なぜキューバンはマーベリックスを売却？買収するミリアム・アデルソンとは？

(NBA Getty Images)

NBAインサイダーのマーク・スタイン記者が報じたところによると、マーク・キューバンがダラス・マーベリックスの過半数株式を売却するという。

株式の購入手続きを進めているのは、億万長者のラスベガスのカジノ王ミリアム・アデルソンとアデルソン・ファミリーだ。

スタイン記者や『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者の報道によると、キューバンはチーム内での株式を保ち、バスケットボール運営部の全権を維持すると見られている。

2023-2024シーズンのNBAのシーズン中に、アメリカスポーツ界で最も有名なオーナーのひとりであるキューバンがマーベリックスを売却するとの知らせは、多くの人に衝撃を与えた。

65歳のキューバンは2000年からマーベリックスのオーナーを務めており、スポーツ界で最も現場に顔を出して直接携わるオーナーのひとりだった。

『スポーティングニュース』が、キューバンのマーベリックス売却についてまとめる。

なぜマーク・キューバンはマーベリックスを売却？

複数の報道によると、キューバンは約35億ドル（約5145億円／1ドル＝147円換算）でマーベリックスの過半数株式をアデルソンに売却。だが、チーム内で株式と運営部の全権を維持する」という。

『Forbes』の最新の発表で、マーベリックスはNBA球団で7位となる45億ドル（約6615億円）と見積もられている。だが、スタイン記者は「より高額の評価額で取引するより、合意の独特な構造がキューバンにとってはるかに魅力的」と伝えた。

「それにより、当面はキューバンが約24年にわたって採用してきた、前面に出るオーナーのスタイルを同じように機能させることができる」

まだキューバンやマーベリックスからの公式発表はない。だが、キューバンは2022年12月に『The Dallas Morning News』のインタビューで、マーベリックスの新アリーナ建設のために、アデルソンの「Las Vegas Sands」との提携を望んでいると話していた。

キューバンは「私の目標は、Las Vegas Sandsと提携し、新アリーナを建設する時は、リゾートやカジノの真ん中とすることだ」と述べている。

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「それが使命だ」

現在のテキサス州においてスポーツベッティングやカジノはまだ違法だ。だが、キューバンとアデルソンはこのパートナーシップで、マーベリックスの新アリーナ建設というキューバンの目標に向け、必要なステップを踏み出している。

マーベリックスは現在、2001年に建設されたアメリカン・エアラインズ・センターを本拠地としている。Forbesによると、30年のリース契約は2031年7月28日（日本時間29日）までとあり、キューバンとアデルソンが青写真を描く時間は十分だ。

アデルソンはカジノとリゾートの大手Sands Las Vegasの筆頭株主だ。2021年1月に亡くなったSands Las Vegasの創設者シェルドン・アデルソンと結婚していた。

Forbesの長者番付によれば、アデルソンは世界で5番目に裕福な女性だ。

アデルソンは11月28日（同29日）の会社発表で、Las Vegas Sandsの自社株20億ドル（約2940億円）相当を売却し、「リーグの承認を必要とする法的拘束力のある購入契約に従って、プロスポーツ球団の過半数の所有権を購入」するための資金とすることを明かした。

キューバンは2000年1月に2億8500万ドル（現在のレートで約418億9500万円）でマーベリックスを買収した。

今回の売却額は約35億ドルと報じられており、キューバンは32億2000万ドル（約4773億4000万円）の利益を手にすることになる。

キューバンがオーナーとなった2000年1月当時、マーベリックスは20年の歴史でウェスタン・カンファレンス・ファイナルを突破したことがない球団だった。だが、キューバン政権でマーベリックスはNBAで最も安定して成功した球団のひとつとなった。

マーベリックスはキューバン政権最初の12シーズンでプレイオフに進出し、NBAファイナルに2回進出。レブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュを擁するマイアミ・ヒートを下し、球団初のNBA優勝も飾った。

キューバンが大株主になってからの23年で、マーベリックスがポストシーズン進出を逃したのは5回だけだ。