジョーンズJr.は素晴らしいパフォーマンスだった。マーベリックスは彼を戻そうとするかもしれない。ジョーンズJr.が退団した場合、ティム・ハーダウェイJr.がシーズン中にスポット的に先発出場したが、後半戦ではまったく効果的でないようだった。
別の選択肢となるのがトレードだろう。マーベリックスは2025年と2031年の1巡目指名権、そしていくつかの2巡目指名権を使うことができる。サラリーを合わせるのに、契約満了年となる年俸1600万ドル(約25億2800万円)のハーダウェイJr.を使うかもしれない。
また、マーベリックスはドンチッチとアービング、ワシントン、ギャフォードと並べる3&D(3ポイントショットと守備を得意とする選手)がもっと役立つだろう。ドリアン・フィニー・スミスの復帰はどうだろうか。大きく向上したデニ・アブディヤも別の素晴らしい選択肢となり得る。どちらもハーダウェイJr.のサラリーでまかなえる選手たちだ。
トレードデッドライン(トレード期限)以降のマーベリックスは、守備がリーグ7位と素晴らしかった。ギャフォードとワシントンがフルシーズンを戦うことは、白星を増やす後押しとして役立つはずだ。マーベリックスには、ドンチッチとアービングの周囲にもっと優れたシューターを置く必要がある。そしてそのための最善の道はトレードだろう。
来季もNBAファイナルの舞台に戻り、そこでもっと競っていけるようにするのに、マーベリックスは少し手直しするだけで十分かもしれない。
原文:Mavericks eliminated from playoffs: Dallas faces one big question to keep Luka Doncic happy after Finals run(抄訳)
翻訳:坂東実藍